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異世界大陸  作者: キィ
第二章 魔学舎入門
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第24話「新たな机」

「今日はレイの机作りよ!!」


「レイ、よかったわね」


 アメルはレイアは前に置きながら頭を撫でていた。


「ママー、ありがとうー」


「ママー、僕ちゃんラフランス製がいいよー」


「ん?ゼクはこっちよ?」


「ンママー!」


 ゼクシオはギャラリーに紛れて応援していると、ルザーネに引っ張り出された。


「誰かお助けをー」


 周囲を見渡すと全員が知らん顔、その中で1人頼れる仲間を見つけた。


「ヘレン姉〜」


「…御武運を」


「そんなぁ!」


 そのまま処刑台に連れて行かれるように、強制的に連れ出された。


「さ、素材はもう準備してるから、後は加工するだけよ」


「へーぃ」


 改めて対峙するが、この大きな木片をリオはどうやって机にしたのか、今思えば不思議だった。


(はぁ、苦手だな)


 ぺたぺた触っても急激に家具へと変化するわけもなく、取り敢えずはレイアの要望を伺う。


「レイ、どんなんがいい?」


「んー、兄ちゃんと同じがいい!」


(あんな感じか)


 思い出しながら手に風の刃を作って、少しずつ周りを削って行く。


「ゼクの練習のためにも丁度良いと思ったのに、もうそこまで扱えるの?」


「ん?まぁ」


(昨日も練習したし当然といえば当然だけど、、)


「そう、そういうことだったのね」


 そう言い、ルザーネは呟きを溢すとゼクシオは聞き返す。


「母さん、何が?」


「ちょっとゼクの成長スピードが速いってだけよ。これからも頑張ってね」


「うん」


 そこからは不器用ながらもだいぶ机っぽくなってきたが、結局仕上げはヘレンに任せっきりの形になり机が完成した。


「はー、終わった」


 時刻は丁度真昼頃、リオが帰って来る期間は刻々と迫ってくるが、デリネア達の元に訪れるのは少し遅くなっても良いだろう。

 その場にはゼクシオとヘレン以外、部屋の中に入って早速セッティングを開始していた。


「お疲れ様です」


 ヘレンはそういうと、ジュースが注がれたコップを運んできた。


「お、サンキュー!」


 いっきに飲み干すと、理由は特にないが氷炎を発動して、いつものように維持する練習を行なっていた。


「いつも熱心ですね」


「そりゃ、ロマンに時間は注がないと理想に近づけないからね」


 だが、さっきまで効率の悪い属性の魔術を行使していたことによる反動で、体力はいつも以上にに抜き取られ、かなりガス欠のようだ。


「あれ」


 急に眠気が襲い、そのまま地面に倒れ込みそうになった時に、ヘレンはゼクシオの身体を支えた。


「なんか急に眠気が」


「無理のしすぎです。少し休息してください」


「まだ師匠のところに…」


 意地で起き上がろうとしたが力が入らず、ゼクシオはそのまま目を閉じた。



 ****

「あ!」


 寝ている現状をすぐに理解すると、ベッドから勢いよく飛び出した。部屋に置かれた時計を見るとかなり時間が経っていることに気づき、慌てて部屋から出ようとした。

 その時、部屋に置かれた新しい机が直前の記憶が本物であることを意識させ、余計に慌てさせる形になった。


「母さん!俺、何時間寝てた?」


「4時間かしら?身体を調べたけどただの疲労ね。魔術を酷使しすぎよ?」


「4時間?でも、今から行ってもまだ遅く…」


 そう言い出すと同時に玄関へと走り出したゼクシオに向かってルザーネは言い放つ。


「セナちゃんの家には連絡したわよ」


「なんて?」


「今日は遊びに行けなくなったって」


「そんな!」


 もう時間がわずかな中で、少しでも雷属性の魔術を成長させたかったので、酷く落胆した。


「メイドさんに伝えたから、きっとグムレフト様たちも心配してないわ」


 最近どこで何を行なっているかゼクシオから聞いていたので、ルザーネは早めに対策ができた。


「それじゃ、今日はお休みか…」


 アリデラ達の元へ向かうことを諦めたゼクシオは、トボトボと自室へ足を運び出した。すると、そこでお腹が鳴り足を止めた。


「そういえば、ご飯も食べずに寝てたわね。おやつで良ければ今から準備するわ」


「……うん」


「それと、倒れたゼクを運んだのはヘレンちゃんだからお礼言うのよ?」


「…はーい」


 こうして、ゼクシオは1日の半分以上を終えた時間に、肩を落としてお菓子を食べていた。


「本当に魔術が好きなのね、1日練習ができないからって普通はそんなに落ち込まないのに」


 遠目から見ても、その姿は悲しさを感じさせるものがあった。どうすることもできなくて、ただ見つめていると玄関からノックする音が聞こえた。


「アメル達が帰ってきたのかしら?」


 そう思いながらルザーネは顔を出すと、そこには白髪の少女が立っていた。


「あの、アロンスフォート邸はこちらでしょうか?」


「ええ、そうよ。それであなたは?」


「私はデリネア・ルクス・エルハイド、ゼクシオ少年の師匠です」

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