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旦那様は魔王様!  作者: 狭山ひびき
旦那様は魔王様
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プロローグ

移行作業途中のまま忘れていました。すみません…。

ここから最終話です!

 燭台の炎が揺れると、青みがかった銀色の髪がそれを反射してキラキラと輝く。

 海よりも深い青色の瞳は伏せられて、組んだ足の上に開いた本の上に落ちていた。


 パラリ、パラリとページをめくる音と、燭台の炎が時折あげるジジ……という微かな音だけが広い室内に響いている。

 破天荒で、口開けば派手なことばかりを言うセリウスも、黙っていれば彼の持つ美貌だけが際立って、氷のように冷たく近寄りがたい雰囲気を醸し出す。


 こういうときの表情は、兄である魔王シヴァにしている部分があった。セリウスは父である先代魔王の容姿に似ていると言われるが、いつもにこやかに微笑んでいる父が冷たい表情をしたことは見たことがない。そういう意味では、本質はシヴァの方に近いのかもしれなかった。


 分厚く、そして年代を感じさせる黄ばんだ本のページを、ゆっくりとめくっていく。

 それは、古代魔法に書かれた研究書だった。

 城にあるセリウスの部屋の本棚には、こうした古代魔法に関する書物が、びっしりと並んである。中には怪しげな本もあるのだが、それは彼の趣味によって集められたもので、本棚のほとんどを占める古代魔法の研究書は、今は城から離れている双子の弟であるクラウスが「もう必要ない」と言って城においていったものの一部だった。


 容姿だけはそっくりな双子のクラウスだが、派手好きのセリウスとは異なり、騒々しいことを好まず、声をかけなければいつまでも図書室にこもりきりになるという、超がつくほどのインドアな弟だ。

 正直言って、セリウスはクラウスが苦手だったが、彼が残した蔵書はセリウスの悪戯心――もとい、知的好奇心を十分に満たしてくれる代物であったので、たまにはあの堅物も役に立つものだとセリウスはほくそ笑む。


「あった……」


 分厚い本の中に、知りたかったことについて書かれたページを見つけて、セリウスはニヤリと口端を持ち上げた。

 セリウスは本をおいて立ち上がると、バルコニーに出て夜空を見上げる。

 今にも降ってきそうなほどの無数の星が、ダイヤモンドをばらまいたかのように輝きながら空を彩っている。


「あと……、ひと月」


 バルコニーの手すりに肘をついて空を見上げたまま、セリウスは楽しそうに微笑んだ。


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