第三回 『擬音と効果音は違う!(小説においては)』
えー、どうも皆さん、毎度おなじみボンクラです。
なんか最近集まりいいですねえ……読まない方がいいってさんざん言ってるのにこんなにも人が――って、良く見たらほとんど書き割りじゃないですか!
誰ですか、こんなささやかな気遣いしてくれたの……いえ、いいんですけど。
えー、ではまず、恒例の前置きから。
小説の書き方なんて人それぞれだし、私が述べるのは「当たり前」かつ「どうでもいい」ことで、さらに今の業界において「役に立たない」というのを、大前提として留め置き下さいね。
だから、誰かにケンカ売ったりとかしてませんからね? 毎回言うけど。
さて、この第三回は……なんか色んな人から「書くよな?」と視線で脅されていた感のある、擬音についてです。題して、
『擬音と効果音は違う』
……と、いうことで。
ちなみに舌の根も乾かぬうちになんですが、辞書的にはこの二つ、ほとんど同じ扱いです。そう、ほぼ一緒なんですよ、国語としては。
ですがね、私としては、使い方で明確に変わると思うんですよ。
だって、「語」という字がくっつくのは、「擬音」の方だけなんですよ?
「効果音語」なんて言葉は無いんです。
つまり、いきなり何が言いたいかといえば……。
言葉として、文章として使うのが「擬音」。
ただの物音が「効果音」。
……という風に分けて考えるといいんじゃないか、ってことです。
まあ、是非はあると思いますが、ひとまずそういう前提で話を進めさせていただきます。
――さて。
ちなみに私は、擬音をほとんど使わない派です。第一回でも述べましたが、それを文章で表現するからこその小説じゃないか、という考えですので。
どれぐらい使わないかと言うと、(自作を引き合いに出すのは良くないかもですが)拙作『ゴーストキャリアー』あたりが如実に出ているかと思います。コメディ色の強いカーアクションですが、擬音はほぼありません。チラ見していただくだけでも分かると思います。
キキーー! とか、ギャギャーー! とか、ゼンゼンありません。カーアクションもののくせして。
ただ、だからといってもちろん、「これが最高!」とか言いたいわけではありません。
わかりにくい、とか、冗長になる、とかあるでしょうしね。
……なので、擬音を使うな、なんて口が裂けても言いません。
文章で表現するときと比べて、「ここは擬音の方がいいな」と考え、その上で効果的に使うのなら大賛成です。
数にしたって、特別減らせとは言いません。
少ない方が小説らしくなるのは間違いないでしょうが、しかし表現として最適だと作者が思われるのなら、数が多くたって、連続していたってゼンゼン構いません――使っちゃいなよいっちゃいなよ。
……え? 意外ですか? 使うな減らせって言うと思ってました?
まあ、文章力を鍛えるなら、まず使わないことを考える方がいいですけどね。
……ともあれ、ここで、前提として述べた「擬音」と「効果音」の違いが出てくるんです。つまり――。
『「擬音」は使うも良し。だけど「効果音」は使うな』
……と、いうわけです。
なんのこっちゃか分からない? まあ、そうですよね。
もうちょっと、先の二語の違いについて踏み込みますと……。
文章の中にあって、前後と繋がりがあり、言葉で表現するところを敢えて「音」に込めた――言葉としての意味も含めたそれが「擬音」だと思うわけです。
それに対して、
取り敢えず、それっぽい音で描写を『誤魔化す』――それが、小説における「効果音」ではないでしょうか。
マンガなら、絵があるから効果音でいいんです。小説において描写を「意味の込められてない」効果音――タダの音――で済ませるのは、単なる手抜きです。
少なくとも、私はそう思うわけです。
読んでて不快に思ったり、首を傾げてしまうような「音」があるとしたら、それはきっと中身の無い――あるいはかけ離れてしまった、「効果音」なのでしょう。
――と、いうわけで、今回の締めとしては……。
まずは「音」に頼らず、言葉で表現するよう努力してみる。その上で、「擬音」がいいと思ったのなら(前後の文章も考慮した上で)、使うのにためらわない。
ただし――最初っから、「それっぽい、中身の無い音」に描写を丸投げしない。
……こんな感じでしょうか。
もっと具体的に例を挙げろ、とか言われたら、それはまた補講で語ることにしましょう。
ともあれ、今回もまた、「当たり前」で「どうでもよく」、「役に立たない」講座でございました。
ご静聴ありがとうございます――って、ほとんど書き割りなんだから当たり前か。
はい、では今回も受講料はチョコでお願いしまーす。
高級品でなくていいから、ちゃーんと置いてって下さいねー。
……って、誰も置いていかねえな。書き割りだから当たり前か……。