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第2話 外伝 ファイヤーボール・ニューカマー

それは


所謂一つの始まりの物語。

1996年4月1日10:30





『ただいまより、平成8年度入学式を始めます。全員起立!』





N県立湯海高等学校平成8年度入学式。


私は幼なじみで彼女の富永彩希子とともに入学した。


私の年は自分も含めて変に大人びているやつらが多く、将来の為に高校にしてはかなり専門的な教育を受けられる事もあり私達はこの学校を受験し、そして受かった…のだが、








『こらぁそこ!静かにしなさい!!』





マイクからそんな怒声が飛ぶほど騒がしい。


所謂不良…というかそんな不良にすらになれてもいない中途半端な方々達…がどうも先輩方に多いような…。





それだけではない。


新入生にも少しヤバそうな奴らをちらほら見かける。





あっれー可笑しいな…。学校説明会の時にはもう少し、というか普通にマトモな人ばっかりだったんだが。


だからこそ私もこの学校を選んだんだし。





父兄の席をチラリ。


我が父母、正と美和はポカーンとしている。


そりゃそうだ、最愛の息子が選んだ学校がまさかこんな有り様になっているとは思いもよらないだろう。





彩希子も同じ様子のようだ。


私に守られる為に同じ学校を志望したのにこんな感じになってるんだから恐らく私の負担が増えると思っているのだろう。





これを取り締まる風紀委員会はなにをしているのだ。


全くもって仕事をしていない。





すると





新入生の席から一人の男が飛び出していく。


どうやら私と同じ同級生のようだ。


壇上にあがり挨拶をしている校長先生に蹴りを入れた。







!異常である。


なにが起こっているのか訳がわからない。


なにやってんだこいつ、阿保なのか。


彼はマイクをひったくりこう叫んだ。





『全ん生徒諸君ん!今年から入学のぉ!B組の乃木だああ!!


一年以内にぃ!この学校のテッペンをををををとおおおるるううう!!!』









いっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…。


なんて可哀想なやつが私の同級生にいたもんだ。


宣言するのは格好良いが内容がなあ…。


するとどうやら先輩であろう人たちが三人ほど、壇上に向かっていく。その方々たちもいわゆるそんな格好をされているような人たちだった。





「お前みてえなやつがこの学校のテッペンンンン!!!!!?」




「笑わせんじゃあねえよお!!!」





この二言だけだった。


乃木とかいうやつはその先輩に顔面パンチを一撃くらってKO。


そのまま壇上から引きずり下ろされた。





これに対して先生方はなにも対応をしない。


一体なにがあったんだろうか…。


















入学式は30分程度で終わってしまった。


終わってからのHRもあっさり終わってしまった。


自己紹介だのなんだのをする時間の筈なのだが、





「いつでも転校は受け付けております!みなさんはやく帰った方が良いですよ…!」




とは担任が言った言葉である。


これも異常である、というか校門に入った時からおかしかった。




入った瞬間別世界である。




窓ガラスは割れ、机や椅子がその辺に散乱している。


まるで流行りの不良漫画のようだ。


それに学校周辺にはパトカーがうろうろ。どう考えてもおかしかった。


曲がりなりにも入学式である。


HRが終わり彩希子と外に行くと






なんと我々の家族が不良に絡まれている。


本当に可哀想に。


展開が容易に予想できる。




「おっさん、どこの一年の親御さんですかー?」


「さっさと転校させた方がいいんじゃないですかー」






あーあーあーあー可哀想に…





























あんたらが。
















「うるせえぞガキが」


そう言って張り手を喰らわす我が父、正。





「一年C組よ、覚えときなさい」


そう言ってハイヒールハイキックを頭にヒットさせる我が母、美和。




いや、なにバラシてんねん。





「行儀がなっていないようね、可哀想な子達だこと」


そう言って和傘で刺突をみぞおちにぶちこむ彩希子の母、麗奈。





心配はしてなかったが我らの父母は全く怯んでなどいないようで良かった。





「始!イキの良い学校に入ったな!」




「中学はプライベートが忙しかったのに、今度は学校が忙しくなりそうね」




「彩希子になにかあったら…分かってるわね」




「あら奥様大丈夫ですわよ。仮になにかあった時は…ケジメはつけさせますから♪」




「大丈夫ですよお義母さん、死んでも娘さんは守り抜きますから」




「それよりも、いったいこの学校になにがあったんだ?」




「私も驚いています。説明会の時はこんなに荒れてなかったのに…」




「始、これはなにか裏があるんじゃない?」




「ええ母上。とにかく何があったか聞きに行ってみます。彩希子も来てくれ」




「ええもちろん。お母様、お先に帰っておいて下さいますか。情報収集に行って参りますので」








「美和さん!うちの子こんなにしっかりして…わたくし感動しております…泣」




「ええ、ええ、そうですわね。始、私達は先に戻りますからしっかりやってくるのですよ」






















さてとりあえず


「校長先生のところに行こう!」




「うん、そうだな校長室は…と、すいませーん、校長室はどこですか?」





私はたまたま通り掛かった(多分)先輩男女に声をかける。




すると







「ああ!?うるせえてめぇ生意気ナンダヨツラ貸せこら」





とそのまま殴りかかってきたのでかわした後にカウンターでソバットをあばら骨のところにぶちこんでやる。


そのまま倒れこむ男子生徒A。





「チョットうちのたかしになにしてクレテンノ!?」





とカッターナイフで切りかかってくる女子生徒B。


ほっほーう、なかなか過激だぜ。










「始君が私を守ってくれるから、私は始君を守ります」





内から外に切りかかって来たのをかわした後手刀でカッターを叩き落とす彩希子。




そのまま膝裏に回し蹴りを入れて前のめりに倒す。





「いいね彩希子、今の流れは良かったよ」




「ありがとう始君!さて…ねえ貴女、校長先生のお部屋はどちらですか?」




「…!そこの入口入って右…」




「最初からそう言えばいいのに、行こう彩希子」






































「中森始、冨永彩希子。共に県立谷城中学校卒業、同学校の生徒会会長及び副会長として地域の治安回復に努め昨年九月には谷城警察署長より感謝状を賜る…」




「中森始。ほう、井坂道場出身か…道場長と喧嘩別れして以後独学での武術研究に明け暮れる。小中学校と生徒会長を歴任。身体能力は同世代の能力を遥かに越えており、特に反射神経、瞬発力、跳躍力、体術に優れる。部活動ではバスケットボール部に所属し、県内でも指折りの強豪に数えられるほどのチームに育て上げる。また漢字検定も既に準一級を取得しており高校初年度での一級獲得も夢では無い」




「冨永彩希子。華道冨永流家元の一人娘。華道もさる事ながら日本舞踊、書道、茶道等様々な芸事に才能を見せる。身体能力も高く小学校陸上記録会においては5年生時に走り高跳びを130cm飛び同記録会に於いて一等を獲得。勉学においても特に国語に優れ、定期テストでは常に総合TOP5に名を連ねるほどの秀才である」









「なるほど君たちが噂の谷城中史上最強の生徒会ツートップか。お目にかかれて光栄だ」




「そんな呼ばれ方されてたんですか僕らは」




















「…なるほど話はわかった。生徒会や委員会がなぜ無くなったのか、それが聞きたいと」




「はい。私達が本校を見学させて頂いた時は綺麗で明るい素敵な学校であるとお見受けしたのですが…」




「今やどうだね。校内の殆どが荒れ果て、割れていない硝子を探す方が難しい」




「ですが荒れ始めたのはつい最近の事のようです。上級生の方々も心の底から不良になれてはいない。取り敢えず形から入ってみました、我々は不良なんです、だってこんな格好してるじゃないですか…と、自分で言っているようなそれぐらいのグレ具合ですが」





「ちょうど半年前の事だ」









「ちょうど同じタイミングで五人の生徒が部活動で挫折をしたり躓いたりした。それぞれが実力者だったため彼らに賛同するものが相次ぎそれぞれが集団を作り始めた。それを一人の男子生徒がまとめ上げてしまった。彼はそれを『ブラッククロス』と呼び校内が荒れ始めた」

「それからというもの校内行事を妨害し、滅茶苦茶にしていき我々は彼らの更生どころではなくなっていった。そして年始頃から学校運営にかなりの影響が出始めて来た。生徒会や委員会も活動どころがその長たちがブラッククロスに参加しはじめたのだから自然消滅してしまった」




「そんなことが…しかしそのブラッククロスのトップとやら、この短期間でこの学校を獲ってしまうとは敵ながらなかなかの腕前」




「?始君なに考えてんの?まさか…」




「校長先生、話は分かりました。消滅した生徒会、どうでしょう私に任せて頂けませんか」




「ほらやっぱり」




「君が生徒会長をやるというのか」




「進学して色々やりたいことがあったのですが、学校の立て直しを図る事である程度やりたいことができそうだ。それにこのまま放置しておいては我々の後輩たちの選択肢が一つ潰れてしまうことになる。それだけでも由々しき事態だ」




「まあそれは言えてる」




「彩希子、また俺の事手伝ってくれるか、いや手伝え!俺と一緒にこの学校を変えよう!」




「言うと思った。勿論付き合うよ、私達は一蓮托生。あなただけに無理はさせられないからね…ということで校長先生。我々の生徒会活動、認めてくださいますね?」




「…まあ、やってくれるならそれに越したことはないし、お願いするよ」




「決まりだ!では校長、やるからには我々の好きにさせて頂く。一切口を出さないでいただきたい」




「お、おいおい学校の立て直しだぞ。あまり無茶な事は…」




「通常のやり方がどんなものかは知らないが事の発端からもう半年もたっている。にも関わらず最近流行りの不良漫画に出てくる学校のように敷地内の殆どが荒れ果てている。普通のやり方なんて今更通用するわけがない、極めて無茶をする必要があるのです」




「グウ」




「では生徒会メンバーも選挙抜きでこちらで選出させて頂きます。後日書類作成の上校長室で生徒会結成式をやらせて頂きますので今日はこれにて」




「では校長。お帰りの際はくれぐれもお気を付けて。では。」





















「始君。集める面子に当てはあるの?」




「取り敢えず二人は決まっているが…乗ってくれるかどうか」




「勢いであそこまで喋ったけど…この先が思いやられるわ…」




「彩希子もよくあそこまで喋ってくれたぜ。ありがとう」




「と、り、あ、え、ず、作戦会議だね」




「ああ、このままうちに来るだろう。今年からも、よろしくね、我が愛しの参謀様♪」




「ほんっと、調子良いんだから」












かくして始、彩希子による学校立て直しに向けた活動が今始まるのであった。


果たして始が用いる奇策とは?


残りの生徒会メンバーとは?


これからの二人、そして生徒会にご期待あれ!





















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