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神の家捜し

忙しくて小説が中々書けなくなってきました。

私はこの小説を現段階で投稿している話の7話先まで書いたら1つ投稿するようにしているのですが今回投稿する話の4話先からの展開が不満になり、手直しすることにしました。

公表するものなので自分なりに満足のいく物にしてから投稿しようと思うので少々遅くなるかもしれませんがもし、続きが気になる方がございましたらご理解をお願いします。

なお、最低1週間に1話は投稿しようと思います。

8月までには落ち着くと思います。

パン屋を出た俺達はティニアと別れて新居探しを再開するつもりだったのだが。


「ここから一番近いのは…ここね。さぁ、出発ッ!」


いつのまにか地図を片手に俺達の先頭を行くティニア。

そして、ティニアの地図を持つ手にぶら下がるエル。

どうやら自分が道案内をしたかったらしく、しきりに交代を申し出ていた。

とにかく、ティニアも一緒に同行してくれるそうだ。


「いいのか、王女なんだろう?」


そうは見えないが。

そうは思いつつもリンに聞くと渋々頷いた。


「…半分は勉強をさぼりたいからだけど、もう半分はクロにぃのため。…見逃します」


まぁ、半分でもうれしいから良しとしよう。

それと俺の名前が決まった事により、皆の俺に対する呼び名も変わった。

ティニアは【クロトス】。

エルは【お兄ちゃん】。

リンは【クロにぃ】。

エルとリンは俺を兄と呼ぶことには変わりないらしい。

理由を聞くと昔から兄が欲しかったという事らしい。

さて、俺の住居候補はというと…


―1件目ー


「いくらなんでも大きすぎる」

「そうね」


唖然とする俺と苦笑いで同意するティニア。


「1人で暮らすには大きいね」

「…お掃除大変そう」


エルとリンも同意した。

王妃、これはさすがに無いと思うのだが?

そこは昔は商人の家だったらしく、高さ10メートルの冗談みたいな巨大な門をくぐると大きな豪邸があった。

白を基調とした大きな家で庭には定期的に手入れがしてあるのか色様々な花が咲き乱れている。

遠くには小さな林もあり、乗馬も出来るほどの広大な庭だ。

ただし、門から玄関まで300メートルはあり、いくらなんでも1人でこの小国の城並みの大きな家には住みたくない。


「次だな」


俺達は豪邸の中も見ずにその場を後にした。

たぶん、王妃も冗談でリストに載せたのだろうがここを借りたら一生頭が上がらなくなる。


―2件目ー


体を撫でる風が心地よい。

緑豊かな庭だが先ほどの豪邸とは打って変わって程々の面積だが気品ある。

俺はこの家のロフトで紅茶を楽しんでいた。


「いい眺めだな」


先ほどと違い、2階建ての家で1人で住むには十分。

家の前からは《王都全体が一望》できる。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」


フッと家の入口に目をやると死にかけのティニアが倒れていた。

顔を真っ赤にし、呼吸も苦しそうだ。


「大丈夫か?」


紅茶を差し出すとかぶりつく様に飲みだす。

一瞬で飲み干すと無言で空のカップを差し出されたので注いでやる。

しばらくして落ち着いてきたのかボソッと一言。


「無理…」


そう言って力尽きるように倒れた。

見渡すとお子様2人の姿が無かった。


「エルとリンは?」

「途中で……力尽きた」


ここは王都の領土内の山の中腹で山道を4時間登ってきた所にある。

その間にある今にも崩れそうな細い橋、急流の川を渡り、冗談みたいな数の階段を登ってたどり着く。

さすがに2人には無理だったか。

ティニアも肩で息をしていた。

このぐらいで息を切らすとは脆弱な種族だな。

ミズガルズの大蛇(全長350メートル)の群れに追いかけられた時の方が大変だったぞ。

蛇の癖に速かったなぁ。

1時間ぐらい逃げ回って飽きたから全部ぶっ飛ばしたけど。


「次行くわ…よ」

「いや、無理するなよ。顔が青いぞ」


いまだに息を切らすティニアを少し休ませてから下山した。

2人は階段で気絶していた。

ここの住人はどうやって生活してたんだ?


―3件目ー


「お兄ちゃん。ここは駄目」


住居候補の家の前でエルにそう告げられた。

見た目は今までの中で一番まとも。

交通面でも問題なしだ。


「なんでだ?」


特に却下する理由が思いつかなかった。


「周りの店で甘い物が売ってないから!」

「…俺が住むんだぞ?」

「テヘッ」


はにかんだ笑顔で誤魔化された。

まぁ、他にも候補はあるからいいが。


―4件目ー


「…クロにぃ」


今度はリンが俺の袖をひっぱって呼びとめた。


「なんだ?」

「…ここは駄目。お城から遠い」


そう言って指差す先には遠くに見える王城。


「これじゃあお兄ちゃんの家に遊びに行きづらいね」

「ここも却下ね」


そう言って当然っといった顔で同意するティニアとエル。


「貴様ら、俺の家だってこと忘れてねえか?」


つい、言葉が乱暴になってしまったが3人はさっさと次に行ってしまった。

…ちょっと、空しい。


………

……


「ないねぇ」

「ないわね」

「ないな」

「……」


色々周ったが俺達が気に入る物件は無く、一旦城に戻ることになった。

リストの半分を見て回ったがこれだっ!というものが無かった。


「今夜はどうするの?」


ティニアの質問に思い出した。

宿無しだ、俺。

寝る場所がない。


「まぁ、家が無いから宿屋か野宿かな」


だいぶ暗くなってきたし、何処かの公園でも探すかな。

気温もそれほど低くないので一夜ぐらいは大丈夫だろう。

ウリエルにばれたら説教だな。

…説教で済むか?

たぶん、炭にされるな。


「姫様。お城に御泊めすることはできませんか?」


エルがティニアにそう問うが部外者を城に止めるなんて出来るわけないだろう。


「できるわよ。今夜は城に泊まりなさい」

「できるのかよッ!?」


警備上の問題とかあるだろうがッ!?


「今日のお礼よ。結構楽しかったし」


そういえば、王族だったんだもんな。

王女がいうなら大丈夫…か?

…王や王妃に会った時も思ったが大丈夫なのか、この国?

まぁ、この国の将来よりも今日の宿だ。


「ありがとう」

「い、いいのよ別に…」


お礼を言うと顔を赤くしたティニアが少し早歩きになった。

そんなスピードだとチビッ子2人が追い付けないだろうに。

2人が逸れていないか確認しようと振り返る。

そこにはエルしか居なかった。


「リンちゃん?」


エルは辺りをきょろきょろと見回していた。

俺も探すが特にそれらしい人影は見えない。


「どうしたの?」


誰も付いてこなかったのでティニアが戻ってきたようだ。


「リンちゃんがいないんです」


エルがそう言うと今になって気づいたらしく、辺りを見渡す。


「あれ?」


外は徐々に日が落ち始め、お店も閉まっているところもちらほら出始めた。

この時間帯に店に入ったということはないだろう。


「リンちゃ〜ん!」

「リン〜!」


二人が大きな声でリンを呼ぶが返事はない。

時間が経過するに連れて、徐々にその顔を青くしていく。


「何かあったのかしら!?」

「どうしよう!?」


わたわたと慌てる2人に見ていられなくなった。


「ちょっと待ってろ」


俺は二人を落ち着かせてから力を使うために目を閉じる。

あまり、使いたくないのだがこの世界に来てからガンガン使っている気がする。

とにかく、イメージ。

創造するのは物質のイメージでは無く、概念のイメージ。

リンを出来るだけ正確にイメージする。

イメージの中ではリンがスタスタと何処かへ歩いて行った。

リンが歩いた道には足跡とそれを伝う様に銀色の糸が落ちていた。

その糸を手繰り寄せる。

その先にはリンがいるのだから。


「【万物創造 《羽》】」


俺は右手から力で羽を出現させて、上に放り投げると羽は路地裏に飛んでいった。

俺は《リンのところまで飛んでいく羽》を創造した。

物質と違って、形のない概念の創造だからかなり負担と時間もかかる。

しかも、なんでも創造できる訳でもないので実はこれもできるかは半信半疑だったりする。

とりあえず、あの羽はリンのところまで案内してくれるという事だ。


「あっちだ!」

「何で判るの?」

「秘密」


魔法って言っても信じないだろうしな。

こんな魔法ないと思うし。


「あんたって秘密事が多いわね」

「気になるか?」

「聞かれたくないんでしょう?信じてるわよ」


この世界はお人よしが多い世界なのかもしれない。

見ず知らずの男を城に招待するほどに信じてくれる。

エルもリンも王妃も王女もおかしい程にお人よしだった。


「…ありがとう」


少なくともこの世界に好感は持てた。


「待ってくださ〜いッ!」


…エルを忘れてた。


………

……


路地の間をしばらく走っていると大通りから外れた細い通りに出た。

所々の建物には歴史を感じられるものが含まれていた。


「いた!」


ティニアが指さす先にはリンは通りの端でしゃがんでいた。

怪我しているのか!?


「リン。大丈夫か?」


声をかけるとリンは顔を上げた。

見る限りでは怪我はなさそうだ。


「…うん」


逸れた事による罪悪感か、少し罰が悪そうに顔を俯かせながら答えた。


「何があったの?」


心配そうに声をかけるティニア。

リンは顔を俯かせながら呟く。


「…ネコちゃん」

「「へっ!?」」

「…怪我したネコちゃん。この中入った」


そう言ってリンが指さした先には…


「ここ?」


そこは元々は喫茶店なのだろう。

煉瓦の壁には枯れかけた蔓が這い、壁の根元には手付かずの花壇があった。

ゴミや落ち葉で汚れた花壇や店周りは何処か哀愁を誘った。

その喫茶店に人の気配は無い。

扉の下には元々はネコを飼っていたのか、ネコが入る小さな入り口が付いていた。


「ここから入ったのか?」

「…うん」

「心配でネコを追っていたら私達と離れたの?」

「…ごめんなさい」


俺とティニアの代わる代わるの追及に身を徐々に小さくするリン。

とりあえず、入口へ近づいてみた。

近くで見るとよりその店の年代を感じられる。

ドアに手をかけるとギシギシと音を立てるがドアは開けられるようだ。


「鍵が開いてるみたいだし、とりあえず入ってみるか?」

「空家なのね」


リンとエルがドアの隙間から建物の中に入った。

俺も入ろうとするとフッと扉の横に貼られた張り紙が目に入った。


「『空家 入居者募集中』か。ずいぶんと古くなってるな」


―エル視点ー


「みんな〜〜、どこ〜〜〜!それと、ここはどこなの〜〜〜ッ!?」




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