始まりの記憶
はじめまして、魔弓です宜しくお願いします。
「やめろ…村に……家族に手を出すな…」
「うるせえよ、お前らは俺達に負けた。
だからこそ全てを奪われる、それが嫌ならもっと強く成れば良かったんだ。」
必死に抵抗する村人を鼻で笑いながら止めを刺す。
「麦の一粒も残さず浚え、どうせ警備隊もこんな僻地には来ねえ。」
地面は血に染まり、家は無惨に破壊され、両親や親しかった隣人も殺された。
扉を蹴破られた時に一緒に吹き飛ばされ気を失っていた私が目を覚ましたのは、明らかな致命傷を負いながらも私が生きている事を悟られないよう、自分たちの体で覆い隠す両親の亡骸の下だった。
「売れる年頃のガキや女は全部取っ捕まえたか?」
「何人かは阿呆が殺してしまいましたが、粗方檻に放り込みました。」
私は両親の亡骸の下で血に染まりながら涙を流し、それでも両親の想いを無駄にしないために必死に息を殺す。
「なら先に塒に送れ、残った奴等で死体を村ごと燃やして撤収する。
あまり高値が付きそうに無い奴は好きにしていい。
だが大事な商品だ、要らん傷を付けて値段が下がるような事はするなよ。」
「了解しました。」
拐われた村人を乗せた馬車は賊の塒に帰って行き、程無くして村に油が蒔かれ火が放たれた。
私は迫る炎に怯えながらも賊が完全に居なくなるまで待つと、一目散に村の外へと逃げ出した。
次回更新は未定です。