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最悪の戦いⅤ

投稿する前に一応、誤字脱字などを見ていますがこれがまたなんとも多すぎて「こりゃ通るわけねぇ」と恥ずかしすぎて笑ってしまっている私です。

 《【同罪】ミラン》


 結局帰り道がわからないクリアをそのままにしてまた幹部を倒されても困るので私達はとりあえずクリアを連れて幹部を探すことになった。

 レイスが言うから仕方なくクリアを連れているが、クリアがいるだけで私とレイスの素敵な空間は崩壊した。

 私だけでなくおそらくレイスもそうだと思うが私はクリアがあまり得意ではない。

 クリアと話す話題がないというより、クリアが何を考えているのかわからないということが一番の理由だ。それに見た目に反して年上ということもあって少し気まずい。


「クリアが戦った幹部はどういう人だったんですか?」

「大きい」

「お、大きいって……」


 他に何か特徴がないのかと訊こうとするとクリアはぼそっと喋った。


「弱い」

「それはわかりますよ……」


 私達より強い相手なんて存在しないし、存在していけない。例え強い相手だとしても下っ端がこの程度の強さなんてありえない。


「あっ、ミランちゃん。分かれ道だよ」


 レイスに言われ視線を前に移すと二つに別れた道があった。

 さっきまでは例え分かれ道でも関係なしに二人で歩いていたが、クリアが幹部を倒した以上私達もぐずぐずしていられない。ひとかたまりになって行動するより二手に分かれた方が早いだろう。


「私は右の方にするけど」

「クリアはどちらにしますか?」

「ミランの方」

「……そうですか」


 薄々気付いていましたけどやはりクリアはレイスが得意ではないようです。いえ、得意不得意というより、ただライバルだから一緒に居づらいのでしょう。


「わかりました。それじゃ、レイスまた会いましょう」

「うん! また後でね!」


 レイスの笑みは私に元気を与えます。これだけで一週間は生きられる。といっても本当に一週間会えなかったら私は泣きますが。


「クリア、行きましょう」

「うん」


 そうしてクリアと私はレイスと別れた。

 歩いている間に何回か敵に襲われましたがすべて私が倒した。クリアは幹部以外倒す気はないようで敵が襲っても躱すだけで攻撃する気はないようだ。

 今まで何人倒したのかと聞くと六人だとか。そのうち一人が幹部だから雑魚は五人だけで、本当に必要最低限の人数しか殺していない。

 さらに歩いている途中も私から質問しない限り何も話さず、ときどき発する言葉といえば、


「エイド」


 である。

 レイスからの言葉でない分、まだマシですがそれでもその名は私にとってイライラさせる名前だ。あんな奴のどこがいいというのか。

 私がイライラする度に狙ったごとく敵達が襲ってくる。それで気分解消できると思えば全員男。嫌がらせの何物でもない!


「女とガキだぞ!」

「どちらも上物だぞ!」

「馬鹿野郎! こいつらを甘く見てんじゃねぇ!」


 私達を見つけた途端、問答無用で攻撃し始めた。やっと私達の脅威に気付いたのか最初から全力だ。なんらかの能力を纏った武器を投げようとするが、


「ま、全力だろうと弱いことには変わりないですけど」


 私は手のひらを敵に見せると能力を使う。


「なんだ!? 全然当たらねぇ!」


 私は投げてくるところがわかるかのようにすべての武器を躱した。

 別におかしいことではない。ただ視覚を強化しているだけ。私の目にはすべての動きが遅く見える。

 私は攻撃を躱しながら敵に近づくとこれまで通り切り傷を付けた。それだけで相手は悲鳴をあげ動かなくなる。動けなくなった敵にさらに傷を入れるだけで相手はショック死をする。


「はぁ、飽きましたね。早く幹部は現れないでしょうか」

「幹部とは俺のことかな?」

「……ッ!」


 突然頭の中に声が聞こえると同時にすかさず後ろへ飛ぶ。

 すると私がいたところに上から剣を下向きにして人が落ちてくる。躱すのにためらっていたら確実に私の脳天に剣が突き刺さっていただろう。


「へぇ、咄嗟に躱せるとは大したもんだ。声を出したのは失敗だったかな?」

「そうですね。でも、声を出さなかったとしても結果は変わりませんでした」

「強がるなよ」

「強がってなどいませんよ」


 そこにいた人物は間違いなく幹部だった。

 右目を隠しているのが特徴だったためよく覚えている。さらにこれまでの敵とは明らかに違う雰囲気を持っている。


「女が相手とは俺も隅に置けねぇな」

「何の話ですか?」

「敬語とはえるねぇ」


 何か今ニュアンスがおかしいような気がしましたが気のせいだろうか。いえ、どうやら気のせいじゃないようだ。この人はかなりやばい目をしている。


「敬語ならやはりメイドかな?」

「……っ」


 私が戦う幹部を間違っていませんか。こういうのはセイラとでも戦わせればいいんです。同じ変態なんですし。こんな明らかにオタクで中二病をこじらせている相手なんかしたくない。

 私はクリアの様子を見ようと思って振り返ると、相変わらず何を考えているかよくわからない表情で私達を見ていた。


「帰りたい」

「そうですか」


 おそらくですがクリアは「早く帰りたいから早く終わらせて」とでも言いたいのでしょう。言われなくてもそのつもりですがこの敵は面倒くさそうな気がする。


「あなたの能力は気配を消すといったところでしょうね」

「ん~、かなりいいとこはいったけど正確には違うね」

「?」

「ま、そこで教える人はいないよ」

「そんなの当たり前ですよ」

「わかってるじゃん」

「ッ!」


 確かに私の目の前にいた幹部がいきなり私の視界から姿を消した。私はものすごい速さで動いているのではないかと思い、視覚を強化するがまったく見えない。

 視覚強化で見えないということは速さではない。おそらく姿を消しているのだろう。さらに厄介なことに相手は気配も先ほど以上に消していて、敵の能力は気配だけでなく姿も消すことができる能力らしい。まったくもって暗殺者向けな能力だ。


「行くぜ」


 先ほどと同じように声が頭の中に直接流れてくる。声の方向で相手の位置を特定するのもできない。

 するといきなり私は胸を触られる感触がした。


「ッ……!」

「大きさもちょうどいいな」

「貴様……!」


 私は後ろへ回し蹴りをするが当たった感触もない。当たった感触すらも消すことができるわけではないはずだ。それはクリアでもできない。普通に躱したのだろう。

 だがこいつは私の身体に男でありながら触ってきた。これはゆゆしき自体だ。レイスのために育ててきたものなのに!


「殺すっ!」

「怒った顔もいいな。この戦いに勝ったら俺の嫁にしよう」

「避難」


 クリアは私の怒りを怖れて物陰に隠れていった。その方がいい。今から私はこの屑をゴミ屑にするのだから!


「貴様はただじゃ殺さない!」

「おお~、俺の呼び方が変わったぜ」


 調子に乗っていられるのも今のうちだ。貴様の居場所を私が本当に見つけられないと思っているなら覚悟しろ。私達はその程度の実力に負けることはあり得ない!


「次行ってみようか!」

「……来てみろ」

「ッ!」


 見えなくてもわかる。今、屑は私の殺気を怖れた。結局はその程度の屑でしかない。


「くっ……!」


 どうやら死ぬ覚悟は決まったようだ。

 私は能力を発動した。

 すると予感みたいのが頭に流れてくる。

 右から脇への攻撃。

 3,2,1


「……」


 カウントがゼロとなった瞬間に私は一歩後ろへ下がった。攻撃は当たらない。


「バカな!」

「今だ」


 私は何もない空間へと両手を伸ばして屑の腕をがっしりと掴んだ。


「捕まえた」

「ッ!」


 私はそのままそれを地面へと叩きつけ、どこからか骨が折れる音がした。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」

「頭の中で叫ばないでください」


 私は足下に転がっていると思われる屑に手のひらを向けると、さらに絶叫が響き渡り突然私の足下に屑がのたうち回っていた。それと同時に頭の中の声が響かなくなった。激痛で能力どころじゃなくなったのだろう。


「腕が! 腕がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「たかが折れた程度でうるさい」


 とは言うものの実際この屑は今まで私が相手してきた奴らより激痛であろう。もともと骨折自体がもう痛いのにその痛みをさらに増加させているのだから。だから普通はその時点でショック死するのが普通だ。

 だが、


「ただじゃ殺さないと言ったはずです」

「ひっ!」


 私の能力で増加しているのは痛みだけではない。意識を増加させて意識を飛ばせないようにしているのだ。その分痛みをよりハッキリ感じなければならないが。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ! あんたっ……なんでっ……ぐっ。俺の攻撃をっ……躱せたんだよっ……」

「貴様に教えるわけがない」

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!」


 私の能力はあらゆる感覚や感情を増加、強化させること。視覚や聴覚はもちろん、私は今回の戦いで第六感と呼ばれる、いわゆる直感を増加させた。

 これにより私はなんとなく・・・・・で攻撃を躱し、なんとなく・・・・・でこの屑を捕まえた。こんな簡単なことを屑に教えるには時間の無駄でしかない。

 そんなことより、私にはやることがある。これから響く悲鳴が謝罪の悲鳴となってレイスに聞こえるように、レイスに許してもらえるように、


「それじゃ、始めるか」

「ひっ! やめろ! 来るな! 来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 そのあと大音量の悲鳴が響いたがクリアは音を消しているのか、やはり無表情でそれを物陰からジッと見ていた。

 やはり私はクリアがどうも苦手である。



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