二話
俺の名は森薙技 不士。最近高校に入学したばかりで、魔法を使えるという事を除けば何処にでもいる普通の高校生だ。
俺は物心つく頃にはその存在を知覚し制御していた。三歳当時は俺にしか使えないと思っていたこの力に大いに興奮し何も考えずに母親にポルターガイストまがいなことして見せたら母親はとても驚き足を滑らせ階段から転倒し首の骨を折り死んでしまう。まだ三歳の俺はこの状況に理解が追いつかず泣き叫ぶばかりであった。
それ以来、一切その力を使わずに封印していたが、小学生に上がる頃に俺は異形の化け物と血を流しながら戦う自分と似たような力を持つ人達の戦闘を目撃する。それに、心の底から恐怖した。何故ならその時知ったこの力の名前「魔法」を使いあたりを散策したら、その化け物がそこら中にうようよ居ることがわかったからだ。
弱い段階では危険ではないようだが、化け物同士で食い合い力を付けた化け物は、人間を襲うようになるみたいだった。その時から、誰にもばれないように密かに魔法の特訓を始めた。痛い思いをしないように。
中学の上がる頃、このまま独学の特訓で良いのか疑問に思ったが、他の魔道士にご教授を受けるのは化け物との戦いに巻き込まれかねないで、教えを請うことは出来なかった。それで、中学生の俺は何を思ったのか、愚かにも魔道士連盟の住処に忍び込み魔法の教本らしき物を盗み出したのだった。今に思えばなんとバカな事をと思うが、まぁ、結果的には成功しているので良いのだろう。
それから、教本どうりに特訓していたがいまいち強くなっている気がしなかったバカな調子乗り中学生の俺は、教本に書いてあった化け物の名前、「異世界の魔物」達で実験しようと考え実行したのだった。
魔法を使った実戦の結果は良かったが、特訓ばかりしていた俺の高校受験はさんざんだった。
第一志望、第二志望ともに不合格。一つ年上の兄に強くつよーーく何度もなんっっども進められて渋々書いた第三志望の高校に合格。非常に不快だが、ここしか合格しなかったので通うことになった。
別に高校など何処でも良いのだが、唯一の肉親である兄が通って居るから嫌なのだが、肝心の兄が全く気にしていないどころか非常に兄弟仲が良好だと勘違いしている節があるのも不快だ。
母が死にそのすぐ後を追って父も死んだ。だから、二人で支え合って生きてきた所があるが、いい加減鬱陶しい。まぁ、一番の原因は魔物を知ってから俺の性格が歪んで変わった事のせいだろう。しかし、今の俺を変えるつもりは無いので、変わらずにずっと俺と兄の兄弟仲は不和のままだろう。
そして、現在高校生になった。中学生の頃よりかは大分落ち着いた性格になったが、今でも魔物狩りは続けている。誰にもばれないように、こっそりと。
入学してから一月ほどたつとある程度クラス内でグループが出来上がり、最初こそ居た話しかけてくる人も適当な返事しかしていなければ居なくなる。詰まり、俺に静かで穏やかな学校生活を遅れている。昼休み以外は。
昼休みになると兄が一緒に食事をしようと誘いに来る不快な時間になっている。
「不士~一緒昼飯にしようぜ!」
ほら、来た。
後ろに女子生徒を二人つれながら。
場所が変わって今は屋上にいる。今は、腰の辺りまで茶髪を伸ばした女子生徒からお弁当をもらっている。
「はい、不士君。今日のお弁当ね。」
「ありがとございます、水乃木さん」
この人の名前は水乃木 聖
兄の幼馴染で隣に住んでおり、両親を早くに亡くしたため幼い頃から水乃木家にはよくお世話になっている。弁当を作ってもらっているのもその一つである。正直いらない。コンビニの菓子パンのが良い。
「ふふ、そんなにかしこまらなくても聖お姉ちゃんって呼んでくれていいのよ。」
この人は、兄を好いているせいか異様に俺の姉面してくる。
正直不快だ。
「あんた、また遅刻しかけたでしょ!少しは不士君を見習って早起きできるようになりなさいよ!」
このキンキンした声で兄を説教している金髪で髪をツインテールにしている女子生徒は兄が高校で出会ったという、名前を灯日 フレア
過去にストーカー被害に遭っておりその際兄に助けてもらって以来この人も兄好いているご様子。
「うっ!ご、ごめんって。あっ!そういえば不士は友達できたか!」
この無理のある話のそらしかたをしたのが、兄の森薙技 勇進
超絶イケメンと言うわけではないが、そこそこ顔は整っており優男風、185の身長もあってかかなりモテるだろう。いつも横に水乃木か灯日がいるので告白された事が無いそうだが。
「まぁた適当に話をそらして本当に遅刻してもしらないわよ!ふぅ、まあ、いいわ。それで、不士君はクラスになじめているのかしら?」
たかが遅刻ごときで、キンキンと大声を出さないでほしいな、兄に少しでも早く会いたいだけだろうし。
あと、地味に偉そうなのも不快だ。
「大丈夫だよ。クラスでも楽しくやっているよ」
嘘は言っていない。
「そうか、なら良かったよ。何かあったら何でも相談しろよ。」
兄だけには絶対相談しないよ
「なんたって俺たちは最高の兄弟だからな!!」
とっとと、どちらかとくっついて俺の前からおさらばしてもらいたい物だ。
弁当を食べていると、魔力反応を察知する。近くに誰か魔道士がいるのかと思い、魔力の出所を探ると、、、兄から漏れ出している事に気づいた。
「はぁー疲れるな」
俺はついため息をついてしまう。兄からいままで無かった魔力が漏れ出している事に気づき、どうにも、この学校は現在まだ子供の魔道士および、将来、魔道士になり得る可能性の子供達を集めている学校であると気づいたからだ。
俺が他の高校にことごとく落ちたのって、兄が魔道士の才能があると判断されたから、その弟もついでに入学させておこうとなったからだよなー
「はぁぁ」
またため息をついてしまう。