果てなき道
僕らの歩くこの地面には道などない。
後ろを振り返ったら、僕らが歩いてつけた長い足跡。それが道のようになって見えているだけ。
そこには、誰かに押し付けられた決まりなんて本当はなくて、ひとつひとつ自分の足で踏みしめ歩いて、自分の意志でここまできたんだ。
時には拗ねて寝転んだ。
見上げた広く果てない空に小さな自分を悔しがり。
時にはスキップしながら、軽やかに足を、心を弾ませた。雨が降ってびしょ濡れになっても、笑い声は、からりと晴れた青空だった。
悲しい時はわざと明るい歌声。そして、月に照らされひっそり泣いた。
苦しい時は膝をつき、大声で叫んだ。声が枯れるまで叫んで叫んで。
そして、立ち上がりまたひとつ、ひとつと足跡を増やした。
移りゆく景色。移りゆく季節。幾重にも重ねながら、僕らは前に前にと交互に足を出す。
後ろを振り返ったら、どんどん延びてる足跡の道。
前を向いたら何もない地面。
僕らは足跡を刻み続ける。
どこへ向かっているのかは明確にはわからない。
だけど、僕らは歩くのを拒まない。疲れて立ち止まることはあるけれど、歩くのを諦めたりやめたりは決してしない。
きっと歩くこの地面の先には、僕らが掴みたいものがある。
掴みたいもの、それは明確にはわからない。だけど心が何かを強く感じてるんだ。
僕らは最果てやゴールを目指しているわけじゃない。
僕らはいつだって、歩き続けることを目指しているんだ。
振り返ったら、長い長い足跡の道。
泣いた道。笑った道。立ち止まり悩んだ道。
曲がった道に折れた道。
わざと足跡を乱雑に消した空白だってある。
だけど、それはきちんと今、僕らの立ってる足元へ続いている。
雨が降っても、風に吹かれても消えない、消せない僕らの長い長い足跡。
歩こう。
歩いて行こう。
背中にはたくさんの僕らの過去。
目の前には何もない平らな地面。
歩こう。
歩いて行こう。




