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akira  作者: 十八谷 瑠南
3/5

あきらは仕事中、笑顔を崩さない。どんな仕事を押し付けられようと、堂々と笑顔で引き受けひとつひとつ丁寧に仕事をこなしていく。その姿は周りで見ている人間に無意識に影響を与える。ただあきらのそばにいるだけであきらの強さ・賢さ、そして美しさがわかってしまうのだ。決して自分の仕事ぶりに自惚れることはなく常に謙虚なその姿勢は誰もが心の奥底では憧れている理想の姿であるからだろう。

だからこそ

「あきらと俺は違うから」

 俺ははっとして我に返った。無意識にそんな言葉を出してしまった自分に驚いて。

 川へと舞っていく桜を見つめていたあきらは目を伏せてからゆっくりと俺の方を向くと

俺をまっすぐに見つめた。

 俺はやっとあきらと目が合った。そんな気がした。


2年浪人して念願の大学に入学したもののぐだぐだと過ごした4年の間にいつのまにか世の中は大不景気に見舞われていた。4年間腑抜けていた自分に後悔と苛立ちを募らせた就活を乗り越え、やっとのことで受かった就職先にあきらはいた。

再会したあの春の日、新入社員としてみんなの前で自己紹介していた時のこと。

俺は一目見てあきらだと気が付いたのだが、あきらは俺からすぐに目をそらしてしまった。

あれからずっとあきらには目をそらされている。仕事上の会話の中でもあきらの瞳は俺を映していないそんな気がしていた。

 あきらの人生の中での俺は視界の端にちょっと映るだけのその辺にいる通行人となんら変わらない登場人物になっていた。

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