青々とした空
「柚、明日僕の病院これる?」
「明日は仕事休みだから行けるけどどうしたの?」
「会わせたい人がいる」
次の日。わたしは晴人の病院に行った。
「お! 柚!」
晴人は白衣を着ていた。仕事の姿、久しぶりに見た。新鮮だな。
「この部屋の人に会ってほしいんだ」
「うん」
緊張する。誰だろ。
「齋藤さん。連れてきました。探している人を」
「あら、もしかして、あのときの事故でわたしを救ってくれた人?」
「あ、あのときの! あれからどうなったのか凄く気にしてました。会えて嬉しいです」
「あなたは私の命の恩人よ。意識戻ってから、警察が事故について訪ねてきてね。そのときに、私を止血して応急処置してくれた女の人がいた話を聞いたのよ。でも、名前が分からなくてね。それで、この主治医の坂井先生に話したのよ。そしたら、思い当たる節がありますなんていうから……びっくりしちゃったわ。奇跡よね」
「そうだったんですね。もう一度会えるなんて、奇跡です。すごい」
「あのとき、止血してくれてなかったら、死んでたかもしれないって言われたわ。ほんと、佐々木さんには感謝しても感謝しきれないわ。わたしね、まだやりたいことあって、まだ死ぬわけにはいかなかったの。だから、ほんとあなたには感謝しかないわ。家族も泣いて喜んでくれてねぇ。ほんとうにありがとう」
彼女が助かってて本当に良かった。
こんなわたしでも人の役に立てたのかな。
晴人にお礼を言って病院を出た。
十二月に入り、外は寒かった。この頃、空は雲に覆われていて、どんよりしていた。しかし、今日の空は青々としていて、清々しかった。
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