2話 先輩との遭遇
後輩が先輩と初対面の時のお話です
高校の入学式。無事終了。
今日から新しい学校生活が始まる。
私、箕輪和泉は入学早々、先輩に恋をした。
♢
入学式後、新入生が初めての学校行事として学校説明会とかいうのがあるらしく。新入生は強制参加とのこと。参加して適当に時間つぶししてれば終わるだろうと思っていた。
会場の教室に新入生3人一組で暫く待っていると、扉が開いて先輩が入ってきた。
「こんにちは。高校入学おめでとう。入学式のあとすぐですけど、これから色々説明していくのでわからないことがあったら聞いてくださいね」
先輩が私たちの前で話しはじめた途端、私は目を一瞬で奪われた。
あ、なにこれ・・・たまらず口元を手で押さえる。
一緒にいた新入生の子に
「顔赤いけど大丈夫?」
と心配されるレベルで顔が赤くなっている。・・・心臓もバクバクいってる・・・
「むせたのを我慢しちゃって。あとちょっと先輩に見とれちゃった」
「辛かったら先生に言ってあげるからね」
動揺を隠しながらそう答えたら、話しかけてきた子は冗談が言えるくらい大丈夫、と取ってくれたようだ。
落ち着くために深呼吸して先輩の顔を改めて見る。めちゃくちゃ恰好いい。
正直学校説明会なんて適当にスルーするつもりだったのに。目の前の先輩を見て参加してよかったと思い直す。
もはや話を聞かずに先輩の顔しか見てない。
先輩、彼女いるのかなあ・・・
あの格好よさならいて当然だよね・・・
「何か質問はありますか?」
一通り説明を終えた先輩が新入生に話しかけてきた。
よし、ダメもとで先輩に聞いてみよう!
「はい!先輩!質問があります!」
「はい、質問どうぞ」
「先輩って彼女いますか?」
「えーっと、彼女はいません」
え、本当に?こんなに格好いいのに彼女いないの?
「どんなタイプの女の子が好きですか?」
「ちょっとまって。こんな質問やめて」
よし、じゃあ立候補だ!
「私とか彼女にどうですか?」
「あの、今日初対面なのにいきなりそれ聞きますか。君を知らないから答えようがないなあ」
先輩は苦笑いして答えてくれたけどその顔も好き。もう声聞くだけでドキドキする。
先輩の彼女にして欲しい・・・いや彼氏にしたい!
「じゃあ、私の名前覚えてください!」
「箕輪和泉・・・さん」
よし、名前は伝えられた!先輩、覚えてね!
そ、そうだ、名前聞かないと!
「私の名前教えましたし、先輩の名前教えてください」
「最初に言いましたよ?日下太一です」
「クラスはどこですか?」
「2-Bだよ」
「ありがとうございます!日下先輩!」
よし、これで新学期から先輩に会いに行ける。
先輩待っててね。
「すごいね・・・初対面であんな質問するなんて」
一緒にいた新入生がびっくりした顔をして言った。
♢
新学期が始まった。
新入生の教室は3階。HRが始まり早速自己紹介から始まった。
「箕輪和泉です。中学時代は短距離で学年1番でした。陸上部に入ります。よろしくお願いします」
パチパチと拍手を貰って座る。無難に終わったんじゃないかな、かな。
「箕輪さんて言うんだ。よろしくね。あ、僕福田といいます」
後ろの席の男の子が話しかけてきた。
「うん、福田君ね。よろしくね!」
先輩以外の男の子は正直どうでもいいんだけど、クラスメートだし、ある程度は仲良くしとかないとね。
午前中の授業も終わり昼休みに入り、クラスの子たちで集まってお弁当を食べた。
「箕輪さん、足速いんだ。うらやましい」
「学年1番の速さってすごいよね」
自己紹介の話で色々声をかけてもらったりして、それなりにクラスになじめた気がする。
先輩に会いに行くのは放課後でいいよね。用事に付いて来てほしいし・・・放課後のほうが長く一緒に居られるし。
♢
放課後になり私は1-Bの教室から日下先輩のいる2-B教室に向かった。
3階から2階へ1つ降りるだけなのに先輩たちの階の廊下はすごい緊張する・・・
新学期早々、上級生の階に一年生がいると目立つのか、視線が集まってる気がする。
あ、2-B教室ここだ
日下先輩どこかな?・・・あ、見つけた!
「お、一年生が何か用かい?」
2-Bクラスの人が声をかけてきた。
「日下先輩に用があって」
「おーい、日下、かわいい後輩が来てるぞ」
か、かわいい・・・
ちょっと照れるけど日下先輩はどう見てくれるかな。
「日下、見かけによらずもう1年生に手出したのか」
「そんな訳ないだろ・・・」
日下先輩がこちらに来てくれる。
「日下先輩!こんにちは!」
「箕輪・・・さんだっけ、どうしたの?」
先輩、私の名前忘れてましたね・・・今名札見たの分りましたよ・・・
♢
私は今、日下先輩と陸上部室に向かって歩いている。お願いしたら付いて来てくれた。嬉しい。
「陸上好きなの?」
先輩が聞いてきてくれた。
「はい。中学の時は短距離やってました。学年1位の成績だったんですよ」
私のちょっとした自慢だ。
「それはすごいね。ここでもトップ狙えるね」
「先輩は部活やらないんですか?」
「去年は文芸部にいた」
意外な部活動だったので、つい、
「え、似合わない」
と言ってしまった。
「うるさい、判ってるよ。もうやめてるし・・・」
今先輩、ちょっと辛そうな顔だった・・・何かあったのかな。
♢
付いて来てくれた先輩と別れて陸上部に入部届を出し帰路につく。
さあ、明日から陸上部に参加するよ!
放課後途中までだけど一緒に帰れたらいいなあ・・・
先輩、明日も放課後行くので待っててね!
後程細かく修正訂正変更いたします。
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