眩しすぎる世界
そうそう、月の女神様の出番がまだでしたね。
ここまでが、オオカミが神様からただの獣に堕とされるまでのお話でした。
月の女神様が出てくるのはこの後ですよ。
ふたりが出会うのもそのまた後ですね。
え?進むのが遅い?
お話には順序というものがありまして……。
こほん。それこそ無駄話ですね。
まあまあ。夜は長いのですから、そう焦らずに。
世界を知れば、あなたもその世界の住人になれるのです。
その方が楽しめるでしょう?
もちろん、眠ってしまっても構いませんよ。
これはおとぎ話なのですから。
平和で豊かな生活を送れるようになった人々にもひとつだけ、不満がありました。
それは、空が眩し過ぎることです。
真っ暗だった世界を明るく照らして感謝されこそ、不満を言われるなんて、太陽の神様にしてみれば、なんてわがままなんだ!と思われても仕方ありません。けれどよく思い出してみてください。
人々はずっと真っ暗な世界で暮らしていたのです。
わたしたちですら、暗いところから明るいところに出たら、いつもより見にくいですよね?
当時の人たちにしてみれば、見にくいどころの話ではありません。
それに、太陽の神様が生まれてしばらくは、ずっと空の上で輝いてたものですから、今で言えば何日も何日もお昼が続いていたようなものです。
それでは疲れてしまいますよね。
太陽の神様は自分で光を加減することができません。だからと言って、空から降りてしまったら、再び真っ暗な夜が来て、闇に潜むものたちが、待ってましたと言わんばかりに人を飲み込もうとします。
夜を支配するのは夜の女神様ですが、彼女は混沌から世界を守るのに手一杯で、内に潜むものを祓う力はありません。
他の天の神様も似たようなものです。だからこそ、今までは、地の神様が人々を守ってくれていたのです。
けれど、天の神様を信仰するようになって、地の神様の大半は人々の側から去ってしまいました。
当然です。人々は明るい世界を手に入れるために、地の神様への感謝をないがしろにしたのですから。果ては神様の地位まで追いやってしまったのです。地の神様がこれ以上人々を守る理由はないでしょう?
ですから、再び夜がこれば、人々が闇から身を守る手段はありません。
さあ、困りました。
太陽がずっと空にあっては、眩しくて体が参ってしまう。
太陽が沈んでしまっては、恐怖で心が参ってしまう。
さて、どうしましょう?
と、ここで登場するのが、月の女神様です。
ですが、今日はここまでにしましょう。
え?物語はこれからでしょ!って?
何を言ってるんです。
まぶたとまぶたがくっつきそうじゃないですか。
眠れる時に眠るのが一番ですよ。
ほら、ちゃんと毛布にくるまって。
朝は冷え込みますからね。
お話の続きはまた明日。
ええ、約束ですよ。
おやすみなさい。
よい夢を。




