フィーネ
フィーネと自己紹介を終えた後、沢山のことを話した。
「ハルキって21だったんだ!?全然見えない。私と同じ18か、ちょっと下くらいに思ってたわ」
「どうせ子供っぽいですよ~」
ちょっとふざけて拗ねたようにそっぽを向く。
「くすっ、そんなところが子供っぽいのよ」
そう言ってクスクスと彼女は笑ってくれる。同時にパタパタと尻尾も揺れて、思わず見入ってしまう。
「どうしたの?」
「え?、いや、なんでもないよ」
「ふ~ん、さっきから私の尻尾を気にしてるから触りたいのかと思ったんだけど・・・」
「触っていいの!?」
彼女の言葉にガバッと思わず身を乗り出して反応してしまう。
「ちょっ、ちかいちかい!」
グイっと押し返される。しかし俺はめげなかった。
「ご、ごめん。で、触らしてくれるの?はぁはぁはぁ」
もう、ただの変態だった。
「残念、耳や尻尾は私たち狐耳族の誇りだから、大切な人にしか触らせないの。狐耳族は誇り高いのよ。
それに比べて犬耳族と来たら、誰にでも尻尾を振って・・・・」
それからも犬耳族についての愚痴が続いて、どれだけ狐耳族が誇り高いのかという話が続いたが、あまりのショックに俺は放心状態だった。
「それで私たち狐耳族の先祖は・・・ってどうしたのハルキ!?」
「あばばばば・・・・」
「ご、ごめん。そんなにショックだとは思わなくて・・・」
それから数分間の記憶が全く無いが、後からフィーネに聞いたが「いろいろとやばかったわよ・・・」とあまり多くを語ってもらえなかった。
「それにしても、ハルキって不思議ね。こんな山奥に何の準備もなく入ってきて瀕死になってるし。毛皮の服しか持ってない割には、そんな立派な大剣を持ってる・・・なにもの?」
ジッと見つめられながら問われる。
(う~ん、異世界人って言っても信じてもらえないだろうし。なんて答えたものか・・・)
「ごめん、俺にもよくわかんない」
そんな答えにもなっていないような答えしか返せなかった。
「ふぅ、まぁ無理に聞き出そうとは思ってないわ。じゃあ、あなたこれから行く所はあるの?」
「とりあえず、森を出て世界を回りたい。ってしか考えてなかった」
(世界を回ってもっともっと強くなるんだ!)
そう答えると、彼女は少し呆れたようにして
「それじゃ殆ど何も決めてないのと一緒じゃない!はぁ、じゃあひとまず私と一緒に来ない?あれだけの怪我をしてたんだから、応急手当だけじゃなくて一回私のママに診てもらった方が良いと思うし・・・どうかな?」
「いいの!?・・・じゃあ、お願いします!」
思ってもみなかった提案に二つ返事で了承するが、了承した後になって診てもらっても支払える物が何も無いことに気づく。
「あ、けど俺診てもらっても払えるお金がない・・・君にも何も返せないし」
「もう、さっきも言ったでしょ。困っている時は互い様って」
「それじゃ申し訳なさ過ぎる」
「じゃあ、しっかりと身体を治した後に色々と手伝って貰うから。それで良い?」
「もちろん!じゃあ、よろしくお願いします」
「はい、お願いされました」
今度こそしっかりと了承を伝えると、クスクスと笑いながらそう返してくれた。
「それじゃ、明日は早いからそろそろ寝ましょうか」
「了解」
聞くと彼女の町はローレルというらしい。ここから1日ほども歩けば到着とのことだった。
(結構森の出口に近づいてたんだな・・・)
「普段はこんなに奥まで来ないんだけど、薬草が見つかんなくて普段来ないところまで来てみたらあなたが倒れてたし・・・何があるか分からないわね」
「ママには遅くても2日で戻るって言ってたから・・・心配してるわねきっと。結局薬草も集められなかったし」
「申し訳ない!」
「くすっ、いいわそれも含めて後で手伝って貰うわね」
「うす!」
それから交代で見張りをしながら休むことにした。
最初は怪我人ということでフィーネが見張りで、俺が休むことになった。
(誰かと過ごすのって久しぶりだな・・・安心する)
そんなことを考えながら横になる。目を閉じるとすぐに睡魔がやって来た。
フィーネに交代の為に起こされるまで、モフモフに包まれている夢を見ていた。