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異世界大陸  作者: キィ
第一章 記憶覚醒
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第1話「記憶覚醒!」

途中から文の構造が変わってしまったので改変した。おかしな事があれば遠慮無くお知らせください。

… 頭が真っ白になって色が流れ込んで来る。赤…、青…、緑…、同時に様々な悲しみ、喜び、痛み、快感、怒り、痛み、匂い、衝撃の様な感覚と映像が一気に押し寄せた。そして、全てが真っ暗になり全てが塗りつぶされたかと思うと再び真っ白になった。永遠の様に思われたその感覚は頭に何か別の物が流れ込んでくるようでとても違和感がした。異変が多すぎて頭が混乱しているが、本能がどうしようも無いっと訴えているのでどうすることもできず、1人で悶え苦しんでいた。時間がどれだけ経ったのか分からないがその後、頭の中の異変は動きを止めて終わりを告げた。そして、体と頭の意識が繋がり初めて目を開ける。


 目を開けると、視界の中に世界が入り込んで来た。そして、最初に見たその光景には、見知らぬ天上があった。息を感じて右を見ると、寝ている姿の男がいた。その男は何故か自分に手を乗せている様で、体が動かしにくい。反射的にその場から動き出そうとするが、手のせいで動けない。そこで気づいた。体がこの男に比べて、自分はとても小さいのだ。


(なぜ?俺は体が縮んだのか?女体化ならぬ幼児化だと?)


 こんなばかなことを考えていると、ジワジワと頭に何かが浮かんできた。


 音?


 トラック?


 コンクリート


「あ!」


 思わず声を上げてしまったが、男の様子は変わらない。しかし、彼はそれを気にする暇もなかった。


(そうだ、俺は死んだんだ。本屋の帰りにトラックにひかれて...。あーあ、[ピンクの勇者と秘境の地]完結まで見たかったなー。まだ、温泉迷宮第4階層だったのに!あれは素晴らしい作品だったから完結まで追うと決めてたのに..。そうか、もう家族や少ない友人とも会えなくなったのか。俺は周りより浮いてたけど、そんな俺のそばにいてくれるいい奴らばっかりだったな)


 ほとんど迷惑をかけた思い出しか無かったが、こうなると、寂しい気持ちもこみ上げてきた。だが、オタクとして、死んでな記憶があると言う状況は、ちょっと憧れていた環境でもあるため、心が少し高揚していた。


(そうか、死んだ記憶があるって事は転生したんだな。でもあれ?不思議なことは、この幼児化以外に死んだ記憶があるくらいで、神様に会ってないぞ?俺の神様どこ行った?まさかの神様無し転生系で、チートなし?他に考えられるのは神様との記憶だけ消されてるだけで何か変化があったのかそれとも…、分かった!無自覚チートなのか!きっとそうだ!)


 まだ異世界転生でおなじみのチートボーナスや神様との面会など記憶に残るイベントが発生していない事に困惑していた。しかし、何か都合があると考えると一旦その場で考えることをやめて行動に移った。


 (考えても仕方なしっと。まずは、情報収集だな。俺について、そして世界についてとこの場所についてだ。物心があんまりついてなかったのか、記憶が今覚醒したからか、記憶が曖昧すぎてわからない。それよりまずはここから起きるか)


 小さな体で自分自身に乗っかる男の手を退けると、慣れていない体を誠意いっぱい動かしながら歩き出した。すると、目の前の扉が開いた。


「あら、ゼク起きたの?お昼寝はもういいの?」


「うん、いいよ母様」


(おっと、反射的に喋ってしまった。そうか、お母さんはこんな顔なのか。ん?母様?どうやら記憶のかき混ぜで色々おかしいようだな。ちょっと慣れない。でも体には馴染んでる不思議な感覚。あ、そういえば、言葉は分かるんだな。これなら意思疎通の心配はいらない。文字は大丈夫かな?」


 ここで彼は自分自身の名前を思い出した。“ゼクシオ・アロンスフォート”。彼女が呼んだゼクはゼクシオの愛称だ。


 (なんか、名前がかっこいいな)


 それが最初に気づいた名前の感想だった。そこで新たな問題に直面した。それは自身の性別どちらであるのかと言う内容だった。


 (ん?性別ってどっちだろ?」


 その思考に至ると小さな体の下半身に視線がいった。


「ゼク、どーした?」


 今、彼に大事なのは自分自身の性別の真実なので、その言葉は耳に届かなかった。名前はゼクシオだ。だがちゃんをつけていると言うことは、女の可能性、つまり、幼児化+女体化の可能性をゼクシオは見出したのだ。


(ロリコンではないと言いたいが、これはこれでそそらないわけでは…)


 下を見るとそこにはズボンがあった。


(ズボンか...)


 思いっきり肩を落として落胆するが、まだゼクシオは諦めていなかった。


(いや落ち着け。まだわからない。下を見るまでは...)


 こうして変な妄想に期待を膨らませ、ズボンに手を回し、下げようとすると、


「ゼク、そんなにズボンを下ろそうとしてどうしたの?もしかしてそう言う事?でも、今まであなたがおねしょをするだなんて一回もなかったのに?」


(ん?俺はおねしょをしたことがなかったのか、感心感心。って違う。今は男か女か?だ。しかし危ない、母様の前で下半身を晒すところだった。なら鏡だな。顔立ちで見定めてやる。この幼い体ではあんまり発達して無いから視点のみだと違いもハッキリ分かんないからな)


 鏡で自身の姿を確認をする事を決めると、すぐさま母親に質問した。


「母様、鏡はどこにあるの?ちょっと気になることがあるから...」


「ゼク、もう身だしなみに気を使い出したの!まだ5歳なのに立派になっちゃって、すごいわね。

 鏡は隣の部屋よ。でももうカッコ可愛いけど。」


 そう言って母親は上機嫌で部屋を後にした。そこで、新たにゼクシオは分かったことがある。それは、自分が5歳であると言う事実と...


(俺がカッコかわいいわけねーだろ!いや、顔は変わっていてもおかしくはない。だとしてもだ。ん?でも言葉をそのまま受け取るならカッコ可愛いってことはカッコいいって言ってるから男なのか?いやまだわからん、カッコいいボーイッシュな女の娘かもしれないだろ。だって、かわいいとも言ってたし。まぁ、考えても仕方ない。下を見るのが手っ取り早いが、顔を見た方が自分の顔も確認できて、一石二鳥でいいだろ。親が自分の子供で贔屓目で見てるかもだし...)



 ゼクシオは自分の記憶を遡るが、前世はそこまでだったとは思えなかった。モテなかったし、自分でもイケメンの部類に入るとは思って無かった。だから、『今世は顔が優秀でありますように!』と願っていた。リセマラできない人生に願いを込めて、ゼクシオは鏡へ向かう。


 隣の部屋へ行くと鏡があった。ちょっと高価そうだけど前世と大差ない鏡だった。


(スースー、フゥー)


 目を閉じ、深呼吸をすると鏡を見る。そこには、本当にカッコかわいい顔があった。


(まさかこんな当たりだったとは!神様ありがとう。いや、もしかしたら、顔をボーナスでもらって、記憶消されて覚えてないだけかもしれないし。まだ喜ぶのは早計だ。でも…、にゅふふ)


 こんな顔はゼクシオが見た中でもトップの部類だった。誰が見ても前の顔から今の顔に変わったら頬が緩んでしまうだろう。そして、緩んだ顔もかわいい。こうして、自分の顔を見て微笑む行為をあと数十回繰り返していた。その間、ゼクシオは自分の顔を見て喜べる、なんとも幸せな気分になっていた。

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