不幸貯金
平和であるとは平らであることだ。
故に、そこには善も悪もない。幸福も不幸もない。喜びも悲しみもない。
風すら吹かず、ただただ果てしない地平線だけが続くだけ。
それを何を思うことも無く歩き続ける。
ああ、それはなんて――。そんなものは死んでいるのと同義。
結局、真の平和というものはこの世には存在しないのだ。
ならば、平和などいらない。
不幸を知っているからこそ、幸福を知ることが出来るのだから。
不幸を得たからこそ、幸福を得る権利があるのだから。
不幸たれ。
そこには風も、水も、火も、山もある。
だから、悲しむ。怒る。だけど、その先は笑うことが出来る。
時として、死にたいって吐く。だけどそれは、生きていることの証明だ。
平穏に興味は無い。
不幸でいい。
その対価に幸福をのしをつけて貰っていく。
だから、俺は泣くんだ。いずれ来る、幸福のために。
今日も明日も明後日も――貯金をするんだ。