1話 新入生との遭遇
学校行事で知り合う先輩と後輩
エンディングはハッピーエンドの予定
※サブタイ等変更
僕、日下太一は無事高校2年生に進級し、今年も新入生が入ってきた。
入学式後、新入生の最初の学校行事である学校説明会に参加するために僕は高校に来ていた。
僕はどこにでもいる平凡な生徒だと自覚している。背も高くないしイケメンでもないし、おまけに帰宅部である。一切目立つ要素がない。所謂、新入生に対して、
【毒にも薬にもならない】
からこそ新入生の最初の学校行事に選ばれたと思っている。
◇
「こんにちは。高校入学おめでとう。入学式のあとすぐですけど、これから色々説明していくのでわからないことがあったら聞いてくださいね」
僕は学校生活についての注意事項を順を追って説明していく。
学校説明会は新入生に対して学校行事やルールの説明をする場で、上級生が説明役をやることになっている。
一通り説明した後、グループの面々に向かって、
「何か質問はありますか?」
◇
「はい!先輩!質問があります!」
途端に栗毛の女の子が質問してくる。
「はい、質問どうぞ」
「先輩って彼女いますか?」
「えーっと、彼女はいません」
「どんなタイプが好きですか?」
「ちょっとまって。こんな質問やめて」
「私とか彼女にどうですか?」
「あの、今日初対面なのにいきなりそれ聞きますか。君を知らないから答えようがないなあ」
恋愛苦手な僕にその手の質問はやめて、と苦笑しつつ返答した。
ちょっとやかましい元気な子だなあ、という第一印象だった。
「じゃあ、私の名前覚えてください!」
と、名札を見せてきた。
「箕輪和泉・・・さん」
「私の名前教えましたし、先輩の名前教えてください」
「最初に言いましたよ?日下太一です」
「クラスはどこですか?」
「2-Bだよ」
「ありがとうございます!先輩!」
名前はいいとしてクラス聞いてどうするつもりなんだろ?
◇
新学期が始まった
クラスは1年生の時と全く同じで学年だけ上がったので、特に何かが変わった訳ではないが、
通う教室が3階から2階になったのと、プレートが2-Bに代わって進級したという実感はあった。
ひとまず初日の授業は無事終了、ホームルームも終わり帰る用意をしていたら、栗毛の女の子が教室の外にやってきた。
ちょっと不安そうな顔で教室をキョロキョロ見廻し、僕の顔を見つけてほっとした顔で、
「先輩!こんにちは!」
◇
どうしてこうなった?
学校説明会で変な質問をしてきた女の子が僕宛にやってきた。
「箕輪・・・さんだっけ、どうしたの?」
学校説明会の時の女の子というのは判ったけど、咄嗟に名前が出てこなかったので彼女の名札を見て答えた。
「あー!先輩!私の名前忘れてましたよね!ひどい!」
「いやいや、初対面で覚えるほうが珍しいんじゃないのか」
「まあいいです。先輩、今日はこの後用事あります?」
「もう帰るだけだから特には無いな」
「じゃあ、私陸上部に入るので、一緒についてきてくださいよ」
「え、なんで僕が」
「いいじゃないですか、こんなかわいい後輩と一緒できるんですよ?」
「自分でかわいいって言うなよ」
よく見るとはっきりした顔立ちに栗毛がよく似合ってて、可愛い部類に入ると思う。自分で言ってるのがアレだけど。
「まあいい、帰る途中で寄るだけだからついていくよ」
「先輩、ありがとうございます!」
運動部の部室がある別棟へ色々話をしながら向かう。
「陸上好きなの?」
「はい。中学の時は短距離やってました。学年1位の成績だったんですよ」
「それはすごいね。ここでもトップ狙えるね」
「先輩は部活やらないんですか?」
「去年は文芸部にいた」
「え、似合わない」
「うるさい、判ってるよ。もうやめてるし」
辛い記憶が一瞬出て来そうになるが何とかこらえた。
◇
女子陸上部室前まで案内して、
「ここが部室。あとは分かるな」
「はい、判ります。ここまで付き合って頂いてありがとうございました」
ペコリと頭を下げてきた。可愛く栗毛が跳ねていた。
「じゃ、僕は帰るよ」
そう言って帰ろうとした時、
「明日も放課後教室に行きますので待っててくださいね!」
「え、明日も来るの」
「もちろん!毎日行きますので!じゃ先輩、今日はありがとうございました」
おいおい、本気か。学校説明会で会っただけの後輩の女の子にここまで絡まれることになるとは。
悪い気はしないけど、なんかグイグイ来て怖いなあ。
まあそのうち飽きるだろうけど、色々辛いことを思い出してしまうから、僕にあまり絡まないでほしいなあ・・・。
そのまま部室に入っていった彼女を見送って、僕は帰ることにした。
――それが今後引っ掻き回されることになる後輩との出会いだった。
後程再構成修正します。感想など頂けたら嬉しいです