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グルセンサンツ  作者: 阿田川 絵櫛
プロローグ
1/2

ある旅人の日記より

巨大な菌森を超えた所、にぎやかな喧噪が聞こえてくるころ、旅人は安堵の息を漏らす。

痛む足を引きずり、今までの旅の終着点でありこれからの旅の出発点であるその町へ急ぐ。

菌のはびこる中を旅する旅人達と独自に発達した文化により、旅の疲れを癒しまた訪れる人を楽しませる、観光地であり宿場町であるその街は大都市とまでいかなくともそれなりの知名度を誇る。

町に近づくとわかるが、煙が多く上がっている。

これは菌による発熱を利用した水蒸気機関の煙で、ほかにもこの町は多くの恩恵を菌から受けている。


半分ほど菌に飲み込まれつつある町はずれのゲートでチェックをされ、街の中へ入ると客引きをする女性や旅人から資源を買い取り、また消耗品の補給や町の中での必需品を売る旅人向けの店舗や路床が立ち並んでいる。

そのまま中央の街道、微風通り(ブリーズストリートbreeze streat)を突き進めば町の反対側まで一直線に抜けることができるが、それほど急いでいるわけではないので中央の広場まで歩みを進める。

中央の広場に着くとそこから微風通りより少し細い通りが何本か出ている。事務所や住宅街など町の主要な場所へ続く道だ。

それよりさらに細い裏道も2,3本ほど出ている。

そして中央の広場の周囲には一級店が立ち並び、中央には噴水がある。

噴水は祭りの時などは上にやぐらが組まれるらしいので、機会があったらまた訪れたい。


道中の宿泊代などは経費で落とせるため一級店のなかの一つ、ここらでも最も歴史のある旅館、「デフルアマーニ・ペダフ」に入る。ちなみにペダフは旅館の意味だそうだ。

「いらっしゃいませー。お一人様、ご宿泊でよろしいですか?」

なかは木と石化菌木で落ち着いた雰囲気で、フロント係の藍色の衣装とも相まって豪華絢爛ではないにしろ上品な高級感を醸し出していた。

「はい。ええと、1000オゾ以下ほどで泊まれる部屋はありますか?」

「ええと……、ありました。ワイドシングルベットのワンルームが960オゾでありますね。夕食がレストランで食べることができますが」

「その部屋でお願いします。夕食は……そうですね、レストランでいただきます」

「それでは、お部屋にご案内いたします」

客室係に案内され部屋に荷物を置いた後レストランに向かう。


この町の有名なものの一つが料理だ。

味もさることながら多くの人が驚くのはその材料と調理法。

豊富にとれる天然のキノコとハーブ、新鮮な動物の肉とそして「虫」。

観光に来た人は最初驚くかもしれないが、旅人はいざというときは生き残るためなんでも食うから慣れているがそうでなくともここの虫料理はうまく虫を調理し、ともすれば肉よりもおいしく仕上げるため評判は高い。

巷では「GGG」などと呼ばれているらしい。

旅人は手によりをかけた料理に舌鼓を打つと部屋に戻り窓からの夜景を楽しむ。


この宿屋の窓には石化菌木の透明化が使われている。

最近この街で石化菌木の透明化が開発されたと聞いたがもう実用化されているとは驚きだ。

その水晶のように透明な石化菌木越しに旅人は明日の道を眺める。

菌森のそばにあり、人と物が集まる街。

多くの旅人が訪れ、愛したこの街は旅人にとって第二の故郷なようなものになっていた。

事情があってそうたびたび訪れることはできないが、またいつか来よう。

この町の名は、


グルセンサンツ

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