女子会
満天の星空の日から、一週間が経ったが、坂井先生とは特に進展はなかった。
まあ、医者と患者だから、展開がないのが普通か。
少しだけ期待していた自分がいたので、自分を諫めた。
私がいる部屋は、毎日女子会が開催される。
今日もその女子会が始まる。
「明日ね、孫が見舞いに来るのよ」
「いいわね。さちよさんのお孫さん、とても可愛いよね」
「そーそ。何歳だっけ?」
「十歳と四歳」
「小学生と保育園!」
「まだ生意気じゃないから可愛いのよね」
「四歳なんて、ちっちゃくて、手とか足とかがふにゃふにゃしてるところがまた可愛いよね」
「うん。そいえば、今通った看護師さん、今度結婚するらしいわよ」
「えー!お祝いしなきゃね」
「最近、笑顔増えてたもんね。彼女」
「確かにね。私たちの愛する坂井先生は結婚しないのかしら」
「そもそも彼女いるのかね?」
「謎だよね。気になるところ」
と四人で女子トークをしていると、
「何の話してるんですか?」
と坂井先生がきた。
「何でもないわよ〜」
とみんなでニヤニヤしながら顔を見合わせる。
「怪しいな。ま、いいけど。皆さん、元気ですか?」
「はい。全員元気です」
「皆さん、仲良いよね。微笑ましいです」
「そうなの。私たち、なんか仲良くなっちゃったね」
「笑うことは体に良いことなので、これからもたくさん笑ってください」
三人の人柄がとても良いから、こうして仲良くできるんだなと思った。病室に恵まれたと思った。
そして、坂井先生の絡みも良いよね。こんなに患者に寄り添ってくれる先生、滅多にいない。
ありがたい。




