第2話
俺は燃え盛る住宅街で魔族を殺していると、あることに気付いた。それは魔族のやつらが人を洗脳しているということ。洗脳されたやつは自我がなくなり、狂人のようになる。…精神を破壊の方が正しいかもな。自我がなくなる程度まで洗脳されたやつは助けることができない。
「ギャハハハハ、お前が俺らを殺し回ってるやつかぁ?」
「ああ?誰だてめぇは」
「俺は上位死神だ。名前はねぇ」
「ああそうか、じゃあ死ね」
そう言って俺は空を飛ぶあいつに切りかかった。しかし上位死神を名乗るやつは俺の攻撃をよけた。斬撃すらも避けた。
「おーっと、危ねえ危ねえ。お前なんかに俺は殺せねぇよ」
俺は落ちながらやつに聞いた。
「お前がこの襲撃を指揮しているやつか?」
「ああそうだ。つってもお前なんかに殺されねぇけどなぁ」
「そうか、ありがとな死神。じゃあ宣言通り死ね。絶対的な力10%」
今まで俺が使っていたのは2%の絶対的な力だ。2%未満に制限できないのでいつも2%で使っている。まあ2%であの威力だからな。手に入れた頃は100%で使って腕が複雑骨折になった。まあいつも使っている力の5倍だと思ってくれたらいい。俺は落ちながらだが、刀を持っていない方の腕を下に振り下ろし、その風圧で上まで飛んだ。すごい勢いで。流石に上位死神とやらも反応できなかったらしく、動かなかった。
「じゃあな」
そう言って俺はやつを一刀両断にした。そして切った瞬間にすぐさま細切れにしてやった。これで少しは楽になるだろ。俺は着地し、すぐさま別の場所に走った。
――――――――――――――――――
「十王を召集しろ!今すぐにだ!」
「はっ!」
そう言って使いは消えた。くそくそくそ。人間にあんなやつがいるなんて聞いてないぞ!そう思考しながら俺は会議場所に向かった。
「なんだよ十王を召集するまでのことって」
「あの頭脳明晰で有名な死神王さまのことでしょ?何かあるんじゃない?」
「絡んでくんな気持ちわりい」
「すまない、遅れた。実は君たちにこれを見てほしい。」
そう言って俺は大画面に上位死神のとっていた映像を見せる。
「ふーん、死神王さま、これがどうかしたの?」
「こいつが倒したのは上位死神の中でも十位のやつだ。こいつがいとも簡単に殺されたんだ」
王達がざわめく。そらそうだ。身体能力で言えば一番とも言える死神族の上位が簡単に倒されたのだ。
「それで、これをどう処理するのだ。死神王よ」
「はっ、この人間の力量を量りたいので、悪魔族から上位悪魔を派遣させてもらえないでしょうか?魔神様」
「それでよいか?悪魔王よ」
「しゃーねぇーなー。魔神様の命令なんだから従いますよぉ」
「うむ、この件は死神王に任せるとしよう」
「はっ!ありがとうございます」
そうして十王会議は終了した。
――――――――――――――――――
はあ、これで全部か。しかし、多種多様だったな。死神っぽいやつもいれば、悪魔っぽいやつもいた。手が痺れてやがる。絶対的な力を使用し過ぎたな。まあ家に帰る分ぐらい残ってんだろ。
「絶対的な力、発動」
そうして俺は家に飛んだ。家に帰ると母と父とメイネが泣きながら抱きついてきた。
「母さん、父さん、メイネ、この服魔族の血とかついてるよ?」
そう言うと3人ともばっと俺から離れた。面白くて笑った。
「ぶ、無事で良かった」
「本当、ですね」
「心配させないでよね」
3人とも半泣きでそんなことを言う。そうか、心配されてたのか。
「ごめんなさい、勝手な行動して」
「大丈夫だ、お前が襲撃を止めたんだろ?あいつらより早く」
そう言って指指した方向を見ると警察っぽいやつらが住宅街へ向かっている。対応が遅いな。下手すりゃここら一帯占拠されてたかもしれないのにな。まあ全員俺がぶっ殺したけど。
「本当に本当に無事で良かった」
「こんなときで申し訳無いが、ヤアル、ちょっとこっちに来てくれ。メイネちゃんとクヒメ、ここで待っててくれ。」
そう言い父は俺を家に誘う。俺はそれについていった。
「さて、母もメイネちゃんもいない。これから本音で話してくれ。お前、誰だ?」
ごくり、と唾を飲む。なんでそんなことを聞くんだ?まさか、俺が転生者だとわかったのか?!そんなことを考えていると、
「きゃー」
「?!、すまん父さん!」
「ああ、話はまた後でだ」
そう言って玄関を開けると母さんが悪魔に捕まっていた。
「つーかなんで俺がこんなところに。はーあ、なんで俺が貧乏くじ引くんだろ。にしても強そうなやつなんていないのにな。もういっそこいつ殺して食おうかな」
「はあ…。次から次へとうぜえなてめえら。俺殺されたいのか?ああ?」
「はあ?なんで俺がお前みたいなゴミに殺されなきゃいけないのかな?」
「馬鹿は嫌いだ」
そう言い刀を抜いた。
「そんなちんけなやつで俺を殺すって、調子に乗るんじゃねぇよ」
「そうか、じゃあちんけかどうか確かめさせてやろう。魔力操作、絶対的な力発動」
魔力操作で刀の強度を上げ、絶対的な力で身体能力を超向上させる。
「なんなんだそれは!」
「うるさいんだよとっとと死にやがれ」
そう言って飛びかかった。
「は、はや―」
俺は一瞬で悪魔を切り刻んだ。そして落ちてきた母さんを支える。俺はそのまま振り返り、父にこう言う。
「父さん、実は俺転生者なんだ。前世は蚊でね、人間に殺されたんだ。それのせいで弱いものいじめは許せないんだよ。だからこうして弱者をなぶる強者を退治しているんだ。」
父は唖然とした。メイネと母さんはいまだ戸惑っている。
「俺が転生した理由は人類を救うため。そして俺は神に頼み込まれ勇者になった。だからそろそろ旅に出るよ。人類を救うため魔族を倒す旅にね」