第二話 因果律操作
「なんでお前らも転移してんだよ…」
「? それよりもここ、どこ?」
「これは俺の部屋だ」
「リョウキ兄ちゃんのへやー?私しらないよ、ここー」
「違う。これは俺の元の世界。お前らに会う前の時の部屋だ。」
「んんん…なにこの姿勢」
「重い…ミナ、早くどけよ。」
「あれ?ごめん、ふかふかだなと思ったらレオ、あなただったのね。」
「俺のどこがふかふかなんだよ!」
「あのー、あなたたちはこんな状況でも漫才できるんですね。」
「マリカ…お前もいたのか。」
どうやら全員起きたようだ。
「はあ…自分がどこにいるかわからないくせによくそんなにゆったりできるな。」
「え、だって魔素が全く検出されませんでしたし…別に大丈夫かなと」
「だよな」
「そうよね」
「お前ら…さっきの世界じゃないから当然じゃねーか」
「さっきの世界じゃない…あ、そういうことだったんですね!どうりで聖素も全く検出されなかったということですね!」
「まあ、とにかくここは俺の家だ。フィギュアとか置いてあるだろ。」
リンがフィギュアを手に取る。
「ふぃぎゅあっていうかたいおにんぎょうさんってこれー?ぜんぜんだきしめれないよー」
「そうだ。ってゆーかフィギュアはもともと抱きしめる用の人形じゃねーよ。」
あーもう全員通常運転だな。違う世界にいるくせに。
その時、
ガチャ。
「お兄ちゃん、お昼ご飯できてるよー。」
ヤバい、妹が部屋に入ってきた。
言い訳を考えてるうちに彼女は俺の仲間をみて、気まずい空気に…
「ほら、リンちゃんもいこー。」
ならなかった。
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俺は混乱していた。
なんで麗奈がリンの名前を知ってるんだ?
「麗奈、お前ここにいるやつの名前全員わかるか?」
「なんで?」
「いいから」
「わかったー。えーっと、レオくんと、マリカさんと、リンちゃんと、ミナさん。」
「なんで俺だけ省いてあるんだよ。」
「あーそっか、リョウキお兄ちゃんもいたね。」
「忘れんなよ。まあ言われなくてもわかってると思うから言う必要はなかったが。」
「あ、そ、そう!だからお兄ちゃんを呼ばなかったの。もう知ってるから。」
「絶対今考えた言い訳だろ。」
「さあ、どうでしょー」
「どうでしょうじゃねーよ」
「ちょっと麗奈!またリンちゃんと遊んでるんじゃないよね!」
母、真純の声が下から聞こえる。
「ううん、違うよー。今すぐくるねー。リンちゃん早くいこーよ。」
「あ…うん!いこっかー!」
リンは付き合ってあげてるように応じ、下に向かっていった。
「おい、リョウキ。なんで俺らが知らないガキが俺たちのこと知ってんだよ。」
「俺もわかんねえ」
唯一考えられるのは周りが臨機応変にこの世界に実在するふりをしているということだが…
さすがに麗奈がそんなことできるわけないか。
「私の知識では、『因果律』じゃないかしら。」
「「「因果律?」」」
「これは私が聞いた伝説なんだけど、一代目剣聖がエルフの森に行ったとき、一人仲間を連れてったみたいなんだけど、その仲間が『因果律』を操作したらしいの。それで、伝説上のエルフは実在してることになったそうよ」
「それはエルフ固有の力なのか?」
「いや、伝説上では精霊の力と書いてあったわ。」
「じゃあ、あの不意打ちの魔法はそういう効果も含まれていたと言うことか」
「なら納得できますね。でも精霊がわざわざ私たちを襲うことはないと思うので、おそらく精霊の力を持った誰かの仕業でしょう」
「それは、見た目だけでも通用するのか?}
「リンちゃんの角が見えなかったのですし、そうなんじゃないでしょうか?」
そう、リンはドラゴンなのだ。
あんなに幼稚だが。まあその魔力量の多さから推薦されたしな。
「ちょっとさ、お前らがどういう設定なのか気になるからちょっと聞いてみようぜ」
「いいですね」
「俺もちょっと気になるぜ」
「まあ…いいんじゃないかしら」
「じゃあ下行くぞ」
「了解です」
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