第六回 『流れ・リズムを意識する!(言われるまでもない?)』
みなさんどうも、ボンクラです。
いかにも役に立たない駄文エッセイ――略して駄ッセイのお時間です。
どっせい。
今回もわざわざのお運び、まことにありがとうございます。
しかし……元凶たるこのボンクラが言うのもなんですが、皆さんホントに大丈夫ですか?
お約束として毎回繰り返しますが、当講座は、「当たり前」かつ「役に立たない」ことを、つらつらと述べるだけのハタ迷惑なものですからね?
お時間、労力が惜しいと思われる方は、即座に退出されることをオススメしますよ。
うん……でもこうやって脅しても、やっぱりと言うか、お一人は残ってしまわれたようですね……。
仕方ありません、それでは、今回も開講いたしましょう。
さてさて、では、今回のお題は――。
『流れを意識する』
……と、これでいかがでしょうか。
そんなん、改めて言われんでもやっとるがな!……かも知れませんけど。
……さて、前回の本講でちょいと触れましたが……。
小説を構成する文章には、全く気にせず書いていたとしても、流れとかリズムといったものが存在します。
物語の展開に緩急がある、みたいな表現がありますが、その視界をもう少し狭めていって、文章単位に落とし込んだ感じでしょうか。
そして、そうした『流れ』が整えられている文章は、読みやすくて理解しやすいものだと思うのです……パッと見では、文字数が多くて重そうだったとしても――少なくとも、その印象よりは。
逆に言うと、文字数が少なくて読みやすそうに見えても、流れが悪い文章は読みづらくて、心なしかイライラさせられたりすると思います。
……というわけで、喉に引っかかって飲み込みにくい文章より、つるりと喉ごしの良い文章になるよう、アレコレ考えてみましょうか。
さてさて、まずは――前回と若干被りますが、誤字脱字を減らすこと。
これは、そのミスに読んでる人が気付くかどうかにもよりますが……気付かれると確実に、流れを『止めて』しまいます。
それだけならまだしも、場合によっては、流れを誤誘導して文章の意味を別物に変えてしまう危険性すらあるでしょう。
たとえば、ちょっとシリアスな表現にしたかったのに、誤字によって、逆にシリアスを狙ったコメディ表現なのかと勘違いさせてしまったり……とか。
そうして方向性が狂うと、次の文章との兼ね合いも悪くなって……結果、読者さんが想像されている光景を見失って、「んん?」と、迷ってしまうことになりかねません。
……なので、ともかくというかやっぱり、こうした面においても、誤字脱字は少ないにこしたことはない、という結論になります。
続いて――これも以前述べている内容と重なりますが、同じ言葉を短い間に使いすぎないこと。
まあ、敢えて連続使用して、特に何かを強調したりといった、特殊なリズムを生み出すテクニックもあるにはありますが……。
基本的にはやはり、連続使用にならないよう気を付けた方がいいでしょう。
〇〇はそう言った。
そう聞いて××はこう言った。
それで△△はこう言った。
だから○○はまた言った。
……これはさすがに極端な例ですけど、改めて見ると、たとえ行間にセリフを挟んだところで、イマイチ流れが良くないのは分かると思います。
なので、せめて同じような意味でも……。
○○はそう言った。
それを聞いた××は反対する。
続いて△△が上げたのも同意の声。
なので、○○はもう一度主張を繰り返した。
……ぐらいにすれば、大分良くなったのではないでしょうか。見映えも。
さて、同じ言葉を重ねない――に加えて、良い流れを作る上で、意識しておきたいポイントを、上記の直しにも入れておいたのですが……気付かれましたか?
そう、『続けて同じ締め方をしない』です。
たとえ同じ言葉でなくても、「言った」「思った」「聞いた」「動いた」……などと、語尾に「た」を連続されると、作者にその意図がなくとも、文章はブチブチと切れたイメージになってしまいます。
進んで、止まって、またちょっと進んで、止まって……そんな繰り返し。
渋滞に巻き込まれた車……みたいな感じでしょうか。いい気はしませんよね。
そしてこれは、「言う」「思う」「聞く」「動く」……などの連続でも同じです。
こちらは、その動作が『続いている』形ですので、これらが連続すると、今度は逆に文章が徹底して間延びしてしまいます。
息継ぎ無しで泳いでる……みたいな感じでしょうか。しんどいですよね。
もちろん、これらも、敢えて重ねて使う手法もあります。
特に、たとえば『続いている』言葉を続けるのは、そのシーンにおける表現時間の圧縮などには効果的でしょう。色々な動作が立て続けに起こってるのを、流れの上でも表現する場合とかですね。
マンガで言えば、小さめのコマを連続しているような……そんな感じに。
……まあそんなわけで、結局は使い方次第なのですが……それはつまり、意図してやらない限りは避けるべきだということでもあります。
一種の強調表現なので、いつもいつも使うのはヘン、というわけですね。
そうしたところを意識して使い分けると、また、まさしく緩急となって、文章に良い流れが生まれると思います。
では、最後にもう一つ。
句読点ってやつを意識してみましょう。
国語の文法というものを考えるなら、句読点の打ち方にはちゃんとしたルールがあるでしょう……でも、そこはそれ。
論文やレポート、書類などはちゃんとそのルールに従わなければならないでしょうが……小説においてはその限りではありません。
基本はルールに則って……でも、文章の流れで必要だと思ったなら、少々逸脱しようと気にしないことにしましょう。
まあ、三人称で書く分には、概ね基本通りで問題ないのでしょうが……。
ともあれ『、』を使って文章をどこで区切るかで、意味が大きく変わってくることもあります。読者さんを大きく誤解させてしまうこともあります。
また、多すぎると文章がブツ切れで流れが悪くなりますし、少なすぎるとダラダラとして締まりがなくなってしまいます。
なので、決して適当に打ったりせず……前回の見直しの件でも触れたように、書いた文章を『頭の中で音読』してみて、リズムの面からも読点を打つ場所を吟味してみて下さい。
その上で、必要とあれば表現を別の単語に置き換えたりして、言葉と音の調和を図ると……文章の流れも整ってくるのではないでしょうか。
……さて、長々とエラそうなことを述べてきましたが……。
結局文章の『流れ』は、小説の『好み』と同じく、個々人の嗜好が出ると思います。
また、私は関西人ですが、それゆえに、たとえば関東で生まれ育った方とでは、心地好いと感じる文章リズムに差異がある可能性も否定出来ません。
母語……というか、方言の問題で。
なので、明確に、『こうすれば流れの良い文章が書ける』――とは断言しづらい、というのが本音です。
あくまで、このボンクラが述べたのは一例でしかない……と、そうご承知いただければと思います。……ある意味、毎度のことですけれど。
しかし、文章に『流れ』があり、それを意識するのが大事なのは間違いないです。
なので皆さん、どうぞ自分なりに、『流れの良い文章』というのを念頭に置きながら、執筆&手直しをやってみて下さい。
きっとそれが、文章力の向上に繋がるハズですので。
……はい、それでは、今回の講座はここまでにいたしましょう。
終わってみれば何のことはない、いつも通りの「当たり前」な内容でしたね。
まあ、それでこその『ボンクラ式』ですからね!
……ええ、まったくもって胸を張って言うことではありませんけど。
しかし、残念ながら――。
見てしまった、聞いてしまった以上は、受講料が発生するのです!
はい、「時間をムダにした」ってグチるのは勝手ですが、ちゃーんと受講料のチョコは置いていって下さいねー。踏み倒すと噛み付きますよー。
あるいは、あなたの多々ある才能が、ことごとくボンクラと化す呪いがかかるかも知れませんよー。おっかないですよー。
なので、はい、どうかキチンとチョコを!
敢えて昔懐かしゲームブック風に言うなら……
「あなたはチョコを置いてもいいし、置かなくてもいい」
………………
………………
………………
――って、いや、置いてけよ!




