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生きてる価値を探す日々  作者: 湯川田 美央
愛は凶器ともなりうる
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念書

 警告は実行された。


原田の自宅まで私服警察で行って、警察署に任意同行してもらったらしい。


原田が仕事に行くために家を出たときに、アタックして、そのまま、原田は仕事を休み、警察署に向かったという。


抵抗はしなかったらしい。


取り調べ室で話を聞き、念書も書いてもらったらしい。


警察は、


「取り調べしたんですがね、あの言いにくいのですが、原田はね、あなたのことかなり好きみたいなんですよ。


あなたへの愛が止まらない様子でした。


まだ佐々木さんのことがかなり好きなようです」


「え、そうなんですか?」


「そうなんですよ。あなたへの愛をたくさん語っていてね。佐々木さんへの愛が止まらないと言っていて……」


「どう答えればいいのか……」


「そうですよね。原田のことは、私たち警察がしっかり対応いたします。もう佐々木さんには近づきませんという念書を書いてもらいました。ですから、次近づいたり、メールを送ってきたり、電話をしてきたりしたら、逮捕になります。


でも、いつどうなるかわかりません。昨日話しましたが、警告をして、9割の人間は辞めます。しかし、残りの1割は辞めません。それが日本の現状です。油断してはいけません。

まず、玄関に防犯カメラつけたほうがいいですね。あと、車に前後のドライブレコーダーつけることもしたほうがいいな。

もし来たり、変なことがあったら、すぐに110番してくださいね」



朝の通勤と帰宅時間も聞かれ、「その時間は防犯パトロールしますね」とも言われた。


これで何事もなければいいのだが。


ストーカーって、警察はあまり動いてくれないイメージだったけど、迅速に対応してくれた。


良かった。


心もすごく心配してくれた。


心が説得してくれなかったら、警察には行かなかったから、心に感謝しなきゃ。


ありがとう。


怖いと思った。


私はなんとも思っていないのに、相手の思いが強いときの恐怖を感じた。


原田はわたしのことが大好きで愛している。


いつからそうなったのか。


わたしは、ただの従順な都合の良い女じゃなかったのか。


私がそんなつもりなくても、いつの間にか原田に意識させるような行動をしてしまったのか。


警察の方との話が終わり、警察署を出ようとした。


玄関の近くには事務があり、交通課などがある。


その人たちがみんな私のことを嘲笑っているような気がした。原田とあんなことをしてしまったから、こんなことになった。みんな、私のことを馬鹿にしているんだろう。


中学一年生のときと同じ感覚。同じ経験。


また考えてしまう。


わたしは生きてる価値があるのかと。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 柚が言っているように、私も創作物でのストーカーに対する警察はなぜかあまり動かないイメージがありましたが、この警察はかなり熱心に動いてくれていて良かったです。解決したのかどうかは分からないで…
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