記憶
主人公は誰かが呼んでいるそんなことをかすかに感じながら、あの町で手に入れた情報を元に遺跡を目指すのであった。
ジャリ...ジャリ...
ジャリ... ジャリ...
「ようやく着いたか...」
目の前には苔や風化によって崩れている壁や柱が倒れていたりしている。
路面も所々途切れている。
カツッ... カツッ...
カツッ... カツッ...
少し歩き目的の場所を見つける。
風化した柱や壁を通り抜けていくとそこには数十メートルはあるであろう遺跡が現れた。
遺跡も壁面は崩れているところや色落ちいている箇所が目立つ元々は白で塗装されていたのであろうが今はそんな陰も形もない。
ただなんとなくそこに遺跡があるなということしかわからない、だがそこに俺は用事がある。
ここに来ないといけないと囁く声を感じる。
鼓動が速くなる。
(焦る必要はない)
(遺跡は逃げはしないのだから)
「行くか...」
遺跡に向かって歩き出す。
......
遺跡の中はあまり崩れてはいなかった。
そして全く見えないというほどでもなく仄暗いほどであった。
歩き出す。
遺跡に入る前から既視感は感じていた。
ここにきたことがあると...
...
......
.........
カツッ... カツッ...
カツッ... カツッ...
遺跡の中を歩き続けて常に感じるのはやはり既視感であった。
カツッ... カツッ...
カツッ... カツッ...
遺跡の中は結構複雑になっており、上り階段や分岐の道や動作しそうなもしくはした後のトラップを横目で見ながら上に上っていった。
結構上っただろうか、日を見ることがないため時間感覚が狂ってきているのを感じる。
だが確実に最後のところに近づいていることは感じる。なぜなら次第に動悸が早くなってきているのを感じる。歩いているから、階段を上っているからといった単純なことではなく。ただなんとなくでしかないが訴えてきてくるような感じとともに動悸の速さを感じる。
そしてまた新たな階段を上りきった時だった。
大きな部屋に出た、目の前には大きな器のような盃のような形をしたものが祭壇として置かれていた。
何かに惹かれるかのようにその祭壇に近づいていく。
カツ...カツ...
カツ...カツ...
祭壇にある器が目と鼻の先のところまで近づいたときだった。
視界が揺らぎ、つい膝をつきそうになる。
それをなんとか堪えようとしたが、更なる頭痛に襲われ目の前が暗くなる......
...
......
.........
「ようやく辿り着いたな」
「ああようやくだな」
「これでここ周辺は大丈夫になるということだな」
「ええそうなるはず」
「そこにある器に を入れれば大丈夫のはずだ」
「じゃあ入れるな」
ザ...ザザ......ザザザ
.........
「お......きろ
お...え...き...だ」
「おい.........おきろ」
「むきーーー!!」
「おい!!そろそろおきろーーーー!!!」
耳ざわりがすごくなり、起きることにした。
瞼をゆっくりと開け、体を起こす。
「やっと起きたか!」
「やっと起きたかといわれてもだな」
「いいか、おまえは...」
体を起こし周囲を見てみたが、周囲には何もなくただ白い空間だけが広がっていた。
そして目の前には少女がいた。
「あんたはだれだ?」
「わたしか!?わたしはだな!わたしはだな...」
「わたしは?」
「誰なんだろうな?」
「は?」
「いやいや、ちがうんだよ」
「ここまでは出かかっているんだよきっと...」
少女は首元まで手をもっていき主張していた。
「まぁ何だっていい、ここはどこなんだ?」
「ここか?そんなの」
「そんなの?」
「私に聞かれても知らん!」
「知らんってここに住んでるとかじゃないの?」
「知らんもんは知らん、仕方がないだろ!」
「じゃあ、ここから出る方法も知らないっていうことだよな?」
「いや、ここがどこなのかは知らないがここから出る方法は知ってる」
「知ってるのか」
「ああ知っているとも」
「じゃあ、さっさと教えて欲しいんだが、ここから出る方法を」
「そんなの簡単なことよ、私の手を取るといい」
「こうか?」
目の前に出された少女の手を取る。
その瞬間またしても目の前の視界がぐらりと歪み前に倒れ込んでしまう。
倒れ込む間際にかすかに聞こえた気がした
「これで少しは思い出すだろう」と
...
......
.........
「ワハハハハハ!ついにきたか英雄となりし者たちよ!」
目の前には白く輝く竜がいる。
「ようやくここまできたな」
「ああそうだな」
「こいつは本当に元凶なのでしょうか?」
「外見などが全てではないでしょうがそうなのでしょう」
「私も疑いはもってしまうわね」
「何をごちゃごちゃ言っているんだ!さっさとかかってこい!!」
ギャァァァァアアア!!!!
「今はやるしかない、行こう!」
「「ああ!」「そうね」「ええ」「そうですね」」
竜に向かって駆ける
...
......
........
ゆっくりと目を覚ます。
(ああ、なるほど...そういうことか)
「どうだ?思い出したか?」
「ああ、断片的だけどな」
「ただ今まで見てきた夢は夢ではなかったという確信は得ることができた。」
「自分で言うのもアレだがどうして夢でないと思ったんだ?」
「それは単純にこの空間にきて動悸が治らないのとお前を見ているとどうして懐かしく思えてくるからだ」
「それとさっきのは夢にしてはリアルすぎた、だからかな。」
「あとは...」
「あとはなんなんだ!」
「あとは特にないな」
「なんだよ〜」
「まぁいいや少しでも思い出したのなら!」
そう言って少女は少し離れ一回転して改めてこちらを見てくる。
それも満面の笑みを浮かべて...
「まさかだと思うというよりほぼ確信を持って聞くんだがお前はすあの竜なのか?」
「そうだよ、あの竜が今の私だよ正真正銘あの竜が人としてここにいるんだよ」
銀髪で腰まで髪があり肌まで日の光を受けたことがなおほど透き通った肌をしている少女は語るのであった。
「そうか」
「え!?それだけ!?」
「何がだ?」
「いやいやもう少し驚くとかないの?こう「ええこんな“美少女“があの竜なわけがない」とかあるだろう、普通は!」
「そんなこと言われてもな...」
「そこまで驚く以前に記憶が少し戻ったくらいだからまだ実感がわかないんだよ」
「そうか...それは仕方がない」
「それでどこまで思い出したんだ?」
「お前と戦っていたところと仲間がいたことだな」
「それ以外はどうなんだ...」
「特にないな」
「そ、そうか...」
「ちなみになんだが、私の名前とかはわかるのか?」
「すまない、分からなかった...」
「そうなのか......(なんとなく分かっていたが...)」
「何か言ったか?」
「いや大丈夫だ!」
「ただありがとな」
「な、何が!」
「いや、ずっと夢だと思っていたことに確信を持つことができたから、少しは次の夢が楽しみに思えるようになったよ」
「そ、そうかそれは良かった?」
「ああ、まだ全然思い出せてないけど...」
「違和感が少しなくなった、だからありがとう」
「ワハハハハハ、そうかそうかならばもっと褒めてもいいのだぞ!」
少女は自分を誇れと言わんばかりに体をそり返していた。
「ああそんな感じだったな」
「なに、これからよろしくな!」
「ん?なんのことだ?」
「なんのことだだと、そんなもの言葉の意味そのままだ!」
「これからはお前と一緒に旅に出ると言っているんだ!」
「そんなこともわからないのか?」
「いや前後がなさすぎて急だったから意味がわからなかっただけだ」
「意味自体は分かっていた。」
「そうだろう、まっそういうことだこれから頼むぞ!」
「あ、ああよろしくな」