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愛しているなら信じなさい

「阿子は自分に嘘をつくのが趣味なのかね……」

「どういうこと?」

 最後のミニトマトを口に入れて、美嘉は続ける。


「だってそうじゃん? 本当はやめてほしいのにそれを言わないでさ、『私は気にしてませんよー』って嘘ついて真信君と会うわけでしょ? 私だったら耐えられない! 思ってることはすぐ言わなきゃ気が済まないもん!」

「私は美嘉のそういうところがホント、羨ましい」

「これで喧嘩になることも多いよ。でも言わないで我慢するより、言ってみるかなー私は。喧嘩にならずに済むことだってあるし、そしたらそれで万々歳じゃん」


 過去と他人は変えられないとはよく言ったもので、美嘉がいくら阿子にそう促しても、阿子の性格が美嘉のように変わることはない。

 けれど、阿子の努力次第で阿子自身の悩みを減らすことは可能なはずだった。


「阿子はさ、真信君のこと、好き?」

 美嘉が突然、阿子の心臓にナイフを刺してきた。

「え? 何、急に? 好きだよ」

「じゃあ、それでいいじゃん。好きなら好き! それを伝えて、好きだからヤキモチ妬いちゃうってことも素直に伝えれば?」


 阿子には素直に美嘉の言うことを行動に移せない理由があった。今までの恋は、そうやって自分の気持ちを伝えたことで終わってきたのである。


「でも……。私だって過去に伝えたことあるよ? 元彼に。でも、私の気持ちを伝えるとみんな去っていくんだもん……。重いんだって」

「あはは! たしかにそれはあるわ」

 阿子が本気で悩んでいることをこうして笑い飛ばせる明るい性格の美嘉。阿子ならきっと、相手が傷つくだろうなという気持ちが前のめりになりすぎて、そう思っていても言えずに、嘘をついて笑って終わる。


「やっぱり重いかな、私?」

「さぁ? それは直接真信君に聞いてみるべきでしょ」


 阿子は今まで付き合った彼氏と1年も続いたことがなかった。だから、真信とはこのままうまくいって、まずはひとつの難関である『1年壁』を越えたい。


「それができないなら、阿子の考え方を変えるしかないっしょ」

 美嘉が言うには、『愛してるから疑う』というのは古い考え方らしい。

 愛しているから「浮気をしているんじゃないか」と疑ってしまうのは古い。本当に愛しているなら信じなさい、ということだった。

「真信君が誰と仲良くしてても、阿子のことが好きっていう気持ちを信じるしかないよ。そこを疑ってたら、絶対に長続きしない」

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