特別講義 『ボンクラ式短編の作り方的な適当レポート』
えー、さてさて……。
いちいち前フリを書くのも改めてどうかと思ったので、早速本題から。
……といっても、ぶっちゃけ講義ってほどでもないんですが……。
ええはい、今回は――。
先日投稿いたしました、コラボ作でもある短編(形式は連載ですが)……。
『はらはらと、はらはら』
――これの制作過程とともに、ボンクラ式短編の書き方――的なところに触れてみようと思います。
……あ、それと毎度のことながら、言ってることは当たり前のことだったり、あくまでボンクラ式の一例だったりで、特に役立つようなものでないことをご了承下さいませ。
そして同時に、該当作を読まれていない方には、「なんのことやら」な話であることも前もってお知らせしておきます。
ゆえに、もちろんネタバレも含みますので……一応、ご注意を。
まあそもそも、制作過程とかぬかしても、いちいち覚えてるわけでも記録に残してるわけでもないんで、その辺はかなり適当だったりするんですが……。
……さて。
まずはベースコラボってことで、お題から共通のプロットを考えることになり……ボンクラの(勝手な)思い付きにより、大筋は『〈はらはら〉という妖怪を使った話』に決定しました。
――で、ここで考えます。
まず、そこまでガチガチなものを書くほどの時間も労力もさすがに無い――けれども、手を抜いて適当なものを書くわけにはいかない。
そして、お題を回収する必要と、共通プロットに『なんらかの事件が起こる』とあるところからしても、掌編にまで圧縮するのは難しい……。
……ってことで、大体の長さを1万〜1万5千字ぐらい、と設定しました。
それと前後して、主軸となる〈はらはら〉について固めます。
――さて、これが短編を書くときのポイントだと思うんですが……。
連載長編ならまだしも、短い文量でまとめる必要がある短編は、ことさら『何について書くか』というテーマ・主軸の設定が重要になってきます。
それ以外のすべては、そのテーマ・主軸を引き立てるために使う……といっても過言じゃないくらいに。
そうしてメインを絞り、それだけに焦点を合わせるのを意識することで、短編として、全体が1つのテーマに沿って引き締まると思うからです。
短編はまず削ってナンボです。寄り道してる余裕なんて無いと考えましょう。
あれもこれもと詰め込むのはダメです。絞って下さい。
いるかいらないか分からないようなものは、ほぼいりません。切り捨てましょう。
……えー、話が逸れましたね。
〈はらはら〉という語感からして、イメージされるのは『なんだかボンヤリしたもの』『儚げなもの』です。
少なくとも、ガチムチの鬼が「ワシが妖怪はらはらじゃあ!」とか吠えるのは明らかに違います。
……というわけで、作品そのものを、そのイメージに沿って『ボンヤリしたもの』にすることに決めます。
同時に、〈はらはら〉が正体不明ながら実は良い存在だった、というシメをまず仮定として置きます。
短編は特に、シメ方(ゴール)が念頭にないと……途中で迷走する余裕もありませんので。
〈はらはら〉というものの成り立ちについて考えて、〈ほらほら〉からの変遷……と案が出たところで、言葉遊びでよりイメージの方向性を強められるな、とさらに骨組みを固めます。
具体的には、はひふへほ、の五十音順を区切りに使うことで、全体的に統一感をもって引き締められる……という計算ですね。
ただ、メインである〈はらはら〉は盛り上げのためにも最後に持ってきたいので、そっくりひっくり返して、〈ほらほら〉から逆に辿っていく形にします。
で、〈ほらほら〉〈へらへら〉……などといった、それぞれの『音』を区切りの頭、かつ区切りごとの小テーマに据えることにします。
これもさらなる全体のイメージの補強ですね。
ただ、これにこだわったことで、〈へらへら〉については、やや強引になってしまった……というのが、作者として、この作品の評価を下げた一因だったりするのですが。
うーむむむ……。
……さておき、これで全体の枠組みは見えました。
まああくまで仮で、書いてるうちにいじる可能性はあるわけですが、とにかくこの枠組みを念頭に置いて書き進めます。
ポイントは、特にこの作品については、『語りすぎないこと(文章量的にも)』『適度にぼかす(ボンヤリさせる)こと』『しかし当然必要な情報は入れること』……でした。
特に、子供の頃の思い出が重なるときは、最後まで明確な情報は出さないよう、でもボンヤリさせすぎないよう気を付けました。
あんまり「遊んでるとき1人特殊な子がいた」みたいに書くと、「そいつが〈はらはら〉だ!」ってバレてボンヤリ感も緊張感も消えますし、かといって、何の情報も無いと、いかにもご都合主義的にいきなり現れたように見えてしまいかねないので。
この辺は読み手のカンの鋭さとかに影響を受けるので、線引きが難しいんですが……とりあえず今回は、視線の存在とかを強調しつつ、一緒に遊んだ子供たちのことをあんまり詳しく描写しないことで、想像の幅を持たせて、余裕を作っておく、というやり方を取りました。
……で、全体的な流れとしては……。
頭の中で映像をイメージしつつ、それを表現するのに必要最低限の言葉だけを書き出して……その上で、『他人』である読者さんが迷わないよう、状況の道しるべとなる描写を添えて(これが大事)、適度に補完していく……そんな感じでしょうか。
加えて、所々に〈ほらほら〉を差し込んで、読み手のイメージも補強しておきます。
ただし、ちゃんとストーリーに沿って、クドくなりすぎない程度に……印象付けで。
で、ラストのシメは、〈はらはら〉を正体不明のままにする案もあったものの、それをすると「ほんなら結局〈ほらほら〉やん! 〈はらはら〉ちゃうやん!」……となってしまうので、ちゃんと〈はらはら〉となる理由付けも添えて……当初の予定通りのシメ方に。
〈はらはら〉は良い存在、としてシメるので、桜の花びら(ピンクだと色味が強すぎるきらいがあるので白)で飾り立て、視覚的にも明るく、美しく……また主人公の気持ち的にも上向きにして。
その上で、一番最初の文頭と対比させるように、今度はいいものに聞こえるようにもう一度風の音を入れて……完結。
――と、まあ、大雑把に語るとこんな感じでした。
もしかしたら、皆さんが短編を書くときの参考にでも(ちょっとは)なるかと思って書き連ねてみましたが、さて、どうなんでしょうね?
あ、与太話のようなものなので、今回はチョコはいりませんよー。
――えー、ではでは。
またいつになるか分かりませんが、気が向いたときの講座で(やる気ねーな……)お会いいたしましょう〜。




