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ドライ部  作者: 如月 六
19/28

【19】朝食


ちゅちゅちゅんと澄んだ高い声で鳴く鳥......メジロだろうか?ーーーに起こされる。部屋の壁掛け時計の針は5時20分を指しており二度寝するか迷う時間帯だ。

スマホの電源を入れるといちごからのENILとグループチャットへ招待されたことの通知。昨晩は弁当を食べてすぐ寝てしまったから気づかなかったな。

とりあえず、招待を有り難く受けて参加を決める。次いでいちごとのENILを開くと、


いちご「イオンから家まで送ってもらったからシルビア置きっ放し(^^)v」


いちご「明日迎えきちくり〜」


最初から明日は俺に送らせる気でいたんだろう。我が家をでてすぐ国道に出ると上り方面に大学や柚の中学があり、下り方面にいちごの家や昨日のイオンなどがある。カーテンの隙間から漏れた春の陽気を感じさせる光は不思議と前向きな気持ちにしてくれて、了解ーーーとだけ返事をし部屋のカーテンを開ける。


(たまには柚の代わりに朝食でも作るか)


柚が文句一つ言わずにこなしてくれる家事を当たり前だと思わないようにしなければ。

ガチャと部屋の扉を開けると同時にリビングの扉を開けた柚と目が合う。


「おはよう、お兄ちゃん。早いね」


「あぁ、おはよう。寝たのが早かったからかな。手伝うよ」


「ううん、お兄ちゃんは休んでてね。もし寝ちゃってもいつもの時間に起こすから大丈夫だよ」


心配してくれるのは嬉しいし、少ないお小遣いに文句も言わないでくれるのは助かっている。全肯定妹の柚は健気で可愛いのだが、だからこそ兄貴としてもっと頼ってほしいし頑張らせてほしい。


「料理がしたい気分なんだ」


「ほんとに?無理しないでね」


「柚の方こそ無理な時は無理って言ってくれていいからな」


「ありがとう。じゃあお洗濯してくるね」


渋々納得してくれた柚。変なとこで頑固なんだよなぁ。特に洗濯だけは絶対だ。のちに理由を知ったのだが、下着を俺に見られるのが恥ずかしいからと。たしかに共に暮らしいている以上仕方のないことかもしれない。お年頃なのも相まっているのだろう。

冷蔵庫を開けると食材が綺麗に収納されている。基本的に俺が冷蔵庫を開ける時は飲み物を取るときくらいなので、下手に触ってごちゃごちゃにしないようにモノを取り出す。

そもそも俺が作れる朝食といえばトーストに目玉焼き......ウィンナーでも焼くか。


作っている間、柚がちらちらと心配そうにこちらを見ていたが無事(?)完成した朝食、トースト、ベーコンを敷いた目玉焼き、ウィンナー、レタスをちぎってぷちトマトを並べただけのサラダ。はい、明日から柚に全投げします。


「お兄ちゃん、目玉焼き作れたんだね」


開口一番辛口コメントいただきました。

お兄ちゃんのライフはもうゼロです。


「じょ、冗談だよ?せっかく早起きしたから私の負担を軽くしてくれようと代わってくれたんだよね。ありがとう、お兄ちゃん」


(ゆ、ゆずぅぅ........)


「さっ、食べよう」


泣きそう。柚が可愛いすぎて泣く。


「けど、次からまた私が作るからね。なんかお兄ちゃんのお世話してるみたいで、家事って言うほど大変じゃないよ」


「お世話って......俺は犬か猫かよ」


「んー。お兄ちゃんはどっちかといえば犬かな?」


苦笑いを返すものの柚と心地良いバカ話に花が咲き、テレビではいつもの星座占いが始まる。俺は見たり見なかったりだが柚は必ずチェックしてるらしく見入っている。


「あ、お兄ちゃん2位だって。良かったねー」


あたかも自分のことのように喜んでくれる柚だが本人は11位のようで、ラッキーアイテムの100円玉をいそいそと財布から取り出している。


「あ、今日はいちご迎えに行かないとだから早めに出るな。あと、昨日はアレだったけど今日から仕事に出るから戸締り気をつけるんだよ」


「はーい」


朝食のメニューが残念だったこともあり2人ともいつもより早く食べ終わる。その時の気分でしゃしゃり出てもかえって迷惑だったかもしれない。栄養とかわからないし、柚の作るご飯には華があるからな。食欲も湧く。うん、これからは気をつけよう。するにしてもちゃんと準備して調べてからじゃないとな。


着慣れた白のシャツに紺のテーラードを羽織り黒のストレートパンツ。特に何も入ってないクラッチバッグを抱え、


「じゃあ先にでるな。鍵は頼んだぞ」


「はーい。いってらっしゃーい」


玄関を閉めて車へと向かう。

最初は煩わしかった鍵の挿入にも慣れ手間とは思わなくなった。

が、やっぱり社外のキーレスユニット買おう。帰ったら柚と相談だな。


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