表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

月のない夜

 





あらあら?寝ずにわたしを待っていたのですか?

ふふふ。そうですね。約束しましたね。

もちろん、昨日の続きをおはなししましょう。

どこからでしたっけ?

そうそう!月の女神様が出てくるところでしたね。


それでは今夜も語りましょう。

これは昔、昔のお話です。







 時を同じくして、太陽の神様ともうひとり。実は月の女神様も生まれていました。

 太陽の神様と共に、人々を導き、世界を照らし、何より、闇を祓い、夜が人々の安らぎの時間となるように。

 それが月の女神様に与えられた役割でした。

 双子神の誕生によって、人々は昼と夜、安寧と休息、月日、つまり暦を与えられるはずだったのです。


 けれど、生まれたはずの月の女神様の姿はどこにもありませんでした。

 人々は生まれたことすら知りません。

 兄妹である太陽の神様さえ、妹がどこにいるのかさっぱりわかりませんでした。


 夜を照らすはずの月の女神様がいなければ、夜を迎える訳にはいきません。



 そういう理由から、太陽の神様はもう長いこと地上を照らし続けていました。


 だからと言って、人々に本当のことを話す訳にもいかず、太陽の神様も心底困り果てていました。




 けれど、そんな日々もとうとう限界を迎えました。

 眩しすぎる世界は暗闇に馴れた人々を疲弊させ、失神する者まで出てきたのです。


 これでは、ようやく得た信仰を手放すような事態になりかねません。


 人々を側で支えていた地の神様のほとんどがこの地を去り、夜を守るはずの月の女神様もいない。

 それでも、人々のためには夜を迎える必要があります。




 太陽の神様は苦渋の決断をしました。




『ほんの少しだけなら大丈夫だ。私がずっと地上を照らしていたのだから、闇の者たちも弱っているに違いない。きっとそうだ』


 太陽の神様は、そう自分に言い聞かせて、人々に言いました。


「人の子らよ、聴け。そなたらには休息が必要だ。けれど、私が司るのは活動。私が空にいては、そなたらは参ってしまう。私はしばしの間、空を降りる。だが、心配する事はない。闇の者らは私の光に恐れをなし、影深くに隠れている。そなたらを襲う力は残っていないだろう。十二の鐘が鳴り止む時に私は戻ってくる。それまで、ゆっくり休め」


 人々は不安を感じるよりも先に安堵しました。闇への恐怖を忘れるほどに人々は弱っていたのです。


 こうして、人々は初めての『夜』を迎えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ