第四回 『文章を圧縮する!(必要ないけど)』
どうもみなさん、またもこんな僻地をご覧いただきありがとうございます。
ボンクラです。
そろそろみなさん、こんな脆弱エッセイに付き合うのもお疲れではないかと思っていたのですが……。
「次はいつだ、オラァ!」と、借金ならぬ原稿の取り立てに遭いましたので、懲りずにまたも投稿――いやさ、開講させていただく次第です。
心当たりのある方、どうもありがとうございます。
それでは、まずはいつものお約束から。
えー、小説の書き方なんて人それぞれだし、私が述べるのは「当たり前」かつ「どうでもいい」ことで、さらに今の業界において「役に立たない」ものであることをなにとぞご承知下さいませ。
そう……。
いいかみんな、文章力なんて鍛えたってそんな良いこと無いからな! 再三注意しとくぞ! 昨今の業界で売れたいなら今すぐ回れ右だ、ブラウザバックだ! こんなの見たって足手まといにしかならないぞ! 払うチョコのムダだぞー!
……よし、これで今回も注意喚起ができました、と。
それでも構わんという剛毅で物好きな方のみ先へお進み下さい――受講料のチョコを片手にね。
えー、さて、では今回のお題ですが……。
『文章を圧縮する!』
――と、これでいこうかと思います。
ハッキリ言って、これほどこの「なろう」で邪魔になる技能はないんじゃないでしょうか。……あるかな? あるかも知れませんね。でもまあ、役に立たない、邪魔、であることは確実じゃなかろうかと。
……いいですか? 圧縮です。単に短くしろっていうわけじゃないです。
ダラダラと長くなってしまった文章を、短く「纏めろ」という話なのです。
あー……分かりますよ。みなさん、今、すっごいイヤな顔しましたね?
まあ、めんどくさくてつまんない作業ですからねえ。しかも、しないならしないで何とでもなる――まさに、考えたくないしたくない嫌われ工程ナンバーワン。
……そうです。
今さら、物書きやってる皆さんに言うほどのことでもないでしょうが――。
文章ってのは、足す方が簡単です。圧倒的に。
その逆に、ただ切るのではなく、意味を残したまま「削る」のは非常に難しいのです。
特にこの「なろう」のような発表の場では、基本、字数制限は無いに等しい。いくら書いてもいいわけで……となれば、わざわざツラい思いをしてまで削ったりする必要も無い。
ですが……。
文章力を鍛える上で特訓というものがあるとするなら、この『文章圧縮』という工程はまさしくその筆頭格に上るかと思われます。
もし私に、『それなりに文章力がある』と皆さんお認め下さっているとするなら、それを培った土壌の一つはまさしく文章圧縮のはずです。
なぜなら、私は基本、長いこと小説新人賞の応募のために作品を書き続けてきたからです。
あの手の公募は、大体、原稿用紙換算250〜350枚程度……といった具合に、文章量に規定を設けます。基本、それを逸脱することは許されません。
なので……その範囲に収まる話を考え、また、それを確かに収めるように調節する、という作業が必要になります。
つまり、やるしかなかった。考え抜かざるをえなかったんですね。
そして、そんな作業を何年も続けていれば、イヤでも技術として身についてきます。慣れてきてしまいます。……そうして凝り固まったのが今の私、というわけです。
……なので、怒られるのを承知で敢えて言いましょう。
文章力を鍛える、という観点では、「なろう」は甘すぎます。いくらでも好きなように書けるのなら、文章力なんてそうは成長しません。こねくり回す必要がないんですから。
もちろん、「なろう」ならではの苦労はあるでしょう。いくらでも書けるというのも、逆に見れば一つの枷です。しかも、更新頻度は高い方がいい……となれば、とにかく書く方がいい。そして、書き続けるのもそれはそれでツラい。
……そう。これらもまた、文章圧縮とは相反する事柄ですね。
ちなみに、別に私は「なろう」をバカにしているとか、公募が最高だとか言う気はありません、まったく。
むしろ、閉鎖的な公募に比べて、色んな人と交流して意見ももらえる「なろう」のなんと開放的で明るいことか、と喜んでいるぐらいです。こうやってエッセイもどきなんかもやらせてもらえてるわけですし。
ただ、この講座(っぽいもの)の趣旨は、「文章力の向上」です。
どうやったら面白い話が書けるか、ではありません。その辺、カン違いされている方もいらっしゃるかも知れないので、今一度――。
私がグダグダと述べているのは、「文章力」についてです。あくまでその一点です。
……なので、その点については、やはり「なろう」は甘いのです。
皆さんが今書いている作品、同じ内容で半分にしろ、と言われたらいかがですか?
できるわけない? まあ、そうですよね。でも、やらなければならないとしたら?
それを一度、考えてみて下さい。
そして、試しにやってみて下さい。
……どの表現をもっと短い言葉に置き換えるか。
どことどこなら、表現を一語で繋げられるか。
本当に必要な文を限界まで見極めて取捨選択し……セリフの中の一文字、句読点の有無、その必要性まで一つ一つ吟味し……。
そんな風に、ひたすら文章を洗練することに意識を集中していると、以前お話したような、『同じ言葉の繰り返し』なんてものは勝手に減ると思います。明らかに一番に目に付く邪魔モノですから。
……ちなみに、誰にも確かめようのないことでしょうが、一応「ホントにお前はやってたのか!」とか責められる前に情報開陳しておきますと……。
読んだ方はほとんどいらっしゃらないでしょうが、私の作品『畢罪の花』は、書き上げた当初は今投稿してある分の1.5倍はありました。たしか、30万字なんて軽くオーバーしていたはずです。35万ぐらいいってたかな。
それを、今の22万字程度まで削りました。もちろん内容は変えてません。むしろ、必要と思われるシーンを付け足したりもしてます。その分、さらに削れると思った分を徹底的に削り落とした結果が、今投稿されているものです。
だから最高の出来だとか言うつもりはありません、色んな人に意見ももらいましたしね。まだまだ改善の余地はあるでしょう。
ですが、私でもこれぐらいは出来るんです。出来たという事実があるんです。
なので皆さんも、ムリだとか諦めず、やるだけやってみて下さい。その過程で、文章力ってのは確実に鍛えられるはずです。
……もっとも……。
最初に申し上げましたように、この「なろう」ではまったく必要の無い作業ですので、やればやった分だけあなたの本業に差し障りが出る恐れが多分にあります。
用法、用量は、ご自分の判断で適切に。
……いやホント、「投稿遅れたのはお前のせいだー!」とか、苦情はカンベンして下さいね?
何度も言ってますからね? ムダで役に立たないって、毎度のことながら!
――さて、そんなわけで、今回の講座はこれにて終了とさせていただきます。
いいですか、「どうやったら同じ内容でもっと短く出来るか」ですよ?
単に何でもかんでもぶった切りゃあいいってわけじゃないですよ?
……って、みなさん分かってますよね。すいません。
それではシメに、いい加減しつこいって言われそうですが、これもお約束ということで。
はい皆さん、受講料はチョコですよー。
忘れず置いてって下さいねー。
忘れても置いてって下さいねー。
要するに置いてって下さいねー。ねー?