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孤高の魔道士は自分の不変を望む  作者: 最弱のあああ
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十話 命名は呪詛の魔女

 


 風化する――


 喜びも怒りも哀しみも気楽さも――


 時間がたてば風化する――





 一月がたち、学校は中間テスト前の静かだが少しピリッとした空気になっていた。

 女魔道士の姿で兄と話した後日に水乃木さんと灯日さんが安全の為に距離を置くことを説明しに来た、それ以来たまに廊下で見かける程度の関係になり、あの時に感じた不快感もきれいさっぱり忘れた。


 だからと言って俺の周りで何かが変わると言う事は無い、しいて言うなら最近の特訓が上手く行かない、特訓相手となる魔物がいないからだ。どうにも魔物達は魔王との一戦以降びびってこの街から逃げ出した様子。

 その代わりと言っては何だが、怖い物見たさでこの街に来る野良の魔道士や強くなり知恵を付けた魔物が集まって来ているが、なまじ知恵があるせいで姿を隠すし逃げるしでサンドバッグにしづらい。

 おかげで最近は魔力を絶ちながら体の中で魔力を遊ばし、魔力操作と魔力量を鍛える訓練しかできてない。魔法を使わない肉体訓練は別だが……


 この街は一見すると魔物が少なく平和に見えるがその実際、いつ爆発してもおかしくない火薬庫だらけの街になっている。

 そのため、魔道士連盟は多くの問題を抱えてかなり忙しそうにしている。前の首輪を付けた魔物もその一つだ、あの魔物以外にも俺がボコった7体の魔物と合わせて49体の何者かに使役されている魔物が確認されている。これだけの数の魔物を使役している魔道士連盟未確認の組織もしくは個人はかなりの脅威になるとされ早い解決が求められているそうだ。


 ちなみにこれらの情報は、魔道士連盟所属の深影墨から直接聞いた。……なんでも、俺の扱いは、五つ持ちの魔道士なのに敵対意思は無いため危険度は低く、監視、調査は深影墨に一任し『呪詛じゅその魔女』の通称を与え放置されている。

 深影いわく、「……忙しい今、一人配置されるだけでも警戒されている証拠……」らしいが、この状況作り出した張本人なんだがな。……まあ、警戒されすぎて追いかけ回されるよりかはましか。


 以上がこの街の状況……関係ない事だが。





 ただ、目新しい特訓ができないのは退屈である、小学生以来特訓7割アニメ・ゲーム・ラノベ3割の人生だ。特訓ができないなら学生らしく勉強でもと思ったが、三日坊主どころか三分坊主で終わった。

 しかたないので、休日に近くのゲーセンに行き暇を潰している。


 ゲーセンに行って遊んでいるゲームはメダルゲームである。格ゲーなどの対戦ゲーは論外、ゲームは好きだが上手くは無いので対戦するのは負けがかさみ面白くない。音ゲーがあるがこれも駄目だ、近くにガチ勢がいる、あれの隣でそこそこのプレーをするのは気が引ける。クレーンゲームも駄目だ、取り方がわからない。いろいろ技があるそうだが、覚える気になれない。いざ、取ろうと思うと失敗続きで金がかかる、一億円を魔道士連盟から奪っているが、使うと足が着きそうで怖くて使えない。

 他にもいろいろあるが安上がりで時間を潰せそうなのはメダルゲームだろうか。



 最初に借りたメダルで数時間粘っていると後ろから声を掛けられる。

「…………君は今、テスト期間では……」


 深影墨が話しかけてきた……今、かなり驚いている。鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているだろう。居るのは知っていたが、ほぼ接点のないのに話しかけられるとは夢にも思わなかったよ。ちなみに、何時も通りに厚着をして全身黒尽くめだ。


「!え?あ、はい。そうですね」


「……勉強しないの?」

「しないですよ」

 即答で答えて話を終わらせようとしてみる。と言うか、身長的に中学生っぽいけど勉強とかしなくて良いのだろうか?


「……そう……」

 話が終わるが、どっか行かない。何を考えているのだろう?


「……」ガヤガヤ

「……」ジャラジャラジャラ

「……」ガヤガヤ

「……」ジャラジャラジャラジャラ

「……貴方は……人の死についてどう思う?」

 深影が喋る


 あ、まだ話つづけるのね……


「……さぁ、興味無いので考えたこと無いですね」

「……何時だったか……水成獣と炎獄支配が呪詛の魔女について……貴方を攫った女魔道士について語った時に……心底興味なさげな顔をしていた」


 水作獣と炎獄支配?ああ、水乃木さんと灯日さんの事か、この人は魔法名で人を呼んでいるのか。

 そういや、何故か平日の昼なのに高校にいたよな、、、もしかして中学生では無いのか?話の内容より中学生なのか中学生では無いのかが気になるな。


「……貴方は何を考えていたの?」

「覚えてないですね」

「……」ザワザワ

「……」ジャラジャラ


「……貴方の雰囲気は少し……呪詛の魔女に似てる」


「…………………………………………そうですか?」

 突然の爆弾発言に動揺を顔に出してしまいそうなのをぐっと堪え相づちをするが、聞き返したかの様な発音になってしまう。


「……わたしは……どちらかと言うと嫌いな人はみんな死んでしまえ……と思ってる」


 これは、許されたのか?セーフだったのか?あと、多分中学生だわ。この考え方は……



 夕方になるまで深影とだらだらと喋り続けた、10分以上無言が続く時が何度かあったが喋り続けたと言う事でいいだろう。

 話してて知ったが、やはり中学生らしいが学校には登校してない様だ。いままでは持ち前の魔法を生かした追跡、監視任務が日常だが呪詛の魔女の監視に当たってから暇しているらしい。そこで偶然、家から俺がゲーセンに向かうのが見えたから、暇つぶしに話しかけたそうだ。


 他の魔道士は皆忙しそうにしてたけど、それでも暇している奴は居るのだな。

 もうそろそろ帰ろうと思い立って深影にさよならの挨拶をする。


「まって…………また、暇な時に……暇つぶし相手欲しいから……メルアド」


 髪で表情は見えないが照れてる様子で聞いてくる。不登校みたいだしこう言うの初めてなのかもしれない。

 SNSじゃなくてメールアドレス聞いてくるのがなんかそれっぽい。これに関しては友達云々は関係なさそうだけど。


「ああ、わかりました……これが私のメールアドレスです。――それじゃ、私はこれで」

 メルアドを教えて今度こそ帰ろうとすると一人の魔力が半覚醒状態の人が後ろを通るのに気づく。


 帰る為に振り返りつつ後ろを通った人を覗くとそこには長袖長ズボン、マスクにサングラスに手袋とニット帽の女性……不審者かな?隣にいる深影も大概だがこっちは中学生だけど向こうは身長が170ぐらいあるし大人だと思う、、、顔が見えないから完全なる憶測だが。


 この不審者は呪いと同化した後遺症が無くてもわかる程の悲しみを漏らしながら歩いて、あ、倒れた。

「大丈夫ですか?」

 不審者が漏らす悲しみに興味がかれたので近づき声を掛けてみる。


「っ!!だ、大丈夫ですので!近寄らないで!」

 不審者が慌てて叫び拒否する。


 すぐにその場で足を止め思慮しりょする、男が苦手なのか?それとも魔法がらみか?考えているとフラフラしながら立ったが、また倒れそうになったので腕を伸ばし支える。


 支えた瞬間わかった、まだ半覚醒状態だが理解した。この人の魔法は呪いだ、覚醒前でも魔力に直に接すれば呪い系統の魔法ならわかる。惹かれた理由がわかった、この呪いに惹かれたんだ。



 俺が支えたと同時にこの女性の魔法が覚醒し女性が絶叫した――



 絶叫を耳にして深影を除く全ての者が気絶した。








 数十分後に深影が呼んだ魔道士連盟に気絶した者は救助され俺を除き全員が記憶処理を受けた。


 魔法に覚醒した女性は現在行方不明、俺は隔離中。理由は彼女が使ったとされる魔法による呪いを受けたためだそうだ。まぁ、仕方ないな、実際に彼女を支えた左腕が緑色に変色しており体温も冷たくなっている。

 現状、腕は変色して冷たくなっているだけで腕としての機能に何の問題も出ていないが呪いが進行すればどうなるか不明、最も俺に呪いの類いの異常状態は完全無効だが。




 魔道士連盟に任していると時間がかかりそうだし、この状況どうしようかな……






やっと十話されど十話

たかが十話と言えればかっこいいのでしょうけどね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。これからも地道に頑張っていきます(^^)/

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