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白珠

作者: 玖龍

しずやしずしずのおだまき繰り返し 昔を今になすよしもがなーーーー静御前(吾妻鏡)

《『静や、静や』と苧環のように何度も繰り返し貴方に名前を呼んで頂いた、幸せだったあの時へ戻るすべはもうないのでしょうか》

ここは黄金の籠の中


綺麗に飾られた鳥は


名前を持たず


飛ぶための翼も


逃げるための足も


封じられて


それでも貴方のために


歌を奏で


舞を踊る


貴方が誉めてくれたのを


貴方が抱き締めてくれたのを思い出しては


ただただ頬を濡らし


もう目の前にはいない


貴方のために鳴くのです


あの白い御旗の元で


故なき罪を背負った貴方は


それでも微笑み


「大丈夫」と言って


結局白刃の塵となった


私も貴方に殉じれば良かったのに


貴方の優しさに甘えた私は


今日もひとり


声を枯らして歌っています


貴方と手を取り合った


甘く、苦しい想い出は


風に舞えば


虚空の彼方へと消え去り


私はこうして貴方を忘れていくのでしょうか


この胸に打ち込まれた楔は


確かに貴方の面影なのに


いつかはそれもわからなくなるのでしょう


私はそんな辛さから逃げるように


今日も貴方の衣を返して


祈りながら目を閉じるのです


願わくば


私のひとり寝の寂しさを


誰かから漏れ聞いた貴方が


ひっそりと夢枕に立ち


昔のように私の名前を呼んでほしい


そうして夢が覚めませんように


私が貴方をわからなくなるその前に


どうか私に会いに来て


いとせめて恋しき時はうばたまの 夜の衣を返してぞ着るーーーー小野小町(古今和歌集)

《ひどく切なくあの人が恋しい時は夢の中で逢えるように夜の衣を裏返しにして着て寝るのです》


因みに作中にも登場させましたが、『衣を裏返して着て寝る』は当時のおまじないみたいなものです。今でも『枕の下に~』っていうのがあるじゃないですか。それと同じです(˘ω˘)


読んでくださりありがとうございました‼

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