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元素幻想

ホウ素

作者: 鷹野 砦

 ホウ素。原子番号5。化学式B。名前の由来はアラビア語で「ホウ砂(ホウ素の原料で、他にも特殊なガラスの原料などに使われた)」を意味する単語(Buraq)からだそうだ。何で命名によく使われるギリシャ語じゃなくてアラビア語なんだか……。

 こいつの特徴は、まず「半金属」であること。非金属っぽいし金属っぽい。中途半端でどっちつかずな奴だ。ある童話に出てくるコウモリを思い出してしまった。もしもそういう役回りなら、中々苦労していそうだ。

 あと、使われてきた歴史がけっこう古い。数千年前からホウ素の原料たるホウ砂が使われていて、主な利用法としては陶器の釉薬(コーティングといえば、知らない人も分かるだろうか)やガラス製品などがある。透明度が高いんだろうなぁ。

 個体としての性質は、ズバリ「硬くてもろい」。融点(固体が液体になり始める温度)や沸点(液体が気体になり始める温度)が高いのに、かなり見掛け倒し?な奴だ。我慢強いように見えて、繊細といったところか。

 ホウ素の利用法は、大体他の奴らと混じっているので殆どないとも言えるし、かなりあるとも言える。例えば窒化ホウ素だ。こいつの凄いところは「ダイヤモンドに匹敵する硬さを持っていること」。よって、ダイヤモンドの研磨剤として使われる。まあ、他人に隠れて世の中を支える、縁の下の力持ちといったところか。なかなか頼もしい。


 ここで、恒例の擬人化を試みる。性別は無視。

 まず、見た目も含めていかにも電気が通らなさそうなのに、電気が通ってしまう。周囲からは「中途半端」「永世中立人」とか呼ばれたりする。「非金族」からも「金族」からも差別視されていて、実に肩身の狭い思いをしている。

 でも実はかなりの古強者。協力してくれる仲間がいれば、縁の下ではあるが世間で大活躍できる。一方、怒りを我慢することには長けているが心は傷つきやすい。たまに窒素から「俺らが協力すれば、あのダイヤモンドよりも硬い心を持てるんだから、大丈夫だよ」と慰められることもある。もし、元素と会話出来るとかそういう超能力を持っていたら、どうかホウ素を慰めてやってほしい。こう書いてしまうほど哀しい元素なのである。

 

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