オオカミの遠吠え
物語を始める前に。
あなたはオオカミが遠吠えする理由を知っていますか?
ーーオォーン。オォーン。
遠く、遠く、高らかに。
どこまでも、どこまでも、響いていく、その意味を。
ある学者はこう言います。
オオカミが遠吠えするのは仲間同士でコミュニケーションをとるためだと。
オオカミは群れを作ります。わたしたち人間も会話でコミュニケーションをとるでしょう?オオカミだって同じです。遠くにいる仲間と連絡を取ったり、獲物を見つけたぞ!と知らせるためだったり。遠吠えは離れた相手に情報を伝える手段なのです。
夜中にオオカミの遠吠えが聞こえてきたら怖いですよね。
大きなキバに、鋭いツメ。素早い身のこなしと、闇夜に光る二つの目。か弱い人間は襲われたらひとたまりもありません。
実際に見たことがある人ってあんまりいませんよね。でも、わたしたちはオオカミは怖いと知っています。だって物語では悪者として出てくるじゃないですか。
赤ずきんのオオカミ然り。三匹のこぶたのオオカミ然り。がおーっと大きな口を開けて、子供や子ぶたを食べようとします。
大人たちは、それはそれは恐ろしげに語るから、子供たちは怖くてたまったものではありません。オオカミの遠吠えが聞こえてきた日には、一晩中、毛布に頭まですっぽりくるまって、恐怖をやり過ごすことになりなります。
でも、こうも思いませんか?
オオカミの遠吠えって悲しげだなって。
ーーオォーン。オォーン。
遠く、遠く、高らかに。
遠く離れた相手にその声が届くよう。
ある人はこう言います。
オオカミが遠吠えをするのは寂しがり屋だからだと。
ほら、親子が離れ離れになってしまったら大きな声で“どこにいるの?”とか、“ここにいるよ!”とか叫ぶでしょう?オオカミも同じです。
群れを作るオオカミは一緒にいる事の素晴らしさを知っています。だから、ひとりぼっちは寂しいし、はぐれてしまったなら、仲間を呼び戻すために必死に叫びます。
愛しているから一緒にいたいと思うのは当然の事です。
ーーオォーン 。オォーン。
遠く、遠く、高らかに。
静かな月夜に反射して。
愛しい、愛しい、あの人に。
切なる想いが届くよう。
ところで、こんなイメージを持っていませんか?
オオカミが満月に向かって、遠吠えをしているような。
“オオカミ”じゃなくて“オオカミ男 ”の間違いでしょう?なんて言う人もいるかもしれないけれど、実はそのイメージであっているんですよ。
さあ、前置きはこのくらいにして。
とっておきの物語をおはなししましょう。
月の女神様と神様だったオオカミの始まりと終わりの物語を。




