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ドライ部  作者: 如月 六
21/28

【21】人見知り


初頭効果。

主に心理学の分野で耳にする印象形成の1つで、要約すると第一印象というのは相手の記憶に長く残りますよってこと。人によっては、自分に与えられた第一印象をなかなか払拭できない人も多い。だから、身なりや発言も含めて第一印象というのはとても大事なのだ。

おそらくこの茶髪は特に考えもなしに声をかけたのだろうが、実は極度の人見知りで男嫌いなのだいちごは。


「え?あ、その......ごにょごにょ」


「え?なに?聞こえない」


今にも泣き出しそうな目で下を向いているいちご。茶髪自身に悪気はないのだろうが、素で態度がでかく高圧的な話し方には横で聞いているだけでも腹がたつーーーが、


「あぁ、すまん。こいつ昨日から体調崩してて今日も調子悪いみたいでよ」


「あ?誰だよ、お前」


「まぁ、知り合いってことで」


続けて、外に出て涼む提案を茶髪に聞こえる声量でいちごに話す。

本当に気分が悪くなってきたのか口元をハンカチで抑え立ち上がるいちご。

揉めるのも面倒なので茶髪には申し訳なさそうなジェスチャーを残して、カバンを2つ持ち外に出るが、明日にでもリベンジに来るだろうなぁ。


11号館の1階『1-1』教室を出て南側の玄関ロビーに備えられた椅子に腰を下ろす。


「ごめんね、天。助かったよ」


「俺はなんとも思ってないぞ。昔に比べたらかなり成長してると思うしな」


「ありがと。やっぱり私はーーー」


「なんか飲み物買って来るから待ってて」


うん?今なにか言いかけたか?まぁ、戻ってから聞けばいいだろう。11号館の出入り口のとこに自販機があったはずだ。

天然水とコーラを1本ずつ買って戻ると遠目にもわかるいちごの近寄るなオーラ。

あれでいつもは躱してるのだろう。


「ほい。どっちがいい?」


声で誰が話しかけたかわかるのか、驚きもせずに明るい顔に戻る。


「コーラもらっていい?」


「おう」


「そういえば、昨日もらった学生証のーーー」


「君たち新入生かね?だとしたらもうデモ講義を始めるので教室に向かいなさい」


おっと、せっかく俺が小粋なトークで和ませようとしたのに。

見知らぬおっさんが俺らの返事も聞かずに横の階段を上って行った。

いちごの方を見ると、顔色も戻って問題ないようだ。始まる前に一息つけて良かった。


「じゃあ行くか」


「うん」


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