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モフモフ

パチパチパチ・・・焚き火の燃える音がする。

暖かさを感じながらまどろむ。

「う~ん・・・」

寝返りを打つ。まだまだ眠れそうだ。


しかし、

「気づいた?」

すぐそばから声が聞こえた。

(え!?)

慌てて跳ね起きる。

「いっつ!?」

身体がズキリと痛み、再びその場に座り込んでしまう。

「ほら、無理するから・・・落ち着いて。ね?」

痛みに顔をしかめつつ、声の方向を向くとそこには・・・

「大丈夫?」

年齢は17~8といったところか。風にサラリと揺れる腰まで伸びた綺麗な金髪。クリッとした勝気そうな大きな目をしている。

可愛いというより綺麗な印象だった。

そして一番の特徴は

(み、耳だ!獣耳だ!!尻尾もあるぅ!!)

頭には可愛らしいモフモフとした大きな三角の狐耳と尻尾があった。

「・・・モフりたい」

「モフりたい??」

(はっ!?心の声が漏れていた)

「いや、何でもないです。大丈夫です!!」

「?・・・そう、ならよかった」

そういって微笑んだ彼女はとても綺麗で、再び目を奪われていた。


焚き火の前に腰を下ろし、一旦落ち着く。すると思い出したように痛みがやってきた。

「いてて・・・」

「身体大丈夫?一応治療は済んでるけど、あなたさっきまで丸一日寝てたんだから。無理しちゃ駄目」

心配そうに顔を覗き込んで言われる。自分の身体を見ると、確かに全身に治療の跡があった。

「これ、全部君が?」

「そうよ。私は町一番の薬師の娘だからね。」

フフンと得意げに鼻を鳴らして答えてくれる。


「身体の傷はそこまでじゃ無かったけど・・・、足にあった火傷のような跡、あれはポイズンサーペントの毒でしょ?」

得意げだった顔をキリリと真面目にして更に言葉を続ける。

傷跡を見ただけで判断できるとは、流石町一番の薬師の娘と自慢するだけはあるのか。

「よくわかったね。あいつに襲われて避け切れなかったんだ」

そう答えると彼女は、はぁ~とため息をつきながら

「あなた見たところその剣しか持ってないようだけど、あいつと戦うなら毒消しを持たなくちゃ。何の準備もしないで戦うなんて自殺行為よ!」

と強い口調で怒られ、思わず正座になってしまう。

「他の仲間とははぐれたの?」

「いえ、一人です・・・」

その答えに彼女は先ほどよりも大きくため息をついた。

「あなた本当に運が良かったわね。あいつから逃げられて、毒も私が居たから良かったけど・・・もう少しで死ぬところだったんだから!!」

「・・・はい、すいません」

本当は逃げたんじゃなく、倒したんだが、今の彼女に口答えするのには勇気が足りなかった。


しばらく説教をされてからようやく解放される。

「ぐすっ・・・すいませんでした」

思わず半べそをかく。決して泣いてなどはいない。

「もう、泣かないでよ、男でしょ!」

・・・泣いてなんかない。ぐすっ。


「わたしも、ちょっと怒りすぎたわ。けど、もう無謀なことは駄目」

「ほら、ご飯にしましょう」

そういって彼女は焚き火で暖めていた鍋から、木の器に暖かいスープをよそってくれた。

「はい、熱いから気をつけてね」

「あ、ありがとう」

受け取った器から良い匂いが漂う。

グギュルルルゥ~と彼女曰く一日ぶりの、ポイズンサーペントと戦っている時間も入れると、ほぼ二日ぶりの食事に腹の音が鳴り、空腹を訴えだす。


クスッと彼女に笑われてしまい顔が熱くなる。

「頂きます!・・あつっ!!」

恥ずかしさから慌ててかき込むと熱さが口を蹂躙する。

「もう!言ったそばから、まだおかわりはあるからゆっくり食べて」

「ふぁい、すいません」

次はフゥーっと冷ましてからゆっくりと飲み込む。

具の野菜の甘みが口に広がる。一緒に入った細切れの何かの肉もとても美味しい。

「・・・美味い」

思わずポツリとつぶやいた。

「でしょ?ママが作ってくれた干し肉が良い出汁を出してくれるの」

ニコニコと嬉しそうに話してくれた。尻尾も揺れている。


それから数回おかわりした。

食後焚き火の前で二人でぼーっとする。

「そういえば、治療のお礼がまだだったね。俺は春樹、助けてくれてありがとう」

「いいのよ、困っているときはお互い様でしょ。私は私に出来ることをしただけだから。」

「ハルキね、私はフィーネよ。よろしくね」

「フィーネさんか、よろしく」

「フィーネでいいわ。私もハルキって呼ぶから」

「了解、フィ、フィーネ」

女性を呼び捨てで中々呼ぶ機会が無かったのでどぎまぎとしてしまうが、なんとか呼ぶことが出来た。


どちらからともなく握手を交わす。

話しながらもフサフサと揺れる尻尾を眺めながら、

(モフりたい・・・)

そんなことを思っていた春樹であった。


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