第五話
「ヒ、ヒィ!?」
「そ、それはっ! どっから持ってきた!?」
「ま、まさか……お前達、あの祠に入ったんでねぇよな!?」
どったんばったん。
「い、いえ、あの…………」
「センセ呼んでこい!センセ!!」
「わかった!」
どったんばったん。
「…………なあ?」
「うん………………」
「これ………………」
「ヤバくね……?」
「……………………フヒヒ」
──────────────
ことの発端はこうだ。
コミュニケーションに難があるA太郎──社会に出たら苦労するのだろうけれど、頑張って欲しいものだと切に願う──の話を辛抱強く聞いてまとめてみると……
学生身分の最後にハッチャケられそうなことを探していた。
けど、イベントとか参加するのも怖いし、でも、道連れがいるなら自分も参加出来る。
そこで、偶然
『呪獄村アゲアゲ☆ムラムラ村おこし!ヒミツ《封印》を解いて、賞品をもらおう!!』
を見付ける。
旅行雑誌には『呪獄村アゲアゲ☆ムラムラ村おこし!ヒミツ《封印》を解いて、賞品をもらおう!!』のことは載ってなかったが、値段も安いし良いだろう。
との事だった。
この『呪獄村アゲアゲ☆ムラムラ村おこし!ヒミツ《封印》を解いて、賞品をもらおう!!』は、公民館でパンフレットとスタンプカードをもらい、この村に伝わるヒミツを村の各地で見付けて謎を解いてスタンプを押してもらい、スタンプカードが全て埋まったら神社の社務所で答え合わせ。
そこで、順位に合わせて賞品との引換券をもらう。
のだが────
クイズは簡単なもので、『そのむかし、この村にはとんでもない悪霊がいて、それを封印したけど今も呪いすごーいたいへんだー』
と、呪獄村に伝わる歴史再発見といった具合のものだった。
「はーい、こちら、引換券になりまーす」
クイズも無事に正解し、神社の社務所にて、金髪で少々煙草の臭いがする綺麗な巫女さん──神無月ヘルシーさん──から、引換券になるものを渡された。
引換券でーす、で良いんじゃないかなとも思ったけれど。
そして、僕たちは引換券になるものを手に、意気揚々と公民館に戻ってきたのだけれど。
「ひ、ひぃ……これは呪獄様の左手!?」
「お前達!? ほ、祠に入ったのか!?」
どったんばったん。
「いや、巫女さんが……引換券って……」
「なあ!?馬鹿こくでねぇ!?はんかくせっこと抜かすな!!」
どったんばったん。
「うわあぁ!」
「大丈夫か!?おい!誰か!救急車!!AED用意して!?」
どったんばったん。
「…………なあ?」
「うん………………」
「これ………………」
「ヤバくね……?」
「……………………フヒヒ」
こうして、僕たちはどったんばったん五月蝿い村民達の騒ぎに乗じて姿を消し、
C人に急遽のチェックアウトを済まさせた後、呪獄村から脱出するのであった。
元気いっぱいのカラフルさんに見送られながら。