寂しい気持ち
バーを出て、飲み屋に行くことになった。
さっき会ったばかりの人と飲むなんて、ばかげてる。
でも、私は、そういうことをしてしまうんだ。
晴人に会えなくて寂しい。それだけで、そういう行為をしてしまう。
これって、浮気かな。
彼氏ができたら、いい加減治さなきゃいけないと思っている。
けど、今日もまたこうして男と2人で飲んでいる。
ほんと、ダメな人間。
飲み屋に行ったあと、ホテルに行った。
いけないことは分かっている。
これを知ったら晴人が悲しむってことも。
しかし、やってしまう。
寂しくなると、いてもたってもいられなくなってしまう。
そんな時は、誰でもいいから、誰かに抱かれたい。
生理的に受け付けない人でなければ、誰でもいい。
晴人と付き合って、そんな気持ちはなくなると思っていた。
いや、なくさないといけない。
なのに……
人間はストレスがかかったとき、どう対処するか。
美味しい料理を食べる人もいる。温泉に入る人もいる。好きなドラマ、映画を見る人もいる。好きなアイドルを見る人もいる。友達や家族と話す人もいる。
これらと同じで、誰かに抱かれることによって、ストレスがなくなる。寂しさがなくなるのだ。
その行為により、明日からまた生きることができる。
ホテルから出て、その男とは別れた。
連絡先はもちろん教えなかった。
その男にこだわっているわけではないし、変に情が移られると原田みたいになってしまう。
スマホを見た。
晴人からメッセージ。
「いま終わったから帰るね。遅くなってごめんなさい」
帰り道、罪悪感に打ちひしがれた。
晴人は私のために尽くしてくれているのに、わたしは何してるんだ。
晴人に申し訳ない。
晴人は一生懸命仕事してるのに。
それで遅くなっただけなのに。
ただ、寂しいという気持ちを少しでも軽減するために。
自分のために、晴人を裏切った。
人間失格。
そんな思いを抱えながら、帰り道を歩く。




