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8話 見世物


「……ふぅ、ふぅ……」

「もう少し、もう少しだ……」


 あれから数日経ち、俺たちは昨日雑貨屋で購入した荷車に沢山のガラクタを載せていつもの道具屋まで向かっていた。


「……ぜぇ、ぜぇ……」

「……」


 俺の隣で荷車を引くコレットの息が明らかに上がっているのがわかる。


「ちょっと休憩しよう」

「……だ……大丈夫でしゅ……」

「休むぞ。命令だ」

「は、はぁい……」


 海岸沿いから最寄りの道具屋『パワースポット』までは坂道を何度も上る必要があって、しかも暑いもんだから体力が削られるのも無理はなかった。二つ目の坂を上り切ったところにある、海を見下ろせる街路樹の木陰で休むことにする。


「……ごめんなさい、カレルさんの足を引っ張っちゃって……」

「いいんだよ。コレットは翼があるし特に暑そうだしな」

「……はい。しかもこれ、結構重いんです……」

「その上飛べないんだよな。何かメリットは?」

「……え、ええっと……あっ!」


 コレットがはっとした顔で翼をバタバタさせると、心地いい風が飛び込んできた。


「涼しい……」

「よかったです! ……ぜぇ、ぜぇ……」

「……結局疲れるんならやめよう」

「え、えへへ……」

「……そろそろ行くか?」

「ですね、お店が閉まらないうちに行きましょう!」

「あ……」


 冒険者らしき三人がこっちに向かって歩いてくる。


 先頭にいる屈強そうな男の手を見て、俺は彼らが冒険者のパーティーだと確信した。ダンジョンに通うパーティーのリーダーは、パーティーリングというリーダー専用の赤い指輪をつけることになってるんだ。装備も豊富だし何より目が違う。野心に燃えているのかギラギラとした眼光を放っていた。


「ダンジョン、楽しかったなあ」

「だねー」

「また行こうぜ!」

「「「おー!」」」

「「……」」


 ダンジョン帰りのパーティーが通ったことで、俺たちは微妙な空気に包まれた。


「……まあ、俺たちは俺たちだし」

「ですね! こうなったら、二人でチューを見せつけるとか……」

「……バ、バカか」

「うふふ、冗談ですよぉ……あっ……」

「ん? どうした?」

「あそこ、人が集まってますよ」

「……お……」


 俺たちと向かい合う形で、道路を挟んだ煉瓦の壁の下に人がぽつぽつと集まり出していた。


 何をしているのかと思って二人で近付いてみると、その中心にいる太った男が大口を開け、色んなものを食べては手から元通りにして出すということを繰り返していた。よくわからないが、倉庫系スキルの亜種だろうか? あまり使えそうにないものの、男の軽妙な口調や陽気な様子も相俟ってかなり盛り上がっていた。


「み、見てください、カレルさん! お金が舞ってます!」

「……凄いな」


 拍手とともに沢山のお金が男の口に投げ入れられ、それをまとめて彼が両手から出すと大歓声が巻き起こった。どう見ても外れスキルだが、そんなものでもこうして工夫すれば儲かるんだな……。


「――そうだ! カレルさんも見世物として【釣り】スキルを使ってみては……!?」

「……んー……」


 そうだな……。今のままじゃ、お金なんてほとんど貯まらないし疲れるしで、こういうのもありだと思える。


「よし、俺たちもやってみようか」

「はいっ! ……あ、でも、どうやって人を集めましょう……?」

「……そうだなあ……。ビラとか撒くにしてもお金が相当かかるだろうしな……」

「ですよねえ……」

「……あ、そうだ。ギルドを利用するか」

「ギルドってなんですか?」

「冒険者ギルドのことだよ。そこに登録して広告を貼れば、多くの人が集まるから効果がありそうだ」

「なるほどです! カレルさんの頭は最高ですね! 私は鳥頭ですが……」

「……いちいち自虐しないでよろしい」

「はぁい……」

「さ、まずは道具屋で資金作りだ!」

「了解です!」


 新しい目標ができた影響か、ガラクタを載せた荷車は幾分軽くなったような気がした。

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