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保身に走る阿子の真信が言った言葉

「真信君」

 その日の帰り道、有名なアイスクリームショップでアイスを買って食べながら、阿子は意を決して真信に言った。これで終わりになるかもしれない、という覚悟が、阿子にはどうしても必要だった。

 でも、美嘉は味方になってくれると言った。それだけでいい。


「ん?」

「真信君はさ、私と付き合ってて楽しい?」

「どうしたの、いきなり? 楽しいよ」

「じゃあ、私と付き合ってて苦しいって思ったこと、ある?」

「へ?」


 真信は阿子から言われた意外すぎる言葉に、裏返った声しか返せなかった。

「それはないけど……」

「私はね、……あるんだ」

「え? ……どゆこと?」


 普通に考えれば、この阿子からの言葉は別れの言葉に聞こえなくもない。真信も突然阿子から別れを切り出されたかと思い、真剣な眼差しで聞き返す。


「言っても仕方ないことだし、私が我慢すれば済むことだから、今まで我慢してたんだけど、ちょっと思ったんだ。恋愛ってひとりではできないでしょ? 2人でするものなのに、幸せは2人で分け合って、苦しみを分け合わないのはおかしいんじゃないかなって」

「阿子はどうして苦しいの?」

「いつもってわけじゃないよ。楽しいことの方が多いけど、なんていうか……ごめんね、完全に私のわがままなんだけど、例えば真信君が他の女子と仲良く楽しそうに話してるところを見ると苦しくなるっていうか……ただのヤキモチなんだけどさ」


 阿子は怖かった。過去の阿子は、これを言ったら「じゃあ別れよう」と言われてきたから。真信も、今までの人みたいに別れを告げるタイプかもしれない。


「ごめん、変なこと言ったね! 忘れて! 私、真信君が好きすぎて苦しくなっちゃうことがあるんだ。そんなの勝手に言ってろだよね!」

 思わず保身に走った阿子に、真信は言う。


「阿子はすごく真面目ちゃんなんだな」


「いろいろ考え方変えようとか、頑張ってるんだけど……こういう性格なんだろうね、きっと」


 さぁ、真信はどう出るか。真信のことが好きだという阿子は、自分のその気持ちを信じていいのだろうか。


「今までありがとうな。無理してくれて」

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