笑顔
すみません。納得ができないクオリティだったので一度消して、また新しく書き直しました。
「ふぁ〜、ねむ」
俺は歩きながら小さく欠伸を欠いた。
俺の名前は「神崎 蓮」、能開高校に通う高校二年生だ。昨日は課題におわれて、一晩中徹夜していた。その所為で、眠気と吐き気が俺に同時に襲ってくる。俺は、今にも倒れそうな体をふらつかせながら、ゆっくりと学校への道を歩いていた。
俺がまた欠伸をしていると、
「だいじょうぶ、おにいちゃん」
と、俺の隣を心配そうな顔でついて来る女の子がいた。
この子は「神崎 美羽」といって、俺の義理の妹だ。俺の両親は、八年前のある研究所の爆破事件により二人とも死んでしまったらしい。らしい、と言うのは、俺にはその時の記憶がない。この話だって、俺が残った記憶を頼りに自分の住んでいた家に行ってみたが、家の周りには警官が大勢いたので、とりあえず近所の人に聞いた話によるものだ。そして、独り身でさまよっていた俺を偶然、美羽の両親が見つけ、俺を養子として迎えてくれた。いまでは、美羽の両親は仕事でなかなか帰ってこれないので、俺と美羽が家で一緒に生活しているといった感じだ。
「ああ、大丈夫だよ、美羽」
とりあえず俺は、これ以上美羽の心配そうな顔を顔を見ていると胸が苦しくなるので、そう言って、俺は今できる最高の笑顔をつくってみた。
が、やはり
「もう、そんな作り笑いしてもだめ。無理だと思ったらすぐに保健室で休んでもいいんだからね」
と、すぐにばれてしまった。
んー、やっぱりこういう時の美羽には敵わないなぁと、改めて思った。しかし、同時に俺のことをここまで心配してくれる人がいてくれる事が嬉しく思い、俺は自然に笑みがこぼれていた。
「どうしたの、お兄ちゃん?なんか今度はうれしそうだね」
と聞かれ、俺は少し動揺した。
「あ、ああ、ちょっとな」
すごいな美羽のやつ、なんでもおみとうしかよ。俺はそんな妹に大いに驚いていると、
「おはよー、お二人さん」
後ろからそんな声がしたので、俺たちは後ろを振り向いた。しかし、そこには誰もいなかった。ただひとつ、人らしきの影が伸びているだけだった。
「おい隆一、あんまり校外で力を使うのは控えろよ」
と、俺は影のある方へと話しかけた。
「えー、別にいいじゃねえか。どうせ俺の力は目立たないんだからさ」
そんな俺の悪友がゆっくりと姿を表した。
こいつの名前は「佐野 隆一」俺と同じクラスにいる能天気な明るいやつだ。隆一がさっき姿を消していたのはこいつの超能力が「インビジブル」つまり姿を消す能力だからだ。そんな能力もあって、こいつはかなりの情報屋だ。
「おはようございます、りゅうさん」
「ん、おはよー美羽ちゃん」
そう言って、いつものように美羽と隆一は挨拶を交わした。
「いいんだよ、美羽。こんなやつなんかに挨拶しなくて」
「もう、そんなこと言ってないでおにいちゃんも挨拶しなきゃ。挨拶は今も昔も社会の基本なんだからね」
「そーだそーだ。美羽ちゃん、この社会知らずの兄貴にもっと言ってやってくれよ」
チッ、この能天気のお調子者が、
「大体お前はな、さっき話しかけるまで20分は透明になって跡をつけてただろ。そんなお前に、社会の常識なんか語られたくないんだよ」
うっと、隆一のやつが言葉に詰まる。そう、俺はこいつがいつもいつも「インビジブル」を使って俺の跡をついてくるのでだんだんと耐性がついてきて気配や足音でわかるようになってきた。
「えっ、りゅうさん、またですか」
「いや、それは、その、あ、あははは」
「笑ってごまかすな」
とりあえず俺はそう言って、隆一にゲンコツを一発かました。
「いってー、しゃーねーだろ。俺はこう見えて、意外とシャイなんだぜ」
「言ってろ、バーカ」
ふと、美羽の顔を見てみると、元気そうにクスクスと笑っていた。うん、やっぱり美羽は笑っている顔が一番いいな。
「あっ、そういえば」
と、隆一が何かを思い出したみたいだ。
「ん、どうした隆一」
とりあえず俺は聞いてみた。
「いや実はさ、今日転校生が来るらしいよ。それも俺たちのクラスに」
「まじで」
「うん、大マジだよ」
「へー、よかったね、おにいちゃん」
俺は、そんな美羽の言葉とはうらはらに心の中でため息をした。そして俺はこう願った、
どうかめんどくさい事にはなりませんように。
そして俺たちは能開学校の門をくぐった。