第一回 ―補講―
えー、どうもどうも。今回は補講となります。
一回目の講座について、友人より、
「言葉で表現しろってのは分かったから、その表現をするための具体的なコツを教えろ!」
……と、首根っこ掴んで脅されましたので、それについて少し。
けれどまあ、やっぱり特別なことを言うつもりはありません。
情景や心情を表現するのに、これ以上ないほど適切と思える言葉が、毎度毎度、都合良く出てこないことは私だって分かってます。
そこで――。
今回ご提案するのは、
『とりあえず、思いつく言葉を幾つか繋げて表現してみる』
……というやり方です。
先に述べたように、いきなり、一番適切な表現が思いつくなんて、そうはないと思います。だから執筆ってのは苦労する。……ですよね?
なので、直接最適解を求めるのではなく、ちょっと遠回りして表現を理想型に近付けていく方法を採ってみましょう。
ダラダラした長文になってもいいので、とりあえず、思いつく言葉、使える単語で表現してみる。すごい不格好な文章になる? 結構です。そう思ったら、それをどうしたら不格好でなくなるか、調節してみましょう。
似たような言葉を、また別のものに置き換えてみたり、やっぱりいらないと感じたのを削ってみたり、一つに出来そうな単語を組み合わせてみたり……。改めて辞書を引き直してみて、類似する別の単語を探したりするのもいいでしょう。
また、そうこうしているうちに、より良い表現が思いつくかも知れませんしね。
……さて、あとは頑張って体裁を整えれば、いくらか理想型に近い表現も出来上がってくるのではないでしょうか。
それは妥協と言えば妥協かも知れませんが、視点を変えれば、
『求めていた表現に適切なものを、さらに自分なりの言葉で〈表現〉した』
……とも言えると思います。
つまりこれで、同じような状況で使える、「自分なりの表現」を、一つ、手に入れたことになるわけです。
それは、辞書に記載されているものではない、他にまたやりくりが出来る自分だけの財産……ではないでしょうか。すごく良いように言うと。
さて……ひとまず思いつくところで述べてみましたが、どうでしょうか。
また何か気付けば、後々、語らせていただくかも知れませんが……。
どっちにしろ、私の述べることなんてやっぱり「当たり前」かつ「役に立たない」ものでしかないので、そこのところはなにとぞご留意を。
……あ、それから、今回は勝手な補講ですので、受講料は結構ですよー。
ええ、無料です、タダです。
あ、そもそもチョコ1個でも請求すんな生意気な、というのはナシでお願いしますね。
――ではまた、機会がありましたら。