ライト
太陽が沈みかけている。
玄関から通りを通る車が見える。
ライトをつけてる車があったりなかったり。
こんな大きな声でずっと喋られてたら近所迷惑だろうな。
って思ってたけど、ふと見るとアパートの駐車場には、私の車とその女の車しか止まっていなかった。
ふぅ。良かった。一安心。
女は目を見開いて凄い形相。
目をよく見ると充血している。
Apple Watchを見る。
この女が来て、40分が経過していた。
そろそろ、帰ってほしいな。
もううんざりだ。
たまに通る歩く人がじろじろこっちを見る。
それはそうだろう。
でかい声で罵声を飛ばしているのだから。
わたしは二言三言しか言葉を発していないが。
「あなた聞いてるの!」
「あ、ごめんなさい」
「あ、じゃないわよ。話聞きなさいよ。あなたのその態度が気に入らないわ。どうせあなたみたいな人は人生に嫌気が差すことなんてないんでしょうね。人を騙して蹴落として。どうせそんな人生送っているんでしょ。ほんと、つまらない人間ね。私なんて一晩中泣いたのよ。あなたは泣くなんてことないんでしょ。泣くなんていう悲しいことないんでしょ。いい人生送っているわね。ネットでばらまこうかしら。あなたの悪質な行為。それとも職場にバラそうか?」
「何してるんですか? そこで」
「え、晴人」
「あなた、誰よ。この子の知り合い? わたしね、この子に用があってきたの」
「なんの用ですか? なんで玄関の前で?」
「大事な話よ。いまね、佐々木さんに家に入れてもらうところなの。ね?佐々木さん?」
「彼女、嫌がってますよ。帰ってもらえませんか?」
「そんなぁ。嫌がってるなんて。そんなことないわよね? 佐々木さん」
「早く帰ってもらえませんか? これ以上居ると、侮辱罪、脅迫罪で訴えますよ? 警察に電話しますけど」
「ちっ。くそ」
女は、舌打ちをして睨めつけて帰っていった。
見送る車は、凄いスピードで暗闇の中へ消えていった。明るいライトがどんどん小さくなっていった。
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