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  作者: 水沢 すず
第2話 償い
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第7部 理沙

「朝霧さんはさぁ、お父さん似なんだよねぇ?そうでしょぉ?」



心臓が飛び出してしまいそうだった。


苦しい。


息ができない。


鎖に締め付けられる。


やめて…やめてやめてやめてやめてやめて!!!


言葉がでない。


でてくるのは、ヒューヒューと喉を通る間抜けな音。


だめ………違う…


口が渇く。


言葉が……………



「朝霧 裕二」



浦崎さんが勝ち誇ったように言った。


頭が真っ白になる。


どうしてどうしてどうして!!!


どんなに頑張っても、言葉がでてこない。


無様に口をパクパクするしかなかった。



「朝霧さんはぁ、朝霧裕二の娘でしょぉ?」



ざわめくクラスメート



「夢乃、こわぁいー!!!」



やめて。やめて。


浦崎夢乃。


#浦崎夢乃__コイツ__#のせいで、また、また、私は…………



「やっぱりそうだったんだ」



「だよな~」



「マジかよ~ww」



あれ?


な ん で ?


なんでみんな?



「犯罪者の娘ってことだよねぇ~~?やだぁ!朝霧さん、あの凶悪犯と血ぃ繋がってんでしょぉ~~」



呼吸が。呼吸が。


息が…………苦し…



「なんかいえば?」



そこには、ついさっき笑顔で私に挨拶してくれた

先崎さんがいた。



「なんで、黙ってんの?違うなら違うって言えばいいじゃない。」



違…くない。


それは事実だ………けど……



「ち…が………」



かすれた声を精一杯口に出した。


…と同時だった。



「まっ無理だよね!だって事実だもんね!あれ?もしかして嘘つく気だったの?酷いよ朝霧さん」



「嘘なんてつかなくていいよぉ~~。朝霧さんの顔見ればぁ、誰だってわかるよぉ~」



笑顔。


笑顔なのに。


私が望む笑顔じゃなくて。


その顔はもううんざりするほど見てきた。


ああ、私は。


私は幸せになんかなれないんだね。


少しだけ。


ううん。


私、もう解放されたんだって思った。


自分の愚かさに呆れるよ。


神様、ごめんなさい、ごめんなさい。


ごめんなさい。



「犯罪者の娘とか何するかわかんないよぉ~!ねぇみんなぁ~~?」



「朝霧さんも#凶悪犯__アイツ__#と一緒だよ!そんな悪い奴には、罰をあたえなきゃ。」



ざわついていたクラスメートは、誰も、何も、口に出さなかった。


ただただピンと張り詰めた空気が流れる。



「#凶悪犯__アイツ__#はぁ、何十人もの命を奪ったんだよぉ?そんな奴ほっとけないよねぇ~~私たちも殺されたらどうしよぉ~~」



いくつもの目がこちらを盗み見る。


みんなの視線が痛い。


痛いよ。


助けて。


助けて。



「私たちが仇をうつのよ!」



気取った声。


私じゃない。


凶悪犯は私じゃないじゃない。


悪いのは朝霧裕二。


私じゃない。


朝霧理沙じゃない。


違う。



思わず顔を覆う。


私は違う。


私は#朝霧裕二__アイツ__#じゃないの!






悲痛な心の叫びは誰にも届かない。




クラスメートの目は好奇心に満ち溢れ、キラキラと眩しかった______

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