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神が挑む…

私生活で色々あったのですが復活しました。

以前に比べたらあまり執筆の時間も取れないと思いますが少しずつでもやっていきたいと思います。

とりあえず、ストックを投稿。

改めて見直すと駄文だな~。

扉に背を預け、手に持った書類を見ているティニア。

後ろから聞こえる歓声をBGMに何度も読み直した書類を暗記する程見ていた。

これからクロトスが戦う相手の調査報告書である。


「【自称、七つの顔を持つ商人】って七つどころじゃないじゃない」


【科学者】として研究した成果の一部を【旅団の一員】等として侵入した他国に【商人】としてそれを軍事目的に販売、悪用する悪質な行為の情報。

今現在は他国の【間者】として当国に侵入し、一部の国家反逆勢力に与している。

それ以外にも彼が関わったと思われる事件等の記載がずらっと記されていた。

書類ごと握りつぶしたくなるような悪質な事件内容に唇を噛み締めると前方から乾いた足音が聞こえてきた。

書類から視線を上げると…何とも眠そうなクロトスがのそりのそりと今にも死にそうな顔で歩いてきた。


「…なんて顔してるのよ」


呆れた声で問うティニアにクロトスは答えることなく、大きな欠伸をし、目を擦っている。


「試合大丈夫なの?今にも倒れそうだけど」


ティニアが近づくとその酷さがより見れた。

眼にはクマが出来、充血。

そして、何よりも…酒臭い。


「暗ぃ雰囲気を吹き飛ばそぉうという感じで…うぷっ……ひ、秘蔵の酒のオンパレードでひたすら…飲み食いしてたら……朝でした」

「馬鹿じゃないの!?」


クロトスの顔面に叩きつける様に手に持った書類を突きだした。

バキッとシャレにならない音が聞こえた気がするが…。


「そんなんで大丈夫なの?それ見る限りは危険な奴みたいだけど」

「それって……ふ~ん」


クロトスは顔にへばり付く書類を引っぺがし、眺めると眼を細めた。

ぱらぱらと流し見る様に中を確認するがすぐに興味が無くなったのか、ティニアに差し出した。


「まぁ、何とかなるだろうさ」

「何とかって…」


ティニアが呆れたように頭を押さえる。

その姿に苦笑するクロトスは後方から足音に反応し、後ろを向くと走ってくるエル、リンの姿が見えた。

心なしかエルとリンの目つきが吊り上っている気がするのは何故であろうか?


「やばっ、抜けだしたのがもうばれたの?」


正解は『執務を放り出して、一人先にクロトスの応援に来た王女に怒り心頭』。

逃げ出そうとするティニアだったが首根っこをクロトスにがっしりと押さえられたために逃げ出せない。


「逃げるなっ、この不良王女っ!」

「仕方ないじゃないの。それしか会いに行く方法なかったんだから。…後、私もこれでも王女なんだからその発言は不敬罪で投獄なんだけど?」


フッとティニアから首にかかっていた圧力が消えた。

クロトスの方を見るとピシッと背筋を正し、深く頭を下げる彼がいた。


「…申し訳ございませんでしたティニア姫。姫に対する数々の非礼、誠に…「ごめん、気持ち悪いからやめて」…まぁ、今さらだしな」


いつもに比べ、真剣な声色と表情は新鮮ではあったが普段の姿が姿だけにティニアにとっては悪寒が走る程の違和感だった。


「「…何をいちゃついてるんですか」」


そうこうしているうちにティニアの背後からゴゴゴッと凄まじい怒気を発する2人がいた。


「……逃げるの忘れてた」


顔を真っ青にしているティニアにはとてもではないが怖くて後ろを振り向けない。

一方、クロトスはというと…


「これでいいんだろう」

「足止めありがとう、お兄ちゃん。これ、約束の金一封」

「ありがとう、エル」


ちゃっかりとエルに買収されていた。

ちなみに二日酔いも油断させるためと時間稼ぎの話題作りのための演技である。

しなくても良かったのだがつい悪乗りしたくなったのだ。

補足だが一晩中飲み明かしたのは事実であるがそれでも二日酔いにはならなかったようだ。

クロトスがエルに貰った報奨金を懐に入れ、振り向くとリンに静かに、だが有無を言わさぬ迫力でティニアを説教している姿が目に入る。


―自分は後どれだけ彼女らとこうして過ごせるのだろうか?


ふっと昨日、散々悩んだ考えがぶり返した。


「…クロにぃ」


フッと顔を上げると3人が微笑んでいた。


「これが終わったらパーティーだよ。忘れないでね」


元気なエルにはおいしいものを求めて、あちらこちらに振り回された。


「ああ。エルの好きなものもたくさん用意してあるぞ」


その天真爛漫、無邪気さに自然と笑顔でいられた。


「…がんばって」


無口なリンはその分行動的でウルのグッズ開発やらお店の経営に手を貸してくれた。


「ああ。エルもティニアのお世話で大変だろうけど頑張れ」


彼女にどれだけ助けられ、感謝しているだろうか。


「まぁ、怪我しないようにね。どうせ楽勝でしょうけど」


王女という身分にも関わらずに自分と対等でいてくれるティニア。


「それは解らんが善処するよ」


人間の王女、その生き方とあり方に尊敬すら覚えた神王としての自分。

心から彼女らに会えた事に感謝したい。

だからこそ…


「じゃあ、後で」


これが終わったら今まで言えなかった事を言おうと思う。

自分たちの事、これからの事、色々な事を話そう。

それを胸に試合場へと続く扉に手をかけた。

残業月50時間+サービス出勤合わせると120時間以上。

もらえる残業費40時間程。

…アレ~?

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