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 真っ先に女性が私に気がつき、会釈をしてきた。

 今の私は、公爵邸に仕えている人と思われてもおかしくない格好だ。

 失礼のないように深々とお辞儀をして、客人をおもてなす雰囲気をだした。


 ジュライト様はまだ馬車に乗っているようで私に気がついていないようだし、大急ぎで裏から屋敷内へ突入した。

 動きやすい服を脱ぐ。着替える前に私自身に治癒魔法をかけて綺麗にする。清楚な服装に着替える。

 以上を大急ぎで済ませて正面入り口がある大広間へジュライト様らをお出迎えした。


「「「「「おかえりなさいませ旦那様」」」」」」

「おかえりなさいませジュライト様」

「はは、レイナも出迎えてくれるだなんて嬉しいですね」


 女性とその護衛らしき男性が遅れて屋敷へと入ってくる。

 すると使用人たちが全員さらに深々と頭を下げていた。


「「「「「マリア王女殿下、いらっしゃいませ」」」」」

「へっ!?」


 怪我の治癒と男性恐怖症の治癒を試みたお相手が王女殿下だっただなんて誰が予想できただろうか。

 ジュライト様も魔法でジュジュに変装していたし、今回王女殿下が来られたのはなにか別の用事なのだろう。


「公爵邸の皆様、お久しぶりですね。……あなたは初めて見るお顔ですね」


 そう言ってマリア王女殿下は私に近づいてくる。


「お、お初にお目にかかります。ジュライト=グレス様の婚約者、レイナ=ファルアーヌと申します」

「ごきげんよう。あなたが噂に聞くジュライトさんの婚約者なのですね。あら……?」


 マリア王女殿下が治癒施設にいたときと同じように、なにかを探っているような行動をしていた。


「申し訳ありません。大変失礼なことをしてしまいました」


 そう言ってマリア王女殿下が私に対して頭を下げてきた。

 彼女がなにか変なことをしたわけではいないのに謝ってきたから、私も困惑してしまった。

 どうしてしまったのだろうか。


「頭をあげてください。王女殿下ともあろうお方が私などに頭を下げるようなことなどしてはなりません」

「いえ、そんなことはありませんよ。ふふふ……、これは大きな収穫です」

「へ?」

「いえ、なんでもありませんよ」


 そう言って王女殿下は再び護衛の近くへと戻った。


「本日は公爵邸に仕えている殿方とお相手をしていただきたく来ました」

「庭師のトーマスさんならば、マリアの目的に適しているでしょう」

「ありがとうございますジュライトさん。あ……お時間があればレイナ様も一緒にいて欲しいですね」

「私ですか?」

「えぇ。殿方の中に私だけでは心細いので……」


 彼女は男性がとにかく苦手でまともに会話ができなかったはず。

 もしかしたら、公爵邸にいる男性と会話をして苦手意識を克服しようとしているのかもしれない。


「承知しました。よろしくお願いいたします」

「ふふ、ありがとうございます」


 赤い髪をなびかせながら再びお辞儀をするマリア王女殿下。体制を戻すと、可愛さをより際立たせているかのようなピンク色の瞳の彼女が、ニコリと微笑んでくれた。

 その微笑みは、初めましてとは思えないほどの好意を向けられたもののように見える。

 私が治癒施設以外でマリア王女殿下とお会いしたことはないはず。


 いや、そもそも王女殿下は諸事情で小さい頃から表には絶対に顔を出さないお方。

 その顔を知る者もいないくらいだ。


 さらに、王宮内で私の治癒魔法を知っているのはベルフレッド国王陛下とサンアディム第一王子だけ。

 やはりレイナの姿では初めましてだと思う。


 疑問になりながらも、マリア王女殿下のお願いに同行した。

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