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思い出せない名前(???視点)

転生前の記憶と失った真名

彼女は名前を思い出すことはないだろう

「×××また寝てたの??」


揺さぶられる心地よさと大好きな懐かしい声が聞こえた。

私は勢いよく体を上げ声のしたほうを向く

「、、、、お、、、姉ちゃん?」


呆然とした声でそう呼んだが返事は一向に帰ってこない

確かにお姉ちゃんの声が聞こえたはずで揺さぶあられてた感触もまだ残ってる残ってるはずなのにそこには誰もいない。

私の視界には懐かしいマンションの一室が映る。お姉ちゃんと二人で暮らしてた懐かしい部屋、ぬいぐるみやゲーム機が多くてよく一緒に遊んでた

私とお姉ちゃんの親は所謂毒親と呼ばれるもので、親の言うことに逆らうことを許されず、逆らえば怒鳴り散らかし何度も殴られたこともある。

たまに帰ってきては何でも言うことを聞かせようとしてくるくせに家にあまり帰ってこないことが多くご飯は自分で用意することが当たり前になってた私が幼い頃母親と父親は離婚し、今じゃ母親と暮らしている。母親の職業は水商売で幾度となくお前たちがいなければとか産まなきゃ良かったと言われ続けた。

家が次第にごみ屋敷になっていき部屋が荒れ荒んでいく中お姉ちゃんは私を連れて家から逃げたまだ私が13の時の話



そこから6年私を育ててくれた姉とは6歳年が離れている

お姉ちゃんは私を育てるとき弱音なんて吐かなかったむしろ何回も自分を叱責したり反省したりと自分を奮い立たせていた。当時お姉ちゃんは19歳

弱気の自分を私に見せまいと部屋で静かに泣くそんな人だ。


可愛くて良くストーカーと呼ばれる輩が引っ付いてくる。しかも身長が155前後だから余計にかわいい仕事はでき優秀で私には憧れの存在だった。料理が壊滅的に下手くそというハンデを持っていても仕事ができるのだから私がいなくても生きていけたんじゃと何度思ったことか


お姉ちゃんはストーカー被害に悩まされることが多くなっていった。

私はストーカーからおびえて暮らすお姉ちゃんを守りたくて長かった髪をバッサリ切りお姉ちゃん呼びを封印し姉、姉貴と呼んで男装をしたり空手、剣道、弓道、合気道やらなんやら片っ端から手を付け体で覚えた。幸い考える能力、勉強が出来なくても運動の才能はあったみたいでどんどんと吸収していった。育ち盛りもあって靴で盛らなくても身長が173くらいは伸びた。


高校では女子男子制服をどっちでも着てもいいってことだったのでもちろん男子高校生の制服を着た。

騙すならまず自分も騙さなくちゃという心意気で姉以外の物をすべて騙す勢いで生きていた。

部活に入ることなく友達と呼べる人もいない。私が女と知るとみんな離れていったからだ結局男子高校生の服を着て生活することは奇異の目で見られるらしい。食材を買って帰り、ご飯を作り置きし姉を迎えに行くその毎日を繰り返しが私のささやかな幸せだった。

何回か姉が遠慮して断ってきたが私はそれを無視した。せっかく親の束縛から逃れることができたのに鎖を切ってくれた姉を知りもしないどこぞの馬の骨野郎に穢されるわけにはいかない

お姉ちゃんは私よりすごい人なんだ努力家なんだよお姉ちゃんの幸せの邪魔しないでよ


セキュリティーがしっかりとした家だとしても人間一線を越えるやつは何をしでかすか分からないだから常に姉の周辺を警戒してた。あの日いつもより長い時間お姉ちゃんと他愛ない話をして空手の鍛錬をしに行く途中だった


そう思い出していると部屋の景色から交差点の景色に視界が切り替わる。


家を出て


「×××!!」


後ろから姉の声が聞こえて


「×××!!!!!」



私はそう乗用車に轢かれたんだ



体が軋む痛みで冷や汗が止まらない。息がしたくて呼吸をしようとしてもうまくできなくてヒューヒュー聞こえるノドにせり上がってくる来る生暖かく赤い液体その液体が口から溢れ出す。何かが体の中を貫通しているそう感じるくらい痛い。急激に体温が下がり始めて真冬の中ベランダに出されたみたいで寒い。お姉ちゃんの悲鳴が頭に響く最後の最後まで私は目を開いてお姉ちゃんの顔を見ることができなかった。


事故が起きている傍らで私は傍観している。

確かにそこに倒れている私が見えているのにその苦痛も悔しさも私のものだったのに


最後までお姉ちゃんは私の名前を叫んでた。叫んでるお姉ちゃんの顔にモヤがかかって見えない

お姉ちゃんは私のために叫んでたんだでも自分の名前を思い出せないお姉ちゃんの名前も顔も思い出せない、、、思い出せるお姉ちゃんとの会話の中で確かに私の名前を呼んでいるはずなのに必ずそこにもやがかかる思い出そうとすると頭に鋭い痛みが走るまるで思い出すことを邪魔するように


お姉ちゃんからもらったたくさんのものがボロボロと崩れて足元にできた黒い渦に吸い込まれていく


お姉ちゃんお姉ちゃんもこの世界にもしかしたら来てるかな?


初めて目覚めた世界は私が生きていた世界と違い命の価値観さえも違う。

私を愛してくれる家族はいるけど肯定しかしないし間違ってることは違うと教えてはくれない

同じ人間なのに消耗品としか見てないようで正直怖い。


ゲームの世界と思わないと頭がおかしくなりそうでお姉ちゃんがいない世界で生きるのがつらい寂しくて寂しくてほんとは泣いちゃダメなのに涙が止まらない

さっきまでの元の世界ではなく暗闇の中でうずくまって泣いている。

転生?して喜べる人はいるんだろうか少なくとも私は喜べなかった

突然知らない場所で起きて、知らない人に知らない人の生殺与奪をゆだねられたんだから


エリーシアこの体だった子は

私とは違う。この子の記憶すら私にはない。

この子がどんな風に感じて生きてどんなふうに使用人たちにふるまってたか

中身が違うことに両親にバレたらッて思うと怖いけど、あの人たち私、エリーシアの口調や態度が変わったとことで何も言ってこなかった。

ただただ肯定されるのとただただ否定される毎日あの頃の親と何が違うんだろう考えてもわからない



エリーシアこの体の子を受け継いだ私


自分の名前を思い出せない私と彼女

もしかなうのなら私の存在を消してほしい、、、、、、、、、、、、、、

お姉ちゃんに会いたいよ

まだちゃんとありがとうって伝えてないのに



お姉ちゃんが言ってた死亡ルートしかない女の子になちゃったよ

この世界でお姉ちゃんの事探してもいいかな、、、、

期待したいんだ何年かかったとしても死ぬまでに会えなかったとしても思うことは罪にはならないよね


お姉ちゃんが大好きな妹

彼女を轢いた車は、ストーカーの物でした。

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