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能力当てバトル

 「全員揃ったね。ではリミデッドゲームを始めるよ!」

 

 陽気な男の声が部屋全体に響き渡った。

 男は顔が幼く、金髪に獣耳が頭部についていた。

 おそらく、人体改造を受けた「獣人」と呼ばれる人種であろう。

 

 部屋には獣耳の男以外に、十名の男女が集まっていた。

 鎧を着ているもの。銃をもったもの。それぞれ各々の装備をしていた。

 皆、張り詰めた空気を出しており、ただじっと獣男をみつめていた。


 十名のうち、九人はこの状況を受けいれていた。

 しかし、一人だけはこの部屋にいることに戸惑っていた。


 その男はシャツにジーンズと、オーソドックスな服装をしていた。

 明らかに周りの者たちから浮いており、軽いパニック状態になっていた。

 

 「おいあんた、なんなんだよここは!」


 その男は、獣男に怒りを込めて質問を投げかけた。


 「ああ、君はそうか。一般参加だから知らないのか」


 「一般参加?」


 「ええ。あなたはリミデッドゲームの参加者に、見事選ばれたのです!」


 八重歯を見せつけるように笑みを浮かべながら、獣男は拍手をした。

 この拍手に便乗して拍手をおこなうものは、この者たちの中にはいなかった。


 「選ばれた? そんなのに応募した記憶はねぇよ」


 呆れた態度をとる男。今すぐにでもここからおさらばしたい、といった具合だった。


 「さっきからうるさいんだけど、あんた。ちょっと黙ってくれないかな?」


 そう言ったのは参加者と思われる一人の若者だった。

 フード付きのジャンバーきており、高そうなヘッドホンを首にかけていた。


 「黙ってろって、お前たちは気にならないのかよ。突然、こんなところに連れてこられてさ」


 他の者たちに異論を唱えたが、誰一人彼と同じ気持ちの者はいなかった。


 「あんたさ、何か勘違いしてない? 一般参加、つまり一般人の中から拉致されてここに来たのはあんただけなの」


 「っは!? 拉致? しかも、俺だけ? てことはお前らは・・・」


 「っそ。俺は自分からここに望んできた。いわゆる応募組なんだよ。他の人たちもだいたいはそう。あとは、推薦組ってのがいる。ほら、あの人とか」


 ヘッドホン男はあるメンバーを指さした。

 部屋の隅で座り込んでいる、全身鎧に包まれた人物だった。

 宝石のように輝く蒼色の鎧を武装し、部屋の壁に二メートル近い刀が鞘に納められた姿で立てかけてあった。


 「あの人は何度かこのゲームに参加してるらしいよ。ああいう人は、ここの主催者に選ばれて参加した、いらゆる強者ってやつだね」強者(つわもの)


 「・・・なんなんだよ。自分からきたとか、推薦とか。なんなんだよ、ここ!」


 「だーかーら、それを今から説明するんじゃない」


 獣耳が会話に割って入ってきた。

 説明を遮られて、少々いら立っているようで、混乱している男を睨みつけた。


 それに委縮した男は、とりあえず話を聞くことにした。


 「じゃあ、気を取り直して説明するね。このリミデッドゲームは、参加者同士で争ってもらい、勝ち残ったものが大金を得ることのできるゲームなんだよ。あ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕はこのゲームを取り仕切るマスターのキンカだよ。金髪のキンカ、って覚えてね!」


 陽気さを取り戻したキンカと名乗る男。自分の髪を指さしながら、終始笑顔で自己紹介をした。


 「そういうのいいからさ。早く、今回のゲームルール教えろよ」


 せっかちなのか、ヘッドホン男がキンカに催促した。

 

 「あーもう、わかったよ。今回、行われるのはこれだよ!」


 キンカが指を「パチンッ」と鳴らすと、部屋の壁に大きなモニターがあらわれた。

 そして、今回のゲーム内容が画面に映し出された。

 参加者は一斉に、その画面を注視した。

 

 「能力当てゲーム」


 画面にはでかでかとその文字が書かれていた。


 「今回、みんなにやってもらうのは、その名の通り能力を当ててもらうゲームだよ」


 キンカはルールを大まかに説明した。それとリンクして、画面に細かなルールが映し出された。


 「皆には今から、別会場で最後の一人になるまで戦ってもらうよ。このゲームでは、プレイヤーがプレイヤーを倒す方法は二つある。単純に戦闘を行い相手を倒す。そして、もう一つあるんだよね」


 「もう一つ? それが能力当てってことか?」


 ヘッドホン男が質問をした。ヘッドホン男だけではなく、ほとんどの者が気になっていることだった。


 「そういうこと。君たちそれぞれの特殊能力、それを当てることで倒すことができるんだ」


  ここにいる者、そして外で普段通り生活をしている人々。そのほとんどが、生まれつき何らかの特殊能力を宿している。

 巨大化、炎を操る。その能力は人によって様々である。


 「当て方は簡単だよ。能力が分かったと思った相手に、直接申告するんだよ」


 「それだけ? 能力を探って申告されたものはどうなるんだ?」


 「どうなるって、もちろん死ぬよ」


 その言葉で一気に部屋の空気が重くなった。慌てふためく者はほとんどいなかっただが、皆顔つきが変わった。


 ただし、一人だけキンカの言葉に過剰に反応した。


 「今、死ぬって言ったか!? 戦って負けたら死ぬのか!?」


 わかりやすく動揺する男。


 「そりゃそうでしょ。このゲームは最後に生き残った者だけが勝者なんだから」


 不敵な笑みを浮かばせながら、キンカは男を脅すようにいった。

 

 「そんなゲームやれるかよ! 俺は絶対参加しねえからな!」


 「あーあ、拒否しちゃうの? そういうの死亡フラグっていうんだよ」


 キンカは右腕を男に向かって伸ばした。腕は茶色がかった毛で包まれており、指先には鋭い爪が伸びていた。

 

 その獣の腕がみるみる姿を変化させていった。

 不気味な音は立てながら、キンカの腕は機械に姿を変えた。

 キンカの腕は獣の皮をかぶっているだけで、元は機械で作られた腕のようだ。

 

 その機械の腕はさらに変貌していき、銃のような形になっていった。

 手のひらはいつのまにか、巨大な銃口になっていた。

 

 その銃口のさきにいるのは、参加拒否をした男だった。


 「バイバーイ」


 左手で軽く手を振ると、右腕の銃が作動し始めた。

 不快な機械音とともに、銃口から光線が放たれた。

 一直線に男にむかっていき、そのスピードは男が避けれる速度ではなかった。


 「あーあ、参加者一人減っちゃったよ」


 残念そうに銃を下すキンカ。

 しかし、あることに気がついた。


 男の死体がないのだ。光線に焼かれれば体の一部は消滅してもおかしくはないが、死体のかけらもないのはおかしかった。それに地面には血が一滴も流れていなかった。


 「こっちだ」


 これの主は男だった。その声の方角へ、キンカを目線を映した。

 男を発見したが、その場所は先ほどいた場所とはかなり距離があった。


 「あれ、おかしいな」


 キンカは再び銃を向けて、男に光線弾を放った。


 その弾は吸い込まれるように男の元に直進した。

 しかし、光線があたる直前に男の体が破裂したのだ。

 

 破裂はしたが今回も血は流れていなかった。

 それどころか、周りには水が大量に地面に流れていた。


 その水はひとりでに動き出し、空中へと生き物のように飛んでいった。

 そして、水は人の形を作るように集合していった。


 すると、いつの間にか男へと姿を変えていた。

 

 「なるほどね。そういうことね」


 「俺は絶対に参加しないからな」


 男は再び、自らの体と着ている服までも液体状に変化させた。

 そのまま、勢いよくキンカへと突進していった。


 「あの攻撃を防ぐとは驚いたよ」


 キンカは目の前の液体の塊をみながらも、余裕の態度をとっていた。

 

 そんなキンカをみて、水の肩回りは勢いをあげ、キンカの頭に向かっていった。

 おそらく、顔の周りを覆って窒息死させるつもりだろう。


 「でも、ルールはルールだからね。君の能力は、自らと身の回りの物質上に変化させ、それを操ることができる」


 キンカは銃を放つのではなく、ただそう言っただけだった。


 その瞬間、液体だった男の体は、元の姿に戻った。


 「え、どうし・・・」


 驚くのもつかのま、男の体は風船のように破裂した。

 辺り一面に大量の血が飛び散っていった。


 男はすぐ正面まできていたので、キンカは血をもろに浴びた。


 「うー、汚いなぁ」


 銃の腕を直し顔を拭こうとするも、腕も血で汚れているため全く意味をなさなかった。


 「もう、後でシャワーあびよっと」


 「なぁ、今のが今回のルールってことでいいのか?」


 ヘッドホン男が今度は恐る恐る質問した。さすがに死体を目の当たりにして動揺しているようだ。


 「そうだよ。簡単でしょ? ただ言えばいいだけなんだから。あ、注意点としては、さっき僕が言ったみたいに正確に申告するんだよ」


 「・・・おっけー、理解したよ。能力を使えば闘いを有利に進められるが、その分リスクが高まるってことか」


 「そういうこと。じゃあ、さっそくゲームをスタートするよ!」


 早くシャワーを浴びたいのか、早口になっていたキンカ。

 腕を高く掲げ、指を鳴らす。


 すると、部屋にいた9名の姿が跡形もなく消滅した。


 「さぁさぁ、今回はどんな勝負が見れるかな??」


 キンカは唇についた血を、ペロっと舌で舐めとった

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