第0話 ナマケモノという生き方
突然だけど、ナマケモノっていいよね。
いや、動物の方の。
あの表情の優しさよ。たまらぬ。
それだけではなく、あのスローで堕落を極めきった生き方。あこがれ。
もう、僕の一番好きな動物と言っても過言じゃない。
ちなみに二番は、かなりの僅差でワシ。猛禽類の。
あいつらはイケメンで格好いいんだけど、ナマケモノを捕食するらしいから、減点で二番。
……それはさておき。
僕は以前、割と真剣に、ナマケモノを飼いたいと思っていたんだけど。
もはや近頃は、ナマケモノになりたいとさえ思っている。これも割と真剣に。
次に生まれ変わるなら、絶対ナマケモノがいいなぁ。
天敵のピューマにお尻を噛まれても、お構いなし。
天敵のワシに捕まって大空へ飛び立っても、平常心。
まさに鋼鉄のメンタル!
それとは対照的に、ふかふかと柔らかそうな体毛なぁ~。
実際は剛毛でカチカチだとか、苔でガビガビだとかいう噂があるらしいけど。
そんなのは、ナマケモノが羨ましくて仕方ない人たちが流したフェイクに違いない。
絶対にそうだ。
一日の大半を寝て過ごすんだから、そりゃ苔だって生えるさ!
上等! 僕も立派に苔むしてやろうじゃないか!
まぁ、そんなこんなで。
僕の命の灯火は、ここで消えてしまうのである。
さよなら、みんな。