紙やすり
昼食は、定食屋さんに行った。
ほのぼのとしている夫婦がやっている店で、思いやりがあった。
「ここ、雰囲気いいね」
「たしかに。食べログで定食1位だったよ! 夫婦の愛が素晴らしいっていうコメントがあった」
「え、調べてくれたの?」
「当たり前よ!僕が好きな柚のためだもん」
「ありがとう。どれ頼む?」
「ヒレカツ定食にしようかな。ゆずは?」
「じゃあね、わたしはー、エビフライ定食!」
話しながら待っていると、運ばれてきた。大きなエビフライ。美味しそう。
ひと口食べると……エビがぷりぷりして、美味しすぎる。エビ好きにはたまらない。しかも、エビが大きい。いいね。
「ヒレカツ食べてみる? めちゃうまだよ」
「食べたい!」
ヒレカツも美味しすぎた。サクサクでふわふわ。
夫婦の愛がこれを作ってるんだな。
愛って凄い。
夫婦は、にこにこして接客してくれた。
自然とわたしも笑顔になる。
晴人も笑顔になる。
店内には、いろいろな名言が書かれていた。
特にこれには、心をうたれた。
「何度も何度も傷つけられたら、相手を紙やすりだと思えばいい。
多少擦り傷は受けるけど、自分はピカピカになり、相手は使い物にならなくなる」
まるで、わたしに向かってその言葉を言ってくれているような気がした。
思わず、心が動いた。
心が救われた気がした。




