雪山で遭難した二人はアッー! という間に結ばれましたとさ
雪山の定番イベントと言えば、やはり遭難である。
こんなことを言ってしまうとどこかからお叱りを受けてしまうかもしれないが、フィクションでは定番中の定番なのだから仕方ないだろう。
まあ、現実で遭難が多発することなどあり得ないし、仮にあったとすれば大問題となっているハズだ。
……つまり、今の状況はかなりのレアケースと言っていい。
「妻夫木さん、寒くない?」
「……寒いよ。でも、田淵君とくっついている部分は暖かいかな」
「そ、そう」
お、おいおい、なんだよその反応……
アレなのか? この危機的状況が生んだつり橋効果なのか?
実のところ、俺と妻夫木さんの仲は特別良いワケではない。
至って普通のクラスメートという関係だ。
それがどうしてこんな状況になったかというと……、まあ言ってしまえば巻き込まれ事故になると思う。
学校のスキー教室などでは、スキー経験のある生徒は指導側に回ることが多い。
教師は必ずしもスキーの技術が高いというワケではないので、生徒の方が上手く滑れるなんてことはよくあるパターンと言えるだろう。
で、俺は指導側として妻夫木さん達初心者の面倒を見ていたのだが、妻夫木さんの暴走に巻き込まれ今に至るというワケだ。
俺だってこんなことになるとは思わなかったし、現実的にはすぐに助けが来るだろうと予想していたのだが、妻夫木さんの体格が良かったことや急に吹雪いてきたなどの不幸が重なったせいか、距離も離れ視界も悪く自分達が今どこにいるかもわからない状態になっている。
それは当然探す側も同じだろうから、今日中に救出してもらうことは期待できないかもしれない。
「で、でも良かったね。避難できる小屋があって」
「うん。でもやっぱり寒いな。ねえ田淵君、もう少しくっついて……」
いやコレ、マジじゃない!?
完全に誘われてるよね!?
「マ、マズイよ妻夫木さん! そんなにくっつかれたら、俺……」
裸で温め合いましょうコースに突入しちゃうよ!?
「私、もう我慢できない!」
そう言って妻夫木さんは、アッー! という間に全てを脱ぎ去り全裸となってしまう。
思わず顔を反らすが、目だけは抵抗するように妻夫木さんの肢体に釘付けになっていた。
「えっ!? ちょっと待って妻夫木さん!? こ、股間のソレは一体!?」
「見ての通り、私って実はツイてるの! 所謂ふたなりってヤツ!」
「な、なんだってー!?」
「本当私ってツイてる女ね! ということで、いただきまーす!」
「ちょ!? アッー!」